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第14話 新入りに舐められてんな 【追放Side】

「よし、腹の傷も癒えた。これで最強な俺が戻ってきたぜ!!」

「よくあの怪我からこの短期間で……。やはり、バニスは普通とは違いますね」

「だろ!? やっぱ、オストラ、お前だけだぜ、信頼できるのはなぁ」


 おっと。

 傷が治った喜びで思わず思ってもないことを口走ってしまった。ま、オストラが使えるのは事実だし、喜んでるみたいだから気にしなくてもいっか。

 それより――。


「おい、残りの二人はどうした? リーダーが戻ってきたのに、なんで出迎えないんだ?」


 いつもの酒場。

 完全復活した俺が、折角他の客を追い払ったというのに、なんでプリスとアディはこの場にいないんだ。

 今日は酒と女を好きなだけ喰らってやろうと思ったのによ。


「彼女達は今、休んでいるところです。私たち【占星の騎士団】の実力を疑った大臣が、難易度の高いクエストを押し付けてくるんです」

「なに!?」


 あの陰湿な大臣が考えそうなことだ。

 リーダーである俺がいない状況を見計らい、不利になるように仕向けようとするとは……。


「それで……どうだった。俺がいなくてもクリアできたのか?」

「とても、厳しい戦いでしたが、なんとかさ……。アディさんのお陰で助かりました。彼女はユライくんより遥かに強いですね」

「そ、そうか」


 なんだよ。

 クリアできたのか……。

 ツマラナいな。

 俺に泣きついてきたら、アディに良い格好できたのによ。ま、そんなことしなくても、俺が本気で口説けば数分で堕とせるか。


 バァン!!


 酒場の扉が開いた。

 噂をすればアディだ。

 俺が怪我で休んでる間、一回もお見舞いにこなかったから久しぶりに見るな。なんだか、いつもよりも魅力的に見えるぜ。

 今直ぐにでも襲ってやろうか?


「プリスがオストラを呼んでる。彼女は今日のクエストで怪我をしたから、看病に行ったらどうだ?」

「わ、分かりました」


 オストラが何故か俺の方を見ながら、足音を殺して酒場を出ていく。

 なんだよ、プリスは怪我したのか。

 情けないな。

 どれ、俺が癒しに言ってやるか。ご無沙汰だから、きっとアイツも俺の身体を求めてるだろう。

 酒ダルを持って立ち上がると、


「バニスには話がある。ここに残ってくれないか?」


 アディに引き留められた。

 なんだよ、なんだよ。

 もう、そういうことか。

 さては、俺と二人きりになりたいんだな? モテる男は辛いぜぇ!!


「なんだよ、話って。ま、言わなくても分かるけどな?」


 アディの整った顎先に触れる。

 そのまま唇を奪おうとするが――、


「馬鹿な真似はよせ。全然分かってないじゃないか」

「あん? じゃあ、話ってなんだよ」

「そんなの決まってる。お前達はどうやって相手の魔法を見抜いていた?」

「魔法を見抜く?」


 何言ってんだ、コイツは?


「今日のクエストで確信した。お前達【占星の騎士団】は、魔物達の魔法を発動するタイミングをまるで分かっていない。だから、プリスは怪我をしたんだ」

「そんなの俺がいなかったから、怪我しただけだろ? 答えは簡単じゃないか」

「なら、なんでお前も怪我をしたんだ?」


 ズッとアディが詰め寄ってくる。

 おいおい。胸の先が俺に触れてるじゃないか。

 なんだかんだ言いながら、身体を重ね合いたいだけじゃないのかよ。

 さては、こういうプレイが好きなんだな?


「でも、主導権を握られるのは好きじゃないんだよなぁ!」


 たまにならいいけどな。

 今日は全快祝いだ。

 自分の好きなように遊びたい。よって、主導権は俺にある。強くアディを抱きしめた。


「ひっ!!」

「へへへ。嬉しいだろ? 【選抜騎士】のリーダーに抱かれてるんだぜ?」

「人が真面目に教えて上げてるのに、何考えてるの!!」


 アディが魔法を発動する。

 発動したのは【防御バリア】。薄い膜のような物体を生み出し攻撃を防ぐ魔法だ。


「てめぇ、どういうつもりだ?」

「はぁ……。もういいわ」

「なにが、もういいんだ。こっちは全然、収まらねぇぞ!」


 勝手に話を進めてんじゃねぇ。

 だが、今の俺は武器もない。【防御バリア】を破る術を持っていない。青白く光る球体の中で、アディはため息を吐く。


「【占星の騎士団】が、まだ【選抜騎士】なのが残念でしょうがないわ。じゃなかったら、こんなパーティーには絶対入らないのに」


 クスリと笑う。

 この女……俺達を馬鹿にしてやがる!! ひょっとして、俺が猿騎士に負けたのが弱みだと思ってるんじゃないか?

 だとしたら勘違いだな。

 今日は俺も病み上がりで武器も用意してなかっただけなのになぁ。


「ふん。コレもプレイだと思っといてやるよ」

「思うのは自由だものね」


 余裕の笑みを浮かべて酒場を去っていった。

 ふん。

 今に見ていろ。俺が力づくでお前の身体を好き勝手してみせるからな!!


「だけど、今日の興奮は収まらねぇ」


 仕方がない。

 今日はプリスで我慢してやるか。あの尻軽なら俺が回復したと分かれば直ぐに身体を委ねるだろう。

 プリスの部屋を尋ねると、身体に包帯を巻いたプリスが出てきた。包帯以外に衣服は纏っていない。

 まさに、俺を出迎えるための格好だ。


「おい、俺が来たぞ? 意味は分かってるな」


 部屋に入ろうとしたのだが、扉が開かない。

 プリス一人の力とは思えないな……。

 まさか!!


「まだ俺の怪我は治ってないのか?」


 言われてみればお腹が痛い気がする。


「そ、そうだよ! それに私も今、一人で休んでたから」

「一人? さっき、オストラを呼んだんじゃないのか?」

「え、あ、そう。そうなの。でも、様子見てすぐに帰ってったわ。とにかく、お互い、明日に備えて今日は休みましょ? また、あの大臣が嫌がらせしてくるに決まってるのだから」

「……ち、分かったよ」


 本当は身体を重ねることが一番の休養になるのだが、プリスは扉を開ける気はなさそうだ。

 仕方がない。

 街で女を漁るか。


 だが、こんな日に限って外を出歩いている女は一人もいなかった。


「クソがぁぁぁぁぁ!!!」

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