1話
その時に何が起こったかを簡単に言うと、ダンジョンの攻略中に俺が殺されたと言うことだ。
これだけ聞いてもイマイチ分からないだろうが、とりあえず俺は死んでしまったんだ。
いわゆる“ゲームオーバー”と言うものだ。ゲームの中で主人公が死ぬとどうなる?
・・・普通は復活するよな。
そう、俺はもう一回生き返った。
理由は分からないけど、まず俺がするべきことはもう決まっている。
勇者と聖女に復讐をすること。
***
休日にのんびりとテレビを見ていたはずの俺は、巷で噂の異世界召喚をされたらしい。
突然光に包まれたと思ったら、映画とかである王座の間みたいなところにポーンと投げ出されたんだから間違いない。
いきなりすぎて寧ろ冷静になっている自分に驚くが、とりあえず家に帰して欲しい。
今丁度面白いところだったんだぞ。
「召喚に応じていただきありがとうございます、勇者様方。私はシーマ・アリュンヴェルトと申します。どうぞシーマとお呼びください。」
おっとりとした口調でそう言ったのは淡い金髪の巨乳美少女。
悪いけど俺、巨乳よりほどほどが好きなんだ。
あと冒険より映画三昧がいいから家に帰らせてくれ。
シーマが何か言っているのを右から左に聞き流しながら左を見てみると、そこにも巨乳がいた。
しっとりとした黒髪に大きな黒い瞳、長いまつげにぷっくりとした桃色の唇、そしてでかい胸。
可愛いけど俺の好みじゃないし、そもそもこういう女の子っているんだな。
右を見てみるとザ・主人公って感じの黒髪の快活そうな青年。
細身なのになんか筋肉付いてそうな見た目だし何よりやる気満々な感じがすごい。
目がキラッキラしてるし、俺こういう人苦手かも。
「――――――ということですので、ぜひとも世界の平和の為にお力を貸していただきたい。」
「もちろんです、必ずや世界に平和をもたらしましょう。」
やっべ、何にも聞いてなかった。
というか今の台詞誰だよ、どこの騎士だよ。
声のした方――左を見てみると、女の子の斜め後ろにすっげぇ地味な男がいた。
無表情というかポーカーフェイスと言うか、とりあえず顔が怖い。
あと黒い、細いくせにムキムキ。
「頼もしい限りです。」
ふわっと微笑んだシーマは、名前を聞いてきた。
快活青年が柏木亮。
女の子が吉田美緒。
ポーカー男が鐘山昌。
で、俺が神埼剣人。
「では勇者様方に祝福をいたします。・・・申し訳ありませんが剣人様は祝福を持っていらっしゃいますので、私の祝福の代わりに魔法書をお渡しいたします。我が一族に代々伝わる物なのですが、誰もこれを使いこなすことが出来ないのです。勇者様ならきっと己の力にすることが出来るでしょう。それと一緒に儀式の短剣をお渡しいたします。これは短剣が主と認めた者の、まさしく思い通りに使うことの出来る不思議な物です。ぜひご活用ください。」
・・・え?ごめん途中聞いてなかったわ。
なんか5cmくらいの厚みの本と刃が半透明な短剣を貰った。
どうやって使うんだよこれ。
試しに本を開いてみるとよく分からない文字がずらぁ・・・と並んでいた。
読む気失せるわこんなの。
とか思いつつも描いてある図形を見ながらペラペラとめくっている間に、他の勇者達に祝福を与え終わったらしい。
そういえば俺の祝福ってなんだろうな、何でもいいけど。
にしてもこの模様すごいな、全部文字で出来てるし。
これ全部書くのめんどくさそう・・・いや、もしかして簡略化できるんじゃぁないのか?
決めた、俺はこの魔法書をもっと分かりやすく簡単にしてやる!
「剣人くん、行くよ~。」
「あ、りょーかいです。」
なんか俺の知らない間に―――もとい聞いていない間に行き先が決まったらしい。
皆しっかりしてそうだし、とりあえず付いて行こうか。
剣にランスに杖を持った勇者達の後について、俺は王座の間らしき所から退出した。
まずは、どうやってこの魔法書の字を解読するかだな。
と言うわけでやっと1話を投稿できました。
弱くてニューゲーム、難産の予感しかしませんね。
閑話は挟まず、ひたすら自分のしたい事しかしない主人公の目線でお話は進んでいきます。
旅する詩人さんは出てきません。
ずぅっと後になって出てきます。
彼を伏線にしたいな(願望
今回は(多分)かなりの長編になると思われるので、たまにこうして後書きを書きたいと思います。
ちなみに今日の更新は気まぐれです、いつもは土日です。
ゆっくり更新ですが、弱くてニューゲームをのんびり見ていただけたら幸いです。