エピローグ
やまない雪に、ひとびとは思い始めます。
この国は、もう、滅びるのではないだろうか。
たとえ愛する祖国だとしても、いや、愛する祖国だからこそ、国とともに、滅びてはいけない。
たくさんの国民が船をつくり、遠い大陸を目指して出て行きました。
やまない雪に、ひとびとは思い始めます。
この国は、もう、滅びるのではないだろうか。
愛する祖国と、最期をともにしよう。
たくさんのひとが雪の下で、愛するひとと眠りにつきました。
そしてついには、国王も、国と運命をともにしました。
国を出たひとびとは無事に大陸へたどり着き、祖国の文化や技術を広めました。たとえ国が滅びたとしても、その存在が、決して忘れられないように。
自分たちの知らない国に、これほどにも進んだ技術があるのか。大陸のひとびとは驚いて、その島国を目指しました。
祖国の様子を心配した島国の国民たちも、その旅に同行しました。
けれど、誰ひとりとして、その国に立ち入ることは出来ませんでした。
高く高く降り積もった雪が崖のように立ち塞がり、接岸することすらできなかったのです。
大陸のひとびとはがっかりと、島国のひとびとは安堵で、息を吐きました。
すばらしい技術を持った美しい国は雪に閉ざされ、だれに荒らされることもありません。
その国は、滅んでしまった幻の国として、言い伝えられるようになりました。
何人もの冒険家がその国を目指しましたが、いまだに、その国に入れたひとはいません。
その国では、いまも雪が降り続いています。
つたないお話をお読みいただきありがとうございました
童話……
童話……?
ごめんなさい
冬童話のプロローグで思いついたので
勢いで書き上げて企画参加作品としてしまいましたが
童話……?
このお話で心が冷えきってしまったかたは
どうぞほかの作者さまのあたたかいお話で
心をあたためてくださいませ




