お使い、始めました
この世界では5歳から学校に通う事になる。
今4歳の私とお姉ちゃんは来月の4月から学校に通う事になる。ちなみにお姉ちゃんは私より10ヶ月早く生まれた同い年だ。
下級学校に8年在籍するのはここの国のでは義務となっている。いわゆる義務教育だ。下級学校を卒業したら2年制の中級学校に在籍する事ができるらしい。中級学校は現代でいう高校と同じ扱いのはずだ。
ひとまず来月の4月までは暇なのでいつも通りの日常を過ごせば良いと思う。学校は通学と寮を選択できるが、私は今の家族も大好きなので通学しようと思う。
寮だと男子寮と女子寮どっちに入れられるか分からないからね。
取り敢えず今私がすべき事は特にないはずなのでお昼ご飯を食べたらまた植物研究でもしようと思う。最近は植物の持つ能力を解明しようとしている。根の根元部分に毒性がある植物を発見し、それを痺れ薬の様な使い方ができる事を発見した。(根っこを齧ってみたら30分くらい動けなくなった)他には血糊の代わりに使えそうな液体をだす植物や茎が滅茶苦茶甘いもの、インクもどきを出す蕾を持つ植物など、色々発見しているので、研究欲が強くなっている。ただし、痺れ薬の様な失敗をもうしない為にパッチテストをするようにしたのは最近の事だ。致死性のある毒無いとは限らないからね。もしかしたら死んでももう一回があるかもしれないがやっぱり死ぬのはいやだ。前世なんてなんで死んだか覚えてないし、死んだとも限らないからねぇ。ただ神様に会えなかったのは残念かな.....
思考があちらこちらにいっていながら、私は図鑑を持ち姉と一緒に外へ行くのであった。
2年近く植物図鑑を持ちながら歩いているもんだから近所の人には顔を覚えられている。植物人間だとか失礼なあだ名をつけられている事は知っているが、気にしないでおく。ウチの姫さまは気づいてないみたいだからね。
「伊織ちゃーんちょっとこっちきて!」
薬屋のおばちゃんに名前を呼ばれたのでおばちゃんの所まで行く。
「こんにちはおばさん!何か用ですか?」
「今日も草摘みを手伝って欲しくってねぇ、そこらへんの奴らは雑草と薬草の区別も付かなくて困るわよねぇ」
「ホントですよ!この前なんて草はただの草だろなんて言ってる人がいたので、小一時間草の違いを教えてあげたんです!」
「あらあら、小一時間語れるなんて伊織ちゃんは博識で凄いわねぇ。あ、そうそう今日摘んできて欲しいのはセンソウ草なんだけど、どんな草か知ってるかしら?」
「勿論ですよ!あの茎が激辛で実が激甘な変な草ですよね!」
「正解!あれの種が欲しいんだけど、実5個分くらい採ってきてくれないかしら?いつも通りお礼もちゃんとするから」
「わかりました!今日もよろしくお願いします!」
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そうして私達はいつもの公園に行った。センソウ草は公園の奥側に生えてる。尤も、公園の奥なんて全然整備されて無くて森みたいなものなのだけれど。一応公園自体は街の中にあるので危険な動物が出る事はない筈だ。これまで見つかった事はないし。
パパパッと採ってすぐおばちゃんの所に戻ろう......あれ?何か変なものが落ちてる。
「勾玉?なんでこんなものがココに?」
「いおりはコレが誰の物か知ってるの?」
「あ、ううんお姉ちゃん似た物を本で読んだ事があるだけだよ」
嘘だが。
「家にコレが載った本ってあったっけ?」
「あーっ、えっと、この前お姉ちゃんがお母さんの手伝いしてるときに外で旅人さんに本を読ませて貰ったんだ。そこに載ってだけ」
嘘だが。
「そうなんだ、やっぱりいおりは凄いね。取り敢えず自警隊さんの所に持っていってからお姉さんの所に行こっか」
「うん、センソウ草採りにいこっか」
自警隊とはこの世界の警察みたいな物で、国では無く各地方ごとに自由に作っているもの、らしい。他の地方の自警隊の話はあまり聞かないので知らない。複数の街を行き来する事はあるけれど、地方を移動する事は基本ないからだ。
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「おばちゃーん戻ったよー!」
私達は勾玉を落とし物として自警隊の人達に渡した後おばちゃんの所に戻ってきた。お礼が今から楽しみだ。
「もう戻ってくるなんて2人とも4歳なのに優秀ねぇ」
「いおりは凄いんですよ!あの公園にある植物だったら知らないものなんてないですからね!しかも図鑑にある植物を全部.....」
「お姉ちゃんストップ!褒めてくれるのは嬉しいけど勉強を教えて貰う方が優先だよ!」
「あっ、えっと...そうだね...」
お姉ちゃんが少し物足りなそうに残念がっている。ここ最近発覚した事だが、ウチの姫さまはシスコン、いや私弟だからブラコンか。まぁいい。それに私は生まれた時からシスコンなので特に問題は無い。
「仲が良くて羨ましいわね、ウチのガキ共は頭が悪いから薬のこと教えても全く覚えなくてね....あんた達みたいな子がウチの子供だったら良かったのにねぇ」
「今日は何を教えてくれるんですか!?」
「昨日は護身用足止め用のネバネバの作り方教えたから...今日は病気の勉強をしようか?」
「「わかりました」」
私達は、草摘みのお礼として薬の作り方や勉強を教えて貰っていたのであった。
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「「ありがとうございました!」」
夕暮れ時にいつも勉強会が終わり、晩ご飯に間に合う様に家に帰るという事をここ一年週に3回くらいのペースでしている。薬の知識や国語、算数などを教えてもらっている。尤もこの世界は何故か日本語が使われているので国語も算数も私にとっては簡単過ぎる。ただ、お姉ちゃんは勉強しなければ知らない事ばかりなので一緒に勉強しているが。
そういえば、この世界の歴史の中で転生者とかの痕跡はあるのだろうか、日本語があるって事は間違いなく日本人が転生してるし、英語をたまに会話に挟んでも大人には伝わるのが当然みたいだから外国人も転生してるのかな....考えるだけ無駄か!学校で歴史勉強することがあったらその時にでも調べよっと。
「もうすぐで私達学校が始まるね、学校ってどんな所かいおりは知ってるの?」
「うーん、私もあんまり知らないかなぁ。ごめんねお姉ちゃん」
「ううん、知らなかったそれでもいいの。一緒に勉強しようね」
「そうだね」
この子はどうしてコレ程可愛い笑顔ができるのだろうか。
「「ただいまー」」
「今日は薬屋さんの所に行ってたのかい?」
「うん、今日は病気について教えてもらったんだよ!!」
「2人ともすごいなぁ!パパは勉強から逃げていたっていうのに」
「あなたも別に勉強ができなかったわけではないでしょ」
「できることとしたかどうかは別だろう?俺達の子供はママに似て優秀みたいで嬉しいぞ!」
「ご飯ができましたよ」
お母さんが晩御飯を持ってくる。
今日はリゾットかぁ、ウチの家族は私含めみんなチーズが大好きだ。そのせいかチーズがよく食卓に並ぶ。お母さんもチーズ系の料理をし過ぎているせいかチーズを焼くのがプロレベルで上手になっている。そんなお母さんのリゾットは非常に美味しい。米はドロドロし過ぎず、かといって固さは全く無く。細かく刻まれたキノコとベーコンがいい香りを漂わせ、強い食欲を引き立てる。色良し味良し香り良し。完璧なリゾットだ。
「「「いただきます」」」
あぁ、やっぱり美味しい。
「来月から2人とも学校が始まるけど、不安になってたりしないかい?」
「大丈夫だよパパ。わたしにはいおりが付いてるから」
「雫は本当に伊織の事が好きね。で、その伊織は大丈夫なのかしら?」
「全然平気だよ?私にもお姉ちゃんがついてるからね。けどどうしたの?突然そんな事言って」
「それはな....伊織についてなんだが、伊織は女の子の学校で学校に行くんだよな?」
「制服が無いって事は好きな服で行っていいんでしょ?」
「そうだが...学校では女の子としてじゃなくて男の子として扱われると思うんだ....だから少し心配で...」
「なんだ、そんな事か。それなら大丈夫だよお父さん何回かお前は男だって言われたけど誰になんと言われようと私は女の子だから」
「逞しいわね」
「大丈夫ならいいんだが、何か嫌な事があったらちゃんとパパかママに言うんだよ?」
「わかってるって」
そんなこんなで入学する日が刻一刻と迫るのであった...




