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今回から設定解説の情報量多めのパートになります。お付き合いいただけると嬉しいです。
「陰陽師って知ってるかしら?」
「あのドーマンセーマンとかいう?」
「あらよく知ってるのね道満も晴明も平安時代の伝説的な陰陽師ね。」
流石にローポリの変なダンスを想像していたとは口が裂けても言えずそのまま話を聞く。
「陰陽師っていうのは決してオカルトの類ではなくて今日まで実在してるの。そして私たちがいるこの皇居の地下が陰陽寮本部よ。桜の国だと陰陽師や修験者に忍者、外国だと魔女や錬金術師なんかもいるわね。挙げたのはほんの一例だけどこれらの総称を魔導士と呼ぶわ。魔導士はクリプトというゲームやアニメなんかで言う魔力みたいなエネルギーを操る事が出来るわ。さっき貴方を襲ったアレね。ここの濃度に慣れてるから本物の神様とご対面でもしない限りもう酔うことは無いでしょう。」
「入寮ということはその陰陽寮に入れと?」
「えぇ、陰陽寮の仕事はここの一つ下第一層にあるゲートの守護ね。紀元前の頃は世界中にクリプトが溢れていて至る所に魔導士が居たわ。でもそれと同時に世界中に魔性が発生することにもなったの。その状況を憂えた神様が世界中に溢れているクリプトを世界数十か所に異次元を作って集約することで、魔性が発生する地点をその異次元の中のみに絞り込んだの。その異次元をMAOW、出入り口をゲートって呼んでるわ。」
「マオウ?」
「えぇ英語でマジカリーエリアオブワールドの略だったかしら。この国では魔性に逢う場所だからそのまま魔逢うって呼ぶのが主流ね。」
「つまり陰陽寮は千年以上人知れず異次元に湧き出てくる化け物退治をして化け物が地上に出ないように守っていたって事ですか?」
「その認識で相違ないわ。そして代々私たち桜皇というのは世界最強の魔導士とされているわ。」
桜皇様はえっへんと可愛らしく胸を張って見せた。
「理由は神の血を引き継いでいることとか三種の神器とか色々あるけどそのうちの一つがこの目よ」
桜皇様は自分の金色の瞳を指さしてみせる。
「この目は桜皇に代々受け継がれてる見定めの魔眼って言ってね見た対象の魔導士としての才能を見抜けるの。そうやって歴代の桜皇は強い魔導士と血を交えてその力を維持しているのよ。快、貴方は私が今まで見てきた中で最高のポテンシャルを持ってるわ。それが貴方を婿にしたい理由よ」
~MAOW~
魔導的特異点の略。現世に魔が発生しないように展開された結界の内側。入り口はそれぞれだが内部には異空間が広がっており、各国の魔導組織が自国のMAOWの管理を行っている。MAOW内部には高濃度のクリプトが充満しており一部のゲートからはそれが漏れ出ている。