エピローグ
「ここなんだけどな、なんか雑魚が一定間隔で沸いて来るんだ。結構沸き間隔があるから余裕だよ。俺らもここでレベリングしたんだ。」
一定間隔で沸くって、それ復活するってことか?
それなら確かにレベリングに最適だよな。
でもそれより、後ろからさっきのゴーレムみたいなのがいっぱい来たんですけど。
「亮くん、敵がいっぱい来たよ!」
「えっ、マジか。剣人、悪いけど先に入っててくれ。ちょっとあの量ヤバイし、はいこれ、いざとなったらこれを祭壇に入れれば外に出れるから!」
ほらっ、と受け取ったのは見たことのある加護付きの石。
マジかよ、これそんなことできんのかよ。
「剣人!」
「あっはい!」
昌、おま、ランスで扉開けて大丈夫かよ。
急いで扉の中に入ると、昌がランスを引っこ抜いてゴーレムに走っていくのが見えた。
足速ぇ。
ズゥン、と重い音がして扉が閉まった。
・・・これ、ここから出られないんじゃぁないか?
その為の旅のお守りか。
「グゥォォォン・・・」
「・・・は?」
なんだよ今の腹の底にくる唸り声みたいなの。
い、いや。
声が低い奴かもしれな――――――。
ガッチャン。
「え?」
扉?
まさかそんな事ないよな。
慌ててぴったり閉じた扉の隙間に耳を当てる。
「―――上手く引っかかってくれたな。」
「悪いとは思うけど、魔王になる前にどうにかしないといけなかったし。」
「聖女さまの予言だもんね、私たち悪くないよ。だって剣人、初めから魔法書読めたりして変だったし。」
「そうだよな。まぁ、ボーンドラゴンが相手なら一瞬だろ。」
「亮くん、さっき渡してた石ってなぁに?」
「ああ、あれ?旅のお守りっていうもので悪霊避けになるんだ。もちろん遺跡から出る力はない。」
「亮くんひっどぉい!」
「いやいや、そうしないと入ってくれなかったかも知れないだろ?」
「あっそれもそっか!あったまいい~!」
「さてと、仕事も終わったし、聖女様に報告に帰ろう。」
「美緒、帰ったらケーキ食べたい!」
「聖女様にご褒美としてもらおうぜ!」
「賛成!」
きゃはは、と高い笑い声を残して誰の声も聞こえなくなった。
待てよ、魔王ってなんだよ。
俺は魔王になるつもりなんかない!
なんだよ、なんなんだよっ。
「グオォォォォン!」
先ほどよりもかなり近くから唸り声が聞こえる。
恐る恐る振り返ると。
「ひっ!」
「グルゥァァァァァァアァッ!!」
巨大な骨と化したドラゴンが真っ赤な目を爛々と輝かせて俺を睨め付けていた。
なんだ、あれ。
【―――鑑定不可、スキル使用不可、スキル 蘇魂の成功率30%です。】
すぅ、とドラゴンが息を吸うのが見えた。
そしてその白く巨大な顎門が開き、蒼い炎がゴォウ!と吐き出された。
逃げることも出来ず俺は一瞬で焼き尽くされた。
【―――スキル 蘇魂を使用します。スキル 不屈の精神により成功率が5%上昇しました。称号 魔物の主により成功率が45%、変異率が100%になりました。聖獣ケランと厄獣ニアンの魔力供給により成功率が3%上昇しました。】
【――――――スキル 蘇魂の使用を開始します。】
まだ終わりません、終わらせませんよ?