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老師との特訓が数日続き快の実力は着実に向上していた。そんなある日の朝
「今日は私祭儀も公務もほぼお休みだから私が稽古つけてあげるわ」
明花様と一緒にいつも老師と利用している機械獏へ入る。
「老師から魔法と魔術について位は聞かされたからしら?」
「簡単には、魔術は術式を勉強して使うもので魔法はセンスでクリプトを操作して扱うって」
「その通りよ。そして私と快は貴重な魔法を扱える人間、だから私くらいしか貴方に教えられないの」
「一応老師とクリプトを操作する訓練はしました」
「どれくらいになったか見せてくれるかしら」
快は手にクリプトを集中させ手のひらから小さな雷の柱を作り出す。
「想像以上の上達速度ねでも実戦で使えるレベルには程遠いわ。魔法がどうゆうものか見せてあげる。」
「日輪焦ガス天明ノ光」
彼女がそう言い放つと彼女の背後に4つの光球が浮かび上がりそれぞれから極太ビームが別の方向に飛び出す。
「これを制御するとこうなるわ」
ビームは次第に同じ方向に飛んでいきある一点で収束するようになり、着弾点で巨大な爆発が起こった。物凄い熱量だ。老師に鍛えられて身体をクリプトで保護する方法を学んでいなければこの遠距離の爆風だけで大やけどを負っていただろう。彼女の方を見ると
「大丈夫?張り切ってやりすぎちゃった」
テヘっと言わんばかりの悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
「いずれ貴方もこのレベルの魔法が使えるようになるわ、取り敢えず簡単な魔術と威力の低い魔法を練習していきましょう」
明花様と数時間二人きりで魔法を練習した。最初雷の小さな柱しか出せなかったのが次第に狙った場所に向けて電撃を飛ばせる程度には上達した。魔術は一先ず霧を出すミストという魔術を練習した。これを使えば相手から身を隠したり手の内を隠したりと色々と便利なのだそうだ。
「今日はこれくらいにしましょう。来週私と老師が来月の入寮が可能かテストする予定だからちゃんと私が居ない時も鍛錬しておくように。老師も明日から貴方に武技を教えるって言ってたし」
機械獏を出るとクリプトを機械獏の中でとはいえたんまり使った後なので精神的疲労が押し寄せてきた。日常的に身体にクリプトを纏わせてクリプトの消費を慣らす訓練はしているが流石にこんなに消費すれば疲れる。恐らく明花様のペースに合わせてバンバン魔法を撃ったからだろう。
ミスト
術者の周囲を濃い霧で包む魔術。制御がほぼ要らないことから水属性魔術の基礎としてよく鍛錬に使われる。術者のクリプト量によって濃さと広がる範囲が変化し、制御することである程度範囲を操作することも可能。実戦ではミストによる霧はクリプトを含むため感知されやすく風魔術で簡単に晴れてしまうが最も簡単な目くらましとしてメジャーである