プロローグ
※春は来ません
ほのぼのしたお話をお求めの方は
お読みにならないことをおすすめいたします
これは、とある世界の、西の端、小さな小さな島国のお話。
その国には、春、夏、秋、冬の四人の女王がいて、その女王が季節ごとに季節をあやつる塔に入ることで、四つの季節を回していました。
大陸から離れた場所にある小さな小さな島国でしたが、四つの季節が乱れなく回ることにより国土は常に豊かで、ほかの国から広い海によって隔てられているために他国から侵略されることもなく、ひっそりと、けれどどこの国よりも進んだ文化と技術力を、その国は育て上げていました。
その国では気の遠くなるほどの長い間、平和な時代が続いており、王も、女王たちも、国民も、その平和が永遠に続いてゆくことを、疑っていませんでした。
けれど、永遠に続くかに見えた平和は、ある年突然、あっけなく終わりを告げました。
冬を訪れさせるために塔に入った冬の女王が、塔から出て来なくなったのです。
次に塔に入り春を呼ぶはずの春の女王も、なぜかいっこうに姿を見せません。
終わらない冷たい冬。暗くよどんだ空からは延々と雪が降り続き、国はまたたくまに、真っ白な雪で覆われました。
このままではみな、飢えと寒さで死んでしまう。
この危機をどうにかするために、王は国中へお触れを出しました。
『冬の女王を春の女王と交替させた者には好きな褒美を取らせよう。
ただし、冬の女王が次に廻って来られなくなる方法は認めない。
季節を廻らせることを妨げてはならない。』
何人ものひとが、愛する祖国と愛するひとたちを救うため、頭を悩ませ、東奔西走しました。けれど、誰ひとりとして事態を解決に導ける者はおらず、国にずうっと冬のまま。しんしんとやむことなく、冷たい雪が降り続けました。
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