4話
いやぁ、満天の星空だな!
レイディナの樹もでかいし、ちょっと上に登ってみようか。
叡智さん、木登りに有効なスキルってないかな。
【―――スキル パルクールを取得済みです。】
取得してるならいいか。
暖かな光を放つ樹の幹を睨め付け、全速力で駆け出す。
―――って思ってるより速えぇ!!
【―――スキル ダッシュのレベルが2になりました。】
あっという間に幹が眼前に迫ってくる。
スキルがあるなら、このまま駆け登ってやるぜっ。
太い根に足を掛けて思い切り踏みつけた。
すると一気に体が浮かび上がり僅かにでこぼこした幹が更に迫った。
慌てず騒がず、同じ要領ででこぼこに足を掛け幹に平行に踏んで飛び上がる。
時折枝に飛び乗って軌道を修正しながら上を目指す。
【―――スキル 瞬発力のレベルが2になりました。】
自分の体程もある枝が次々と下に流れていくのを視界の端に、俺はひたすら駆け上がった。
やがて幹が細くなり、いい具合に広がった枝が見えてきた。
手首ほどの細さになった枝の上に着地して下を見てみる。
徐々に太くなる枝の隙間、ちらりと黒い人型が見えた。
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デスクーリアー Lv13
種族:闇霊
区分:悪霊
属性:闇
スキル:
『魂喰らいLv41』『影足Lv39』『周囲探知Lv40』『侵食Lv25』
称号:
『禁忌Lv97』『闇に侵されし者Lv――』『捕食者Lv66』『残虐Lv73』
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【―――スキル パルクールのレベルが3になりました。
スキル 鑑定のレベルが5になりました。
スキル 周囲探知のレベルが3になりました。
スキル 視覚上昇のレベルが2になりました。
レベルが7になりました。】
ああ、スキルがいっぱい上がったからレベル上がりやすいんだな。
しっかし下の枝に居なくてよかった。
今頃あいつに喰われてるところだった・・・。
ここまで登れないみたいだし、ここに寝床を作ろうかな。
ポシェットから蔓を引っ張り出して足元の枝に上に下にと緩く潜らせていく。
思っていたよりも一本の蔓が長く、2本の枝に渡って横の線が架かった。
そこに良くしなる木の枝を縦に通す。
蔓は木の枝の間を縫うようにし、それが交互になるようにする。
その上に、両端の蔓2本ずつに別の蔓を通し、下に来た方を機織の要領で木の枝と同じく通していく。
一面に縦の線ができたところで、今度は腕程もある木の枝を、レイディナの樹の枝に乗せて固定した。
そうしてから垂らしていた上に来た蔓を通し、隙間に木の葉をどんどんつめる。
せっせと作業をし、スキルのレベルもいくつか上がってる気もしてきたところで床が完成した。
新緑色の木の葉の間から蔓が出ているのが愛嬌があってよろしい。
一人でうんうんと満足した所で、枝の先のほうに作っていた大き目のハンモックに向き直る。
僅かな隙間を残してしっかり編み込まれた、大体3mくらいの緩やかなお椀型のハンモック――どちらかというと蜘蛛の巣に近い――に残りの木の葉を全部入れる。
3分の2くらいまで入ったその上に、風の息吹を満遍なく全部敷き詰める。
空が徐々に白んできた頃。
「よっしゃぁぁぁ!できたぁぁぁっ!・・・あー、疲れた。」
俺の目の前には真っ白なふっかふかの寝床が完成していた。
ほんとに疲れた。
寝床とか床とかの下側に細い蔓入れるのが一番面倒だった。
でも、その分達成感がすばらしい。
ということで、おやすみなさい。




