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双子の転校生

始まりました

新連載です!

「ふふん、ふ~ん♪」


 と、僕の隣をリズミカルに歩いている幼馴染が、なにやら愉しげにイヤホンをしながら鼻唄まじりに何かを聴いている。


「………」

「んふっ♡」

「……なに聴いてんだよ?」

「ん~、これー? あ、けど輝憲に言ったら、どうせまた嫌味言われそ~♪」

「なんだよ?」

「『コス恋』のMAD聴いてるの」

「あー、出た出た。ま~た新しく始まった今期のラブコメアニメじゃないか。まったくお前は本当に恋愛好きな?」

「当たり前でしょ~? 年頃の乙女なんだから、恋したい気持ちでいっぱいなの!」

「通年欲情乙女」

「なんですって~~!? この万年枯木男!」

「誰が枯木だ、誰が!」


 僕は土岐(とき)輝憲(てるのり)、市内に住む県立高校二年生だ。こいつは幼馴染の早乙女咲。小学校からの同級生で、ツインテールにぱっちりつり目のいわゆる派手め美少女だ。しかし内面はのんびりマイペースのオタクである。

 マンガ、アニメ、ゲーム大好きで、暇さえあればいつも何かしらのオタ活をしている。そして最近の推しは『遊佐君』らしい(全然分からん)。しかもこれで成績優秀なんだから侮りがたい。


「あんたのことよ~」

「ふん、まったく恋愛なんてくだらねー」

「はー、出た出た輝憲の厨二病発言。これだから欲求枯渇男子は」


 なにやら幼馴染がくだらないことを言い始めたので、僕は駆け足で学校へさっさと急ぐことにしたのだった。


◇◇◇


「おい、聞いたか土岐」

「なにが? 織田」


 織田は中学からの同級生で、どこからか仕入れてきた情報をいつも持ってくる校内きっての情報通だ。


「新学期早々、新たに転校生が来るらしいぞ」

「ふーん、なるほど? 道理でクラスの連中が浮き足立ってるはずだ」

「しかも女子みたいだ!」

「興味ない」

「かー、これだから性欲皆無オバケは! それでも男子高校生かよ!?」


 ん? どこかで聞いたような言い方だな?


「誰が欲求皆無オバケだってー?」

「おめーだよ、おめえー」

「ふん」


 僕はカバンから教科書を出し織田の話を遮った。


「まーた、飽きもせず勉強か~? また校内上位にでも狙ってるのか?」

「当然だ。男ってのはな、名門大学に入って、大企業で働くのが理想の道なんだ。立身出世せずして、男の甲斐性はないんだよ」

「…ふーん、それはご苦労なこってっ」


 やれやれと言いながら彼は去って行き、チャイムが鳴るまで僕はひたすら勉強をしたのだった。隣の席が空いてることも気づかずに。


 キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン……。


「……はーい、では今から転校生を紹介します。はい、入ってきて」


 そしてドアがガララと開く音が鳴ると、わーと歓声が広がる。


「可愛いー」

「きれー」

「はーい、みんな静かにー」

「兵庫県神戸市から来ました……香奈美(かなみ)です。宜しくお願いします」

「どうやら……葉さんは……転勤……だそうです。皆仲良くするように!」


 そしてがやがやとクラス中が賑やかになり、正直少し騒がしくなる。

 コツコツコツ……。ふわ~っ。

 そして横から洗剤のような良い香りがして、見ると知らない女子が隣の席に座る。二重のジト目で背中まで伸びた黒髪の美少女だった。僕はその子と目が合い、彼女は少し無愛想気味ながらも挨拶をしてくれた。


「よろしく」

「あ、あぁ……」


 そして僕は隣が気になりながらも、勉強に集中したのだった。


◇◇◇


 放課後部活帰り。僕は校門の前で咲を待っていた。


「ごめーん、遅くなって~」

「おう」


 そして僕達は家に帰る。


「そういえば今日さ~、うちのクラスにめっちゃ可愛い女子が転校してきてさ~」

「なにお前のところも!?」

「え!? 輝憲のところにもー!?」

「同時に転校してくるなんて珍しいな。名前は?」

「双葉ちゃんだって。そっちは?」

「………」

「……どうかした?」

「………覚えてない」

「なんだそれは……?」

「まあ、とにかく静かそうな奴だったな」

「ふーん、それなら別じゃない? とても明るい子だったわよ?」

「ふーん、そうか……」


 ま、僕には関係のないことだ。


「それにしても珍しいわね」

「ん、なにが?」

「輝憲と女子の話をするなんて」


 ……まあ確かに?


「……気になったの?」

「え?」

「その子のこと気になったの?」

「……いや、別に?」

「ふーん、そ……」

「?」


 咲は少し唇をツンと尖らした顔になっていた。

 そうして僕達は途中で分かれて、僕は帰路につく。


「ただいま~…………?」


 いやに奥の部屋(リビング)が賑やかだな……。母さんと………他に誰か……?

 僕は自分の部屋に行かず、そのままその部屋に入ってみた。


「ただいま~」

「あら、兄ちゃんおかえりなさい♪」

「うん…………え!?」


 見るとそこには母の他に、一人のおばさんと二人の……、


「紹介するわ。私の仕事仲間だった飯野……ごめん双葉親娘よ」

「お邪魔してます」

「……コクン」

「こんにちはー!!」


 ……顔が瓜二つで同じ高校の制服を着ている美少女JKたちがいた。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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