3話
やけにでかいサンドイッチを食べ終わった頃、俺たちは城壁の外に出てきていた。
門のところで兵士みたいな人が何か言ってたけどごめん、聞いてなかった。
魔法書しか見てなかったわ、ほんとにスマン。
そんな周りを見てない俺だがちょっと気がついたことがある。
この世界では何かしらしているとレベルが上がるらしく、他の勇者たちは武器を振ったり、店の人に薬草について聞いたり、ダッシュしたり、そんなことをしていたらLv5くらいにはなったらしい。
対して、俺はスキルは貰えたがレベルは全く上がっていない。
上がっていないと言うかそういう謎の声は聞こえていない。
魔法書じゃダメなんだろうか。
そう思った俺は、現在走り回ってジャンプして昌に教わった回避をして、と色々している。
すっげぇ疲れる。
しかもレベルアップもスキルも来ない。
怪しげな古物屋で買ったウエストバックに入れた本と短剣にダメージはなさそうだから続けるけど。
【―――スキル 忍耐力がLv2になりました。
スキル パルクールを取得しました。】
・・・なに、パルクールって。
魔法書に書いてあるかな。
いや探す前に字が読めないんだった。
パルクール、パルクールって何だろう・・・。
【パルクールとは、壁や木などを走ることができる能力や、高く跳躍する能力、速く走る能力などを一つにしたスキルであり、取得者の能力を著しく上昇させることができます。取得可能者は特殊能力を持つ者に限ります。現在、弱体化しているため全てのスキル効果が減少しています。】
え?
弱体化してるってどういうことだよ。
途中聞いてなかったけど弱体化してるなんて知らないぞ。
弱体化をどうにかする魔法・・・。
読めないんだった、ちくしょう。
まぁいいや、とりあえずなんか読める魔法使ってみよう。
「حماية خفيفة」
シュン、と光が右腕に絡みついた。
・・・それだけ?
「えっと、استدعاء شيطان」
・・・何にも起きない。
何だろう、魔力かレベル足りないのかな。
あ、弱体化してんだったわ。
じゃぁしょうがないな、他の試してみよう。
「تسليط الضوء」
ふわっと目の前にケセランパセランが現れた。
触れ・・・る、と言うか温かい、なにこれ凄い。
拳大のケセランパセランはふよふよと浮いていたが、ふわっと動いて俺の周りをゆっくり回り始めた。
なんだろう、なんとなくコイツ生きてる気がする。
俺はケセランパセランじゃなくて明かりつけてみたかったんだが。
まぁ昼間じゃついても分からないか。
とりあえずこいつに名前付けておこう。
「اسمك الحقيقيケラン。」
【―――レベルが2になりました。
古代語理解がLv2になりました。
称号 魔物の主を取得しました。】
やっとレベル上がった。
なかなか上がり難いけど上がらないわけではないらしいから安心した。
それに俺だけじゃなくてケランのレベルも上げたいからな。
日が落ちてくるまで自由時間だからその間に頑張ろう。
ルビ振れなかった、かっこよくない・・・。
2016.02.12 ルビが振れました。