2話
アラビア文字って魔法の言葉みたいでかっこいいですよね。
皆についていきながらぺらり、ぺらり、と魔法書を捲る。
やっぱり何て書いてあるか分からないが、なんとなく何が言いたいのか分からなくはない。
(分かるとは言っていない)
ただ、文字―――というよりかは模様に近い――に規則性がありそうなことに気がついた。
なんか似たような模様、ではなく文字が並んでいることが多いのだ。
それが分かったところで魔法を発動させることはもちろん読むことも、まず区切りすら分からないのだから救い様がないと言うか何というか。
それでもひたすら、それこそ皆がご飯を買い食いしているのにも気がつかないほどに魔法書を読み眺めていると、シュン、と目の前に淡い光が散った。
「ん?」
【―――スキル 忍耐力を取得しました。
スキル 古代語理解を取得しました。】
なに?
なんの声?
誰の声だよ、ホラーかよ、俺ホラーダメなんですけどやめてください。
「剣人くん、どうしたの?」
「え、いやなんか聞こえたんだけど、気のせいかもしれない。」
「なになに、フィーリングで感じるってやつ!?」
「亮、日本語が変だぞ。」
「ええ、マジか~。あっ剣人これ食べろよ、うまかったぞ。」
「ありがとう。」
へへへ~、と笑う亮からサンドイッチを受け取り、もぐもぐとかぶりつきながらまた魔道書を捲る。
このサンドイッチでかいな。
美味いけど。
ついさっき聞こえた謎の声のことなど既に頭の外にはじき出され、俺はせっせと魔法書を捲る。
外見は単行本くらいの大きさなのに、いくら捲ろうともページが終わる気配はない。
半分は捲ったはずなのに見ればまだ1mmも溜まってはいない。
さすが魔術書、俺の心を挫きにかかって来やがる。
だけどお前なんかに俺は負けないからな!
絶対に全部読破してやる!
【―――スキル 不屈の精神を取得しました。】
「剣人、すっげぇ難しい本読んでんだけど、あれ読めてんのかな?」
「あれは読んでるんじゃない、解読しようとしてるんだ。」
「昌くんすっごぉい、よくわかるね~。」
「いやどう見てもそうとしか思えないだろ。」
三人がなにやら言っているのを聞き流しながら図面をじぃ、と睨む。
”شيطان”と”قلب”と”الضوء”しか読めない。
これなんだ。
発音は・・・分からなくないが何の魔法だろ。
変な魔法ではなさそうだけど内容が・・・・。
・・・いやこれは。
百聞は一見にしかず!
とりあえずやってみればいいじゃないか!