双葉親娘
怒濤の最新話っ!
二話です!
「な……な、な……なん!??」
「あらあら、兄ちゃんったら! こんな可愛い子達がウチに来たからってそんなに舞い上がってもう!」
「ち、違う! 僕はただなんでクラスの転校生がウチにいるのかが不思議なだけだ!」
「ふーん、そうなの~? ………まあ、良いわ。それじゃあ紹介するわね。この方がかつて私の同僚だった双葉琴葉さんで、そしてこの二人が娘さんの香奈美さんと陽花さん」
「こんにちは~、お母さんにはいつもお世話になってます」
「……ペコン」
「宜しくなので~す♪」
「こ、こちらこそ……」
双葉さんのお母さんはともかくとして、転校生の方は静かだが、もう一人のそっくりな方はやたら明るくて、この二人……なんか対称的だな。
陽花と名の彼女は顔は転校生と瓜二つだが、髪が首までのショートヘアだ。目はぱっちりとして可愛らしく、転校生と同様に胸も大きい。
静かな方は黒のニーソで、明るい方は普通丈のソックスだった。そしてスカートは二人とも短めの丈……、
じ~~~~~……。
彼女達二人がやたら僕をじっと見てくる。ジト目と好奇の目で。
「……?」
「………なに?」
「え? いや、その~……」
「きっと双子と知って驚いてるんだよ~」
「……ま、まあ、そんなところかな~?」
「………」
確かにいつもは女になんて興味なくスルーしてるのに、今回は変に見てしまっていた。な、なんでだろう?
そう僕は自問自答していると、母親たちの会話に花が咲く。
「なーに言ってるの琴ちゃ~ん! いつも私のフォローしてくれてたのは琴ちゃんじゃな~い?」
「けど案件が一番多く通っていて、仕事を先導してたのはいつも麦ちゃんの方よ~?」
「あの時はたまたま部長との相性が良かっただけよ~」
「ふふふ~、確かにあの時は周りで変な噂まで立ってたものね~」
「ほほほ~……」
「ふふふ~……」
な、なんだろう………。仲良いのか対立してるのか、よく分からん。
「ねえねえ」
僕の肩をちょんちょんと触ってくるのはショートカットの女子。
「君は~…………」
「も~、ちゃんと名前を覚えてくださいよ~。良いですか~、一度しか言いませんからね~! 陽花です、陽花っ。太陽の“陽”にお花の“花”で陽花です!」
「お、おう……、それで?」
「この写真なんですけど~」
「……!?」
この写真とはトロフィーとともにリビングに置いてある僕が子供の頃に撮ってもらったヴァイオリンコンクール時の写真だ。
「ジュニア部門で凄い賞をたくさん取って、しかも楽しそうにしてるのに、なんで辞めちゃったんですか?」
「う……、それは~……」
目をキラキラさせて、やたらこいつぐいぐいくるな……!?
「た、ただ……辞めた理由が出来たから、辞めただけだ!」
「その理由ってのは?」
「~~~~!!?」
「言ってあげなさいよ、子供の頃の話でしょ? 『男の子は強くないといけない』って友達に言われたからって」
「ちょ、母さん……!?」
「よく公園で遊んでた子に言われたんですって~。あの時は泣いて帰ってきたから覚えているわ~。詳しいことは言わなかったけど、あれは絶対に失恋と見たわね~」
「母さん!!?」
楽しそうに語る母さんをよそに、僕はどんどん心拍数が上がり、顔というか耳まで熱くなる。やばい、これは~っっ。
「ぷっ、この子はすぐ顔に出るというか、自分の恥ずかしいことを相手に知られると、すぐ顔が真っ赤っかになるのよ~w」
「ちょっ、いちいち言わなくていいよっ!!」
くそっ、こんな事実を知られたら、さっきの明るい方には絶対笑ってく…………ん?
しかし彼女はなんの反応もなく、元の写真立てに戻していたのだった。
「はあ~。私達にまで隠してないで、そろそろ本題を言ったら?」
「あ、ごめんごめん。そうだったわね。輝憲君も来たところだしそろそろ言おうかしら」
「あ、そうね。……こら、いつまでも照れてないで、話を訊きなさいよ? 実は双葉さん家は転勤族でね、つい最近まで県外にいて、この市に住むのは今回が初めてなの」
「そうなの。別の場所には住んだことがあるけど、この市は初めてで……」
「だからあんたに頼みがあるの」
「………?」
「双葉さん姉妹を公私ともにあんたがこれからサポートしなさい!」
「…………はえ?」
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