7話
さて、と。
街に戻ってきたけど、ここは夕方から朝にかけてが一番賑やかいらしい。
夕方は商人が沢山露店を開き、人々がそこに集まってて朝とは違った騒がしさがある。
嫌いじゃないけどな。
「あー、これって買い取って貰えるもんか?」
「ん?あんた昼間ポシェット買ってったにいちゃんか。どれだ、見せてみろ。」
俺この人から買ったっけ?
思わずまじまじと恰幅のいい親父を見た。
・・・この人じゃなくて多分この人の奥さんから買ったんじゃないか?
俺が首をかしげている間に、商人の親父はじっくりと薬草とか葉っぱとか木の実とかを鑑定していた。
特に加護をかけた若木の枝葉は何度も何度も見てた。
魔法かけないほうが良かったか?
でも他の木の葉にも掛けちゃったんだけど。
あ、薪代わりの枝の鑑定してる。
それ遊びがてら加護掛けたやつなんだけど、適当なんですけど。
「・・・ふむ、全部光の加護がかかってるな。特にこの精霊樹の枝は素晴らしい。そうだな、2千ゴールドくらいでどうだ。」
2千ってこの世界じゃどうなんだろう。
もうちょっと貰えるかな。
「もうちょっと上がらないかな?上げてくれたらまた持って来るよ。」
「おいおい、1枚50ゴールドもする<女神の息吹>を更に高く買えだって?しかもまた採ってくるだと?ふふふ。いいじゃねぇか、よし、全部で1万ゴールドで買ってやる。その代わりあんまり他で物を売買しないでくれるとありがてぇな。・・・そら、これが金貨だ。この袋は金貨をいくら入れても嵩張らない代物だ。これを千ゴールドで売る。にいちゃんの手元には9千ゴールドと金貨袋が残る。どうだ?」
「もらうよ、ありがとう。」
途中聞いてなかったけど、なんか高値で買ってくれるのかな。
しかもお金をどんだけ入れても嵩張らない袋をおまけしてくれるなんて、この親父優しすぎだろ。
薬草を10枚だけ残して残りを全部渡し、金貨を入れた袋を受け取って露店を後にした。
そうそう、ケランなんだが、なんか街に戻る直前に分裂した。
それぞれ親指くらいの大きさになって俺の両耳にくっついてる。
呼ぶと両方震えるから多分どっちもケランなんだと思う。
原因?
いやよく分からない。
とりあえずあそこのポーション屋で器具買って部屋でポーションを作ろう。
そんでケランに飲ませよう。
ケランには大きくなってもらわないとならないからな。
でないとベッドが硬くて寝れたもんじゃない。