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桜皇様について行くと1台のエレベーターにたどり着いた。
「ここから地下に行くわ。地下深くなるほどクリプトも濃くなるから初めての貴方は酔うかもしれないけど頑張ってね」
桜皇様が下から二番目のボタンを押すとエレベーターが物凄い速度で降下し始めるのを感じた。というか文字盤の数を見て地下何階だよとツッコもうとした瞬間ソレは来た。頭に膨大な情報が流れ込むような感覚。身体中にエネルギーが満ちわたるが不思議と力が入らず立っていられなくなる。快は手すりに捕まり何とか耐えようとする。
「始まったわね」
「桜皇様、流石にクリプトにまともに触れたことすら無い人間をいきなりこのエレベーターに乗せるのは酷なのでは」
「彼なら大丈夫よ」
そう言って桜皇様が満面の笑みを向けてくる。世界最高の美少女の笑顔を見て少しだけ頑張れる気がした。息も絶え絶えになり意識はあと一歩で落ちそうなところまで来たが足腰に全ての力を注ぎこみ根性で踏ん張る。チンとエレベーターが到着した音が聞こえた。だがエレベーターが到着した所でこの地獄が終わる訳ではない。エレベーターの手すりに体重を預けながらしばらくの間踏ん張っていた。どのくらい耐えていただろうか、ふと一瞬で苦しみから解放された。楽になった体を起こす。
「あら、早かったわね。お疲れ様。」
「噓でしょ?ゲートのすぐ上、第二層のクリプトをいきなり浴びたんですよ?才能の無い人なら即死、どんな名家のご子息でも数日は寝込みながら慣らすものを10分で?」
「私のこの目に間違いはないってことよ。私のいえ、私たちのね。私たちの部屋はすぐよ」
桜皇様についていくと廊下に突如巨大な鳥居が現れた。
「では、私はここまでですので」
「えぇ、お疲れ様。あとで忘れずに二人分の夕食の食材と快の着替えを持ってきてね」
女中さんは深く礼をしながら俺たちが見えなくなるのを待ってくれいているようだ。桜皇様の後に続いて鳥居をくぐる。するとさっきまで鳥居越しには何も見えていなかったのに中には洋風の一軒家が現れた。
「この家は先代、お母さまの趣味なの。見てくれは小さいけど中は空間歪めて広くなってるわよ」
その言葉の通り中は広々とした豪邸のようだった。まるで仕組みが分からないが桜皇様は現人神だと言うし、そうゆうものなんだとこの衝撃を胃液に溶かす。
「その右手の部屋が使ってないから貴方の部屋よ。まだ何もないから家具は式神に用意させておくわ。こっちの正面がリビングね。ソファとかダイニングテーブルもあるし取り敢えずそこで一休みしながら続きを話しましょうか。あ、左の手前が私の部屋で奥がトイレとお風呂と洗面台よ」
リビングに入ると桜皇様はソファーに腰掛けてここに座れと言わんばかりに自分のすぐ隣をポンポンと叩いている。恐る恐る腰掛けるとあろうことか桜皇様は快の方にもたれかかってきた。
「ろっ桜皇様?」
「結界の中なら、さっきの鳥居の内側ね。私の事は名前で呼んでもらって構わないわ。明花って呼び捨てにしてくれてもいいし、、明花ちゃんってちゃん付けでもいいわ。同い年の男の子にちゃん付けで呼ばれるの憧れてたのよね~。あ、様だけは無しよ外じゃどこ行ってもサマサマ、サマサマ聞き飽きたのよね」
「流石に呼び捨てもちゃんも畏れ多いので明花さんでご勘弁を、、」
「しょうがないわね。でも貴方は私のお婿様なんだから外ならともかくここでは敬う必要もないわ」
「えっと今なんと?むっ婿?」
「あら?言ってなかったかしら?そういえば有無を言わさずここまで連れてきちゃったわね。夕食まで時間もある事だし、順を追って説明しましょうか。」
~桜皇の居室~
皇居地下に存在しており桜皇に対して害意のある人間が入れない結界の中に存在する異空間である。侍女なども中へ入ることが許されず内部の管理や家事は無数の式神が行っている。