そして
初めての来訪から一年が経った。端的に言うと俺は今も異世界を訪れている。俺は大学の授業を終えるとボロアパートでは無く、繁華街近くの立体駐車場を訪れた。ゲートの前で立ち止まると警備員がこちらを見上げ目でうなずく。俺は傍の階段から地下2階へ向かった。異世界は思いの他自分の肌に合っていた。殺し、カネを持ち帰り、殺す。ただそれだけだったが、自分はそれにひどく才能があった。
階段の先には扉が一つだけあった。俺は鍵を差し込み回す。扉の奥にあるのは俺が向こうやこちらで集めた道具達だ。壁一面の銃、ナイフ、山と積まれた弾薬。俺はその中からM4と45口径の拳銃を取り机に置く。
俺はそして靴から服から何まで脱ぎ捨てで裸になった。地下の冷たい地面が足の裏を刺す。パンツ、シャツ、ジャケットに、プレートキャリア、タクティカルベルト。全てを身に纏うと、弾が満載の段ボール箱を開く。M4の弾倉を3つ、45口径の弾倉を二つ作るとそれも銃の脇に置いた。M4のシュアファイアとドットサイトの作動を確認してからくまなく本体を確認する。DD社製のハンドガードは寸分のガタつきなく、ボルトの滑りも快調だ。俺は弾倉を弾倉に叩き込み薬室に弾丸を送り込んだ。残響が部屋にこだまする。
それを聞き届ける事なく45口径をカスタムガンに装填するとホルスターにしまった。ランヤードが張り、M4が身体の前で保持される。そして目を瞑ると異世界に向かった。