[Fall accident]
友人達は車の免許を取ると
殆どが単車から下りた。
↑
ケンカ命や女大好きや
シンナー中毒の奴等。
単車命のスピード狂いの奴等は
レーサーレプリカに乗り換えた。
走るのは日曜の昼間になって
峠でコーナーを攻める。
コーナーでは尻をずらして
体重移動し膝をアスファルトに
擦り付けて、、、
「ハングオン」って知ってる?
↑
検索。
サーキットさながらに、、、
まるでレーサーの様に。
ケンジも単車命だったが、
走りってゆーより
改造して弄る方だった。
中低速のくねくねコーナーが
続く峠では
ケンジが先に走ってると
邪魔臭くて仕方がない。
俺のブレーキングの
タイミングより
随分、早くブレーキランプが光る。
ヘルメット越しに
聞こえる筈も無いのに
「邪魔っ!!おせーわっ!!どけっ!」
って何回も叫んだ。笑
奴の後輪に俺の単車の前輪が
接触するかって位に追い込む。
ペタペタと右に左に体重移動、
シートに腰を
落ち着ける暇がねぇ。
その内、ケンジは路肩に避けて
俺に先に行けって
手で合図をする。
ったく、気が弱いってゆーか
度胸が無いってゆーか
「下手くそっ!」
ってゆーと
泣きそうな顔するからさー。笑
嫁さんと知り合う前には、
俺の元カノに告白したいって
ゆーから、、、
内心、、
(…はー??無理だろー??)
って思ったけど、
「まー頑張りたまえっ。」
ってゆったら
マジに告白して玉砕したらしい。
気が弱いなりに頑張ったみたい。
…慰めの言葉は、もちろん、
スルーしたわ。
…段々みんな単車を下りて
俺とケンジだけになって。
隣の県のスカイラインに
よく遠征した。
そこで頂上の駐車場で張ってると
GSXとかCBR、ニンジャや
ドカティーとか
色んな単車が来るから。
「ケンジ、鴨が来たぜ?笑」
とか言って追い掛けてぶち抜く。
自分の単車の
倍近い排気量の単車や
リッターバイクをね。
直線じゃ、やっぱパワーが
モノをゆーけど
下りコーナーなら何とかなる。
有る意味、腕と度胸、
排気量の差は
大した問題じゃない。
1速全開から2速に
ポンと入れると
簡単にフロントが浮く。
コーナー立ち上がりでは
暴れる後輪を
ステップの踏ん張りと
アクセルワークで制御して…、
とにかく、走りが全てだった。
そして、、結婚したケンジに
赤ちゃんが生まれて
ケンジも単車を下りた。
…俺は独りぼっちになった。
一人だと余計な事を考える。
単車で死んだ何人かの仲間…。
俺、今、ここで転けたら
誰か迎えに来てくれるのだろうか
とか…。
真夏に峠を朝からずーっと
攻めてたら、
気持ち悪くなって、転けた。
随分、滑って対向車線に
はみ出したけど
幸い、対向車は来なくて良かった。
下は皮パンツだたけど
上は暑いからトレーナー、
…失敗だた。
肘がズル剥けて、、、
ちゃんと皮ツナギ着て来れば、、
しばらくしゃがみ込んでた。
…蝉の鳴き声だけが響く。
、、なんとか単車を起こす。
ガソリンの臭いがすごい。
…肘が痛いし。
炎天下のアスファルトとの磨耗で
タイヤの側面が消しゴムのかすが
付いたようになってる。
そろそろタイヤ交換の時期だ。
これじゃ路面のグリップが
効かねー筈だわ。
…クラッチレバーが折れたが
なんとかエンジンは掛かる。
静かな山の中に
蝉の鳴き声だけが、、、
はー。へこむわー。
心オレター。
カウル、傷まるけじゃーん、、、
てか、、気持ちわりぃー、、
ふー、、、
びっくりしたわー。
肘、いてー。
ケンジに見られんくて良かったー
よく、転倒したケンジの
単車を起こしてやりながら
笑ってからかってた。
あいつだけには
絶対見られたくない姿だった。