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「今の試合、あまりにも瞬殺だったが一体どんなトリックだ?」
観戦室には新人のスカウトの為陰陽寮の様々な派閥のお偉方が集まっていたが老師以外誰も快の行った攻撃に対する答えを持ち合わせておらず暫く沈黙が続いていた。
「雷よ、霧の魔術は目くらましではなくて射程向上の為ね」
沈黙を破りこの場所には似つかぬ一人の少女が口を開く
「おぉーお前は聡いのぉ」
隣に立つ老師が頭をガシガシとなでる。
「やめてよ大叔父様髪が乱れるじゃない」
とは言っているものの彼女は若干嬉しそうだ。この場にいる全ての人間は彼女の事を知っている老師の妹の孫にして一番弟子、そして桜皇様の幼い頃からの遊び相手として一緒に育てられたツバキだ。
「あ奴の雷は儂の腕を暫く麻痺させるほどの物じゃ新人が喰らったら即死じゃろうて」
「大叔父様が鍛えたの?ふーんじゃぁ大叔父様と桜皇様の推薦ってアイツね。へぇー面白そうじゃない」
「タネを見破ってもあ奴は強いぞ?」
「へぇーなんかマズそうじゃない。うちの娘勝てるかなー」
白衣を着たメガネの男性がポツリと呟いた
そんなやりとりが観戦室で行われているとはつゆ知らず快はあまりにも一回戦が早く終わりすぎた為他が終わるまでの待ち時間を食らっていた。機械獏の待機室で虚空に仕舞っていた明花様に貰ったお茶を立てて饅頭を頬張りながら茶を啜っていた。機械獏の中で飲食しても現実では減っていないので2度楽しめてお得なのだ。丁度茶を飲み終わったころに呼び出され第二試合が始まった。
「ミスト」
第一試合と同じように霧の魔術を使うが
「目隠しか!?その手は食わねぇ風遁・扇風の術!」
勘がいいのかミストの魔術は言葉通り霧散してしまった。するとお互い目が合う。パンクな恰好を見るに全然忍べてない見習い忍者のようだ。
「見つけたぞ!火遁・爆発手裏剣の術!」
彼は懐から手裏剣を取り出し術を込めるとこちらへ投げようとする。が、それより早く快の斬撃が届く
「抜刀術・飛龍」
この技は老師に教わった斬撃を飛ばす飛刀術と抜刀術を組み合わせて最速で斬撃を飛ばす技だ。威力はそこそこだがこの出の速さはかなりのアドバンテージになる。今回の斬撃は相手の手裏剣を構えた腕を切り落とし
「あっ」
彼の目の前で手裏剣は大爆発した
「爆発オチなんtーー」
彼は言い切る事も出来ずに塵になってしまったのだった。快は待機室にある量産品の刀を持ち出しておいてよかったと胸をなでおろすのだった。
飛刀術
斬撃にクリプトを乗せ遠方へ飛ばす技。古くは鎌倉時代、元寇の戦艦を刀の一振りで粉々にした豪傑がいたとか。便利なのだが刀の寿命を縮めるという欠点がある。しかし一定の水準以上の業物であれば反動はノーダメージだ。