1 僕と彼女
僕は彼女と付き合い始めた―
これは、僕らが付き合うまでのお話
僕が初めて彼女に会ったのは、高校の入学式。
入学式の日はさすがに認識はしていないけど……
認識したのはクラスの自己紹介
特別かわいいわけでも、目立つわけでもない子。
自己紹介も印象薄い。
けど、僕の心に引っかかる言葉を彼女は残した。
部活は弓道がいい。
僕も弓をやってみたかったから、彼女が気になった。
しばらくして、僕は弓道部に入った
そこには彼女もいた
まだ恋とかそんなんじゃない
だけどうれしかった
彼女は毎日練習に来る
あまり上達はしないのがもどかしい
不器用なのかもしれない
僕も毎日来ていたが着実に上達していた
失礼だが彼女より上手い
なんだかんだで1年で1番に的前に上がれた
つまり、実際に矢を打てるってこと
彼女はまだまだかかりそうだ
夏休み合宿があった
その頃には1年生全員が的前にいた
合宿は長野に行った
四六時中部員と一緒
しかしやはり男女分かれて行動してしまう
彼女とは特に話しなどはしなかったと思う
みんなが練習している間、彼女は1人外にいた
何をしているのだろう
気になったが無視した
帰りのバス
彼女が話しかけてきた
手には何か持っている
彼女は笑いながら
人形あげる
と言った
1人外にいると思ったら雑草で人形作ってたのか…
一言
いらねぇ、ばか
とだけ返した
あいつは相当変わったやつかもしれない
僕は初めて彼女の名前を認識した
どこかの県名と同じ
僕はその後大会レギュラーメンバーになった
彼女もいい線いくが、いつも手伝いをしている
なんてったって女子はすごいのがいる
後の大会で全国大会までいくやつがいるんだから、不器用な彼女にゃ追いつけないだろう
見てると彼女は猿腕らしい
弓道において猿腕は飼い慣らすまでは厄介者だ
そのうち彼女に絶不調の谷に落ち込む
1年生の秋だった
それでも毎日練習する姿は健気だ
その頃、メールアドレスの交換もした
不調の中にいる彼女はどことなく元気がない
僕はCDを貸すことにする
初めてしたメールだった
ここから僕らはたまにメールする仲になった
11月、部の女子に祭りに誘われた
行ってみたがメンバー5人の中に彼女はいなかった
少し寂しい自分に気付き驚いた
冬になると僕らの学校はストーブがつく
よって必要な灯油を運ぶ灯油係というのがいる
僕はその灯油係だった
灯油を持って教室に入ると、すでに朝のホームルームをしていた
仕方なく灯油を持ち入り口付近で待機する
そこはちょうど彼女の席の前だった
話をした
これから毎朝ぼくはここで話すのが日課になった
彼女にノートを借りたくて授業中わざと寝たりした
逆にノートを貸せるように彼女が寝てる時は板書に励んだ
テストがあれば見せ合った
テストに関しては彼女はいい点数ばかり取る
僕は得手不得手がはっきりした点数ばかりとる
冬が開けるころ、他の部員に
お前あいつが好きなんだろ?
などと言われた
まだわからない、しかし否定は出来なかった
春になると、役職が代替わりする
僕は部長になる空気がしていた
中学校でも部長をしていた
向いていないが、好きだったんだろう
彼女は役職をしてる先輩と仲がよかったので、後を継ぐだろうと思った
案の定そうだった
しかし意外なことに、僕が部長なら彼女もやると言った
何でだろうか
部の話合いで僕は部長になった
中学から一緒のやつが副部長、彼女もしっかり役職につけた
彼女が嫌いだったという僕の部長姿はこの日から始まる
ちょうど4月になる時だった