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老師は気絶した快を抱えて桜皇様の部屋のフロアへ降りてきた。
「明花様よ、この小僧何処で拾ってきた?」
「拾ってきたのは源武爺様よ」
「ゲン兄ぃということは北居におったという事か」
「悟が神隠しに遭ったことは聞いたでしょ?彼は悟の親友で彼の周りでただ一人彼の事を覚えていたそうよ」
「悟の近くにこんな化け物がおったとは、兎に角その小僧の能力は素性の知れないうちは危険なものだ。しっかり力の制御を学ばせろ」
「初日から彼、何やらかしたのよ?」
「儂は完全に油断しておったとはいえ機械獏の中でこ奴に殺された、気絶しておるのは初めて魔法を使った反動じゃ。」
流石の明花様も目を見開く
「センスだけで初見で魔法を使ってそれも老師を殺せる威力なんて流石に使ったのが機械獏の中で良かったわ、外なら命に関わるものね」
「しかもこ奴が扱った属性は4大属性ではない、桜の国では前代未聞の雷じゃ。こ奴は素手で儂に飛び掛かり腕を極めようとしてきたかと思えばクリプトを放出し儂の心臓を止めるほどの放電をしおった」
明花様は眉間を寄せて少し考えていた。自分が見抜いた快の素質が扱いようによっては劇薬になりかねない危険な物だ、そもそも4大属性以外の魔法を扱える人間は一種類しか居ない。ソレがよりにもよって雷が、、
「明花様よ思索にふけっているところ悪いがそろそろ小僧が起きそうじゃベッドに移してやってくれんか?儂も歳でのずっと男子を背負うのも腰に来るというものじゃ」
「そうね、こんなこと今考えていても仕方ないわ、彼が力の制御が出来るようになってからじっくり考えましょう」
明花様は2メートルほどの式神を呼び出すと快を載せ自分の居室へ飛ばしていった
「老師、今日はご苦労様。明日からも彼の事よろしく」
「あぁそうじゃ、一つ言い忘れておった儂と明花様が本気で鍛えればこ奴、来月の今年の入寮に間に合うやもしれんぞ?」
「あら?それは面白そうね、じゃぁメニューの組みなおしもお願い」
「仕方ないのぅ」
快は自分が気絶してるうちに一年間の地獄が濃縮された一か月の地獄へ変更されようとしていた。果たしてどちらがマシだったかは考えない方が華というものだろう
魔法:魔術と違い魔導士の中でも特に才能のある者にしか使えない。基本的に4大属性のうち一つに先天的な適性が強い魔導士が行使出来る。魔法は魔術と違い理論ではなくセンスの世界なので制御や発動等に術者毎の癖が大きく出るが逆に癖が強いため魔術法則にに従う魔術とは違い相手からは対策がしにくい。また詠唱や術式構築の必要が無いため発動速度が速かったり脳の情報処理能力が低くても無理やり発動できる。