9
「まずはそうね、陰陽寮ではクリプトを扱えて武芸に長けた魔導士を武人、魔導に長けた魔導士を陰陽師と呼んでいるのだけど、貴方の師になってもらう老師は桜の国のあらゆる武芸の祖たる北居の武術の継承者よ北居のおじいちゃん、あっ神主ね、の弟よ。老師は引退こそしてるけど間違いなく桜の国で最高の武人よ。」
「そんなすごい人にいきなり師事出来るんですか?」
「えぇ、老師は今誰も弟子を取ってないの弟子を取っても厳しすぎてすぐ弟子に逃げられるみたいね、そうゆう私も老師から逃げた弟子のひとりなんだけど。ゴホン、とにかく老師は暇だったらしいから即答で貴方の事を引き受けてくれたわ。だから日中私が公務で外してる時は老師に武術や兵法を習いなさい、魔導に関しては私が隙を見て直々に教えてあげるわ。取り敢えずそろそろ老師と約束の時間ね、昨日一緒にエレベーターに乗った彼女、覚えてるかしら?彼女に案内させるから老師のところにいってらっしゃい」
昨日の女中さんに案内されてやってきたのは広ーい道場だ。普通の道場と違う所として隅に病院にあるMRIのようなベッド付きの機械があるところだ。一礼して靴を脱いで裸足で道場に上がる。中央に老師と思わしきスキンヘッドの老人が立っていた。
「貴様が快か。ふむ、取り敢えず道着に着替えろ」
はいと返事をして投げつけられた道着に着替える。いや待てこの人道着なんて持ってたか?どう見ても手ぶらで立ってたのだが。
「着替えたな。取り敢えず基礎トレーニングだこの表に書いてあることをこなせ」
表には強豪体育会系部活くらいの厳しさのトレーニングが書き連なっていた。ランニングや縄跳び、腕立てなど一通りこなす。幼いころから北居の山々で遊んで付けた体力だ、都会っ子よりは自信がある。
「終わったな。この表の内容は儂が休息日と言った日以外毎日ここへ来て最初にこなすように。ついて来い。あのベッド付きの機械、機械獏について教えてやる。」
老師について行き、MRIのような機械のところへやってきた
「お前は獏という妖怪を知っているか?」
「確か夢を食べるとかって聞いたことがあります」
「うむ、それは獏の能力のほんの一部に過ぎない。獏の能力は夢を食べて夢を食べられた人間の夢を置き換えたり繋げたりすることだ。本来は獏は予知夢に食べた夢を置き換えて悪い未来を回避できるようにしてくれるものだが我が国では獏の飼育と能力の制御に成功した。この機械獏とは獏の能力を使って夢の中で安全に模擬戦を行う機械だ。」
今回もお休みさせていただきます。