11話
外に出てみると太陽が真ん中手前くらいに昇っていた。
絶好の狩猟日和だぜ。
生まれてこの方狩りなんてしたこともないんだけどさ。
狩りと言えば、他の勇者たちに最近会ってねぇな。
朝に街から出て夜帰ってきてるのかな。
まぁ、なんにせよ元気ならいいけど。
耳にケランをぶら下げて俺が来たのは、薬草を採った森の更に奥。
足の踏み場に困るほどではないがやはり草が生い茂っている。
こんな状況で獲物見つかるのか?
とりあえずは迷子にならないように獲物を探そう。
動く物がないか、何か音が聞こえないか、真剣に辺りを見回しながら足音を立てないようそっと歩く。
【―――スキル 集中を取得しました。
スキル 影足を取得しました。
スキル 周囲感知を取得しました。】
・・・うるさいんですけど。
【―――スキル 聴力上昇を取得しました。
称号 影人を取得しました。
特殊スキル 潜影を取得しました。
闇属性を取得しました。】
・・・うるさいってば。
【―――スキル 視覚上昇
スキル 警戒心を取得しました。】
ちょっと後にしてよ謎の声さん。
【―――スキル 苛立ちを取得しました。
スキル 叡智がLv3になりました。】
うるさい。
だいぶイライラとしてきた頃、前方に黒い体に青い羽の鳥を見つけた。
なんというか、でかい。
焼き鳥にしたら結構ありそうだな。
【―――スキル 食欲を取得しました。】
ちょっと黙ってて。
今俺真剣だから。
俺、あいつを今日の夕飯にするって今決めた。
緋焔を握り締め、緊張で震える手で矢を抜き番える。
意外と硬い弦を力いっぱい限界まで引き絞る。
う、腕がぶるぶるする・・・!
【―――スキル 腕力上昇を取得しました。】
変わってない!
まだ腕がぶるぶるするって!
何とか引き絞りきり、目標をしっかり見据える。
すぅっと息を吸い、腕の震えが止まった瞬間、指を離した。
バシュン!と音を立てたのはなのかそれとも刺さった矢なのか。
なんともあっけなく、そして容易く赤い矢は鳥の胸に突き刺さった。
【―――称号 狩人を取得しました。
スキル 命中を取得しました。
スキル 打撃上昇を取得しました。】
鳴き声もあげずぱたり、と倒れた鳥を見てじわじわと罪悪感が襲ってくる。
一抱えもある大きな鳥をそっと持ち上げてみると、まだ仄かに温かい。
【―――全ての素材を無駄にしないよう心がけることが狩られた者への供養です。】
「そう、だな・・・。」
矢を抜き、翼を体に括って喉をナイフで切り逆さまにしたまま元来た道へ戻る。
まだ太陽は真上にあるに関わらず、森が酷く暗いように見える。
こうして、俺の初めての狩りは何事もなくあっさりと終わった。
【―――レベルが4になりました。】
スキルは取得してもレベルを上げなければ無いに等しいのです。
補足ですが主人公は”弱体化”のせいでかなりレベルが上がり難くなってます。
その代わりというかスキルを取得しやすくなっています。
なので管理が大変なのです(自分の)。