朝から修羅場!
すみません、キャラを再考してました!!
4話です
「………」
「……」
咲、昨日のことがあってか、頬をぷっくり膨らませ、眉間に皺を寄せてウチの玄関で待っていた……。昨日の放課後に校門前でほったらかしにしたからなあ~……。
「お、おはよ……」
「………はよ……!」
彼女はどこか弱い声音だったが、しかしやはりムスッとした言い方になっている。しばし無言が続く。どうしたものかとあれやこれや考えを巡らしていると、交差点の角で二人の美少女が僕に声をかけながら立っているのが分かった。
一方はソワソワしながらちらちらと僕を見て、もう一方はこっちに笑顔を向けて手を振ってくれる。
「……はよ」
「おはようございま~す!」
「!?」
「……お、お前ら……!?」
どう見ても双葉香奈美と陽花だった! なんでここに!?
「な、なんでそんなところに待ってるんだ??」
「あっ、それはですね~……」
「私達のサポートをしてくれるんでしょ?」
「え?」
「公私のサポートしてくれると思ってるんだけど………違った?」
「いや、違わないが……」
香奈美が言った意外なその言葉に僕は驚いた。少し心が開けたからだろうか? と思ってたところ、さっきまで嬉しそうに頷いていた陽花が「あれ?」と呑気な声を上げる。
「早乙女さんじゃないですか~? どうして、二人が一緒に……? えっ、もしかして輝さんとお知り合いだったんですか?」
そして咲は彼女に詰めるような厳しい言い方で、かつ得意げに言う。
「私と輝憲とは小さい頃からの幼馴染よ! ホクロの数まで知ってる仲っ、一緒に登校するのは当たり前!」
「あ……そうだったんですね……」
少し申し訳ない顔をする陽花だった。いや、なに今サラッと凄いこと言ってんの????
「それより……」
次に幼馴染は僕と香奈美とちろちろと交互に睨んで、低い声で訊いてくる。
「なんでそこまで話が進んでる訳??」
「え? いや、なにそこまで怒ってんの?」
「当たり前じゃない!? 昔からあれほど女子に興味がないあんたが、どうして女子のサポート役なんてするのよ!!? ましてや知らない女子になんてもっと無理難題を……!」
待ってと、香奈美は咲の話を制止する。
「この話は私達の問題。なんでこの話を知ってるかは分からないけど、テルの幼馴染の貴女には関係のない話」
「なに!?」
「………」
二人は互いをじっと睨み合う。一方は熱く、もう一方は冷たく。陽花はこの光景を見て、ジタバタしている。そして僕は停戦交渉を試みた。
「こ、このままだと遅刻するぞ……?」
急いで登校し、僕がクラスに着いてからというもの、香奈美が隣からやたらじーーーーーーーーーーっと僕を見てくる。僕はこの状況に耐えきれず、授業中に彼女へひそひそと問いかける。
「ど、どうした?」
「………」
何も答えない。困った、一体どうすれば……?
「……テル」
「あ……なに?」
「あの子は貴方の……なんなの?」
「へ? あ………ただの腐れ縁だけど?」
「ふーーん……」
なにやらいまいち納得してなさそうな反応だが、とりあえず目線は外してくれた。
そして放課後部活終わり、いつもの校門前に向かっていると、真っ赤に頬を膨らませて、眉をひそめた咲の姿がある。そういえばあんな風に怒ってる咲の姿なんて僕は今まで見たことがなかった。
「………どうした?」
「どうしたもこうしたもないわよっ。なんで知らない女子とあそこまで仲よくなってんの!?」
「いや、別にそこまで仲よくなってないだろ?」
「いいえっ。今までの貴方なら、他の女子とあそこまでの進展は考えられないわ!」
「………。母さんに頼まれたから……」
「それは表面的な理由ね。本当は何……!?」
「特に理由なんてないぞ? ………ただなんとなく」
「なんとなく……」
咲は僕の顔をじーっと視る。なんだろう、変に恥ずかしい。
「………そ。そうなのね」
そういって彼女はただよそを見て、無言で歩くようになるのであった。
そして家に戻ると、ウチのリビングに母ともにもう双葉姉妹が来ていた。
「……テル」
「輝さん、どもで~~す♪」
「二人とも、どうした?」
「なに言ってんの~、あんたがこれから彼女達のサポートをしてあげるんでしょ?」
「え? うん、そうだけど……?」
「それじゃあ近くのスーパーを案内してあげてね」
「え? 僕が今から?」
「当たり前じゃない、公私に渡って彼女達をサポートしていくんだからっ」
「~~~~っ」
「それより兄ちゃんw」
「………ん、なに?」
「咲ちゃんなにか言ってた?」
母はにやにやしながら訊く。あそこの家とも古い付き合いだから、咲のこともよく知っている。
「……いや、まあ始めは反対してたけど、さっきはそこまでそんな感じには見えなか……」
「さっき!?」
双葉姉妹が同時に大きな声を出して、(しかしトーンの高さは違うから)声がハモる。二人とも目が見開いている。
「……え、どうした?」
「輝さんて、放課後にも早乙女さんと一緒に帰ってるんですか!?」
「え、あ、まあな」
「同じ部活……?」
「いや、あいつは弓道部だから違う」
「……」
二人はともに黙ってしまった。しかし反応は二人とも違って、香奈美は眉間に皺を寄せて口を尖らし、陽花は眉をひそめて哀しげな顔をする。
「えーー輝さん、そこまで早乙女さんと一緒にいるんですか……!?」
「え? いや、昔からいつもそんな感じで………変か?」
「……そんなの……人じゃない……」
「……え? 香奈美?」
「さあ早く、私達も近くのスーパーにエスコートしなさい!!」
へ? なんか怒ってる?
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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