15話
え~、居候が増えました。
本物の凡人と本物の女神が居候になりました。
「女神じゃない。それと裕也は凡人ではなく木偶の坊だ。」
「真顔でさらりと酷いこと言うのやめてくれない?」
現在3人で森を探索しているんだけど。
すっごく疲れる。
なんでかといえば裕也でよく躓いたり枝に引っかかったりする。
ケランがくっついて治癒をしまくってるけど、治りきる前に傷ができるからキリがない。
俺は俺で、アラウから治癒を教えてもらっている。
魔法詠唱の方は、魔法書をパラパラ捲ったアラウが一言。
「自分で覚えろ。」
「・・・ハイ。」
ちなみに俺は魔法書を開けなかった。
まだ時期じゃないからレベル上がるまで放っておけと言われた。
スキル 治癒っていうのは本来、先天的に付与されていることが多いらしい。
センスがあればすぐさま取得も出来るらしいが、俺はちょっと優れているくらいなんだとか。
なのでアラウに手伝って貰ってスキル取得に向けて努力をしているところである。
ぽたぽたと血が垂れるのを見ながら、傷の所に魔力を流すように集中する。
・・・しかし血が止まる様子はない。
魔力が流れ込んでる感じはするんだけどなぁ。
「魔力はただ流し込んでも意味がない。補填するように流さないと魔力の無駄だ。」
補填って、どうやってやるんだよ・・・。
「切り傷なら傷口を合わせるように、擦り傷なら皮膚で覆うように、骨折なら元の場所に戻るように、それぞれ傷に合わせて変えてみればいい。」
傷を合わせる?
魔力は目に見えないから操作が難しんだよ分かってるだろぉ。
心の中でぼやきつつも、傷がぴったり合わさるように想像しながら魔力を流してみる。
すると徐々に血が少なくなり、破けた服の隙間から傷口が消えた腕が見えた。
【―――スキル 治癒を取得しました。】
よっしゃ!
治癒取れたぜ。
これで自分で回復出来るようになったな。
喜んでいる俺の前で、アラウが治った左腕を少しさすると破けた袖も血の跡もあっという間に消えた。
なにあれ、服も直せんのか。
叡智さんあれどうやってるか分かる?
【―――服を一部だけ再生成したようです。】
服を生成出来るのか。
・・・いや、もしかして羽毛とかを服に変換してるのかな。
鳥になった時も普通に服着てる感覚に似てたし。
だとしたら色々服が変えられていいかもしれない。
家に帰ったらやり方教えてもらおう。




