9話
レイディナの樹からちょっと遠く離れた森の中を、レイディナの樹を中心に円を描くように探索していく。
うん、マッピングってすげぇ便利。
なにも考えなくても何がどこにあるかよくわかる。
例えるなら、家の中でどの家具がどこにあるとか何がどこに仕舞ってあるとか理解してる感じ。
マッピングはもっとはっきり木々の一本一本の違いさえ、草の生え方葉っぱの形まで分かるんだけど。
そんな便利スキルを手に入れていた俺は、ウエストポーチに手を突っ込んで魔法書を撫でていた。
また魔法書が開かなくなったんだ、拗ねてんのかね。
機嫌を取るために表紙を撫でつつ木の実を探す。
保存が利きそうなものを。
この森、何でか分からないけどどの木も枝もたわわに実をつけている。
レイディナの樹に近いほうはまだ実は生ってないけど、なんとなく2、3日以内には同じようになってる気がする。
なら保存利かなくてもいいじゃないか、と思うだろう?
冬が来たらどうする。
ってことで、たまに木の実を摘まみながらうろうろと―ただし家の周りを周るように―探索を進める。
どれも水分が多いしこの気候だからなぁ・・・。
干したら腐っちゃうよな。
かと言ってバッグに入れるのもな。
腐らないとはいえ潰れたら・・・いや、潰れたことないじゃん。
潰れない、腐らない、いつでも取り出せる。
最高じゃねぇか!!
そうと決まったら1週間分くらいを少しずつ集めさせてもらおう。
毎日のご飯は、その時行った所に生ってる物もらえばいいよな。
儀式用ナイフで枝を傷つけないように2、3個ずつ収穫し、次の木に移動する。
せっせと収穫しつつ、たまにある風の息吹も少し残して回収しておく。
床もふかふかにしたいからな。
【―――スルースキルのレベルが6になりました。】
えっ?
俺そんなに無視してたっけ?
そうなことないと思うんだけどな。
鑑定っと。
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ディルカ Lv7
種族:アンカーナ
区分:魔鳥
属性:炎、風
固有スキル:
『叡智Lv8』『古代語理解Lv2』『スルースキルLv6』
種族スキル:
『姿変えLv――』『蘇魂Lv――』
特殊スキル:
『鑑定Lv7』『マッピングLv6』『影足Lv1』『潜影Lv1』
『キックLv1』『呼び水Lv1』
能力スキル:
『忍耐力Lv5』『不屈の精神Lv1』『集中Lv8』『周囲感知Lv5』
『聴力上昇Lv2』『視覚上昇Lv5』『腕力上昇Lv7』『命中Lv1』
『打撃上昇Lv1』『瞬発力Lv2』『ダッシュLv2』『思考Lv6』
通常スキル:
『パルクールLv4』『採取Lv8』『調合Lv1』『警戒心Lv1』
『食欲Lv2』『口笛Lv3』『指笛Lv1』『好奇心Lv4』
『創造Lv6』『創意工夫Lv4』
耐性スキル:
『苦痛耐性Lv3』『毒耐性Lv1』
称号:
『魔物の主Lv3』『影人Lv1』『狩人Lv1』『探求者Lv3』
『蘇りし者Lv――』
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あっ、うん、ごめん。
結構色々上がってたんだな。
ていうか、口笛Lv3って何だよ、俺口笛吹いてたのか。
指笛とかも便利そうだしそっちのレベルも上げておこうか。
それにしても。
使うものと使わないもののレベル差やばいね。
次進化したらレベル上げよう。
今は家の周りのマッピングと、安全の確保が優先だからな。
別にあの超目立つ鳥の姿が嫌だとか、そんなわけではない。