15話
ごろーんとベッドに寝転がった俺は、ケランを両手両足で抱え込んで魔術書を撫でていた。
ニアンはケランの強い光を吸収してちょうどいい具合の明るさにしてくれている。
しかし俺は魔法書を読まず、ぼんやりと考え事をいていた。
ここ最近、気になっていることがある。
まず他の勇者たち。
全然顔を合わせないから宿の主に訊いてみたら、なんと昨日宿を出て行ったらしい。
どこに行ったかは知らないが、なにやら急いでいたとか何とか。
俺に何も言わずに行くほど急ぎだったのだろうか。
次に弱体化。
元から俺に掛かっていたと思われる異常状態。
聖女さんが加護をくれなかったのはこれが原因な気がする。
弱体化の効果は壮絶だ。
レベルは上がらない、魔法が使えない、スキルの効果が適用されない。
一番痛いのが魔法書を読めないことだ。
古代語理解のスキルで解読しているがレベル故に簡単な物しか解読できていない。
最後に、謎の声もといスキル名、叡智。
叡智が謎の声だと言う証拠はないが、いつの間にか持っていたスキルだから多分そうじゃないかと思う。
ゲームとかじゃ、システム告知としてログに流れているだけだが、叡智は声を持ってる。
しかも鳥を狩った時には自分から喋った。
これには意思があるんじゃないか。
【―――スキル 思考を入手しました。】
なにそれ。
頭が良くなるとか?
【―――思考:魔法詠唱を短縮することができるスキルです。魔法を使用することによりレベルを上げることができます。現在、弱体化しているためスキルが無効となっています。】
思考超優秀じゃねぇか。
そういえば弱体化って何。
なんで弱体化してるの。
【―――弱体:対象者の能力を減少させる異常状態。術者による解除、もしくは術者あるいは対象者の死亡により解除されます。弱体化の原因は召喚時の時空の歪による能力の反転です。解除方法は対象者の死亡のみです。】
・・・なんだって?
対象者の、死亡?
それ、俺が死ななきゃ、弱体化は解除されないってこと?
いや嘘だろ。
そんな解除方法あって堪るか。
他に方法ないのか?
【―――魔法による弱体化の解除方法はありません。術者がいないため解除不可能です。術者がいないため強制解除は不可能です。】
嘘だろ。
なぁ嘘だろそんな。
この状態でなんとかしないといけないのか。
【―――対象者の死亡による解除率100%、対象者の死亡率100%、スキルによる蘇生率100%、スキルによる変異率90%、蘇生によるリミッターの解除率85%です。弱体化解除後の生存率は100%です。】
・・・つまり?
【―――死亡しスキル 蘇魂により復活すれば弱体化を解除することができます。】
復活できるのかよ!?
蘇魂なんてスキルいつ取ったんだよ俺。
てかさ、ちょっと気になるものが。
スキルによる変異率ってなに。
すっげぇ不穏なんだけど。