16話
スキルのレベル上げついでに、裕也に治癒をかけながら食料を集めることにした。
裕也って、木の実探して上しか見てないから躓くんだよ。
二人して上を見上げている間、アラウはずっと真っ黒な槍みたいなのを周囲に浮かべて辺りを警戒してくれている。
地面に水平に浮いてるのが左右3本ずつ、羽根みたいに背中に浮いてるのが左右5本ずつ。
周囲に浮いてる6本がどっかに行くと背中の槍が上の長いほうから順に補充されてる。
すっげぇかっこいい。
あれ、俺もやってみたい。
叡智さん、あれって何のスキルっすか。
【―――使用スキル:周囲感知、魔力生成、魔槍生成、魔力充填、飛行、空間移動、転移】
あ、もういいですありがとうございます。
いろんなスキルを使ってあんなことできるのか。
すげぇな―――あっ槍が消えた。
ていうか何してんだ。
「・・・この森は敵対魔族が多い。それと煩いのが付いてきているからそいつらを殺してる。」
「お、おお・・・。」
さすが高レベル魔族。
多分遠距離にいるんだろうけどそんなのも殺せるとかかっこよすぎる。
魔槍、俺も取得できるかな。
「魔槍は使いやすい属性で生成するといい。今のディルカだと、炎と光がちょうどいいんじゃないか。慣れればどんな属性でも作れる。魔法詠唱と組み合わせて戦えばずっと強くなる。」
え、なんか早口?
というよりもなんとなく焦ってる感じがする。
青かった目が僅かに藍色になりかかってるんだけど大丈夫か?
一点をじっと見つめていたアラウが俺たちを振り返った。
・・・やっぱり目が藍色、いや、濃紺色になってる。
「裕也、リアンディスに行くぞ。」
「ええっ!?今日は泊ってくって言ったじゃんか!砂漠はもっと後だろ?」
「予定変更だ、ここにいたらディルカまで巻き込むことになる。」
ちょっと待て、巻き込むって何にだ。
「・・・分かった。また今度、逢えたら泊めてくれよディルカ。」
裕也の腕を掴んだアラウの背中から、真っ黒なでかい翼が一瞬で伸び広がった。
金髪なのに翼は黒いのかよ。
ぽかんとしている俺の腕を掴んだアラウは、やけに真剣な目で俺を覗き込んできた。
「ディルカ。魔王になっても殺されるだけだ。ダンジョンを作れ。それだけで聖女たちは被害を負う事になる。―――いつか、お前の家に行く時には、よろしく頼む。」
【―――闇の守護者 アラウからスキルが譲渡されました。
スキル 魔槍生成を取得しました。
スキル 再生能力を取得しました。
称号 祝福を受けし者を取得しました。
取得経験値が大幅に上昇します。】
「えっ、あのっ!?」
「また逢おう。」
ぶわっと僅かな浮遊感がした後、俺はレイディナの樹の、俺の家にいた。
転移・・・スキルの効果、なのか?
木の上から見えるはるか遠く、森の上を真っ黒なドラゴンが凄い勢いで飛び去っていくのが見える。
その後を白いドラゴンが数体追いかけていく。
あれが追っ手?
全く思考が追いつかないまま、嵐のように二人は去っていった。
俺にスキルを渡して。
想像したままに書いたら、主人公の理解が追いつかないままに消え去ってしまいました。
この辺の詳しいのは別のお話になります。
次話から、また普通の生活に戻ります。
頑張れ主人公、強い敵出てくるけど頑張るんだ。




