10話
さぁて、一回部屋に戻ってきた。
こうして室内に持ち込むと、なんか弓が小さい気がする。
なんというか、まぁ、コンパクトかな?
小さい方が持ち運び楽だからいいんだけどね。
ささっと弓と矢と、装備を床に並べてっと。
「حماية خفيفة」
シュン、と光が散って装備に吸い込まれていった。
弓、と言うか武器には付かないのかなぁ。
そういえば赤い剣貰ったっけ。
あれにも魔法かけてみよう。
ポシェットの中から無造作に赤い剣――確か焔蝕剣とか言ってた――を引っ張り出して弓の隣に置く。
そして取り出したるは、魔法書。
ぱらら、とページを捲って、止まったところに目を通してみる。
なんかいっぱい書いてあるけど、多分要約すると”炎の攻撃力が上がる”って書いてある。
魔法はぎりぎり読める。
よし、やろう。
「هنا اللهب قوة―――ぅわぁ!」
ぶわぁん!と剣から炎が立ち上がり、一瞬俺まで炎に包まれた。
けど、全然熱くなかった、暖かかった。
傍若無人な炎はそのまま吸い込まれるようにして剣に入っていった。
俺に移った炎も、なぜか服に吸い込まれていった。
ちょっと暖かくなった。
そういえば床は・・・焦げてないな、よし。
剣を検めてみると、赤っぽい半透明の刃の中に、金色っぽい炎がゆるゆると流れ動いているのが見える。
ナニコレ、超カッコイイ。
焔蝕剣って名前に相応しいな!
・・・てか、絶対名前違う気がするんだよな。
だって口の動きと俺が聞き取ってる言葉と、明らか違ったりするし。
これはスキルレベルの問題なのかな。
まぁそのうちどうにかなるだろ。
隣を見れば弓がほんのり赤い光を帯びてる。
剣が強烈過ぎて見てなかったわ、ごめんごめん。
冒険者装備をしっかり身につけ――今回は消えなかった――ベルトに剣を差し、矢筒と弓を担いでみる。
そうして改めて装備を見下ろして、違和感に気がついた。
これ、武器の見た目絶対変わってる。
理解した瞬間、ぞわぁ、と寒気が走った。
怖い。
怖すぎるんだけど。
だけど、と武器を眺めてみると、なるほど、すごく地味になった。
自分の体を見下ろしてみる。
フツーの地味な冒険者って感じの格好だ。
武器を見てみる。
普通の冒険者が持ってそうな鉄っぽい剣と鉄っぽい弓だ。
矢も普通。
最後の装備品であるマントを肩にかけてみる。
うん、どこにでもいる冒険者の出来上がりだ。
もしかして、目立たないように装備に合わせて見た目変えてんのか?
いやいや、そんなわけ、あるはずは・・・ないと思いたい。
武器が意思を持つとか怖いから。
とにかく、狩りが出来るくらいまでには頑張らないと!
カメレオンみたいな武器のことなんて気にしないようにしよう。
そうしないと俺の精神がやばい。
さて、魔法書を閉じて出発だ。
・・・ん?
魔法書開いたじゃん、気付けよ、俺。
無事に10話を迎えました。
こんなに分かり難く場面が飛ぶ拙い文章を読んでくださる皆様、評価してくださる皆様、本当にありがとうございます。
皆様がこの小説を見てくれることがとても励みになっております。
これから長丁場になりますが、生温い眼差しでのんびりとお付き合いくださいませ。
なお、毎日更新してはおりますが、一応土日更新のお話です。
3月より新作を平行して投稿するため、毎日の更新はできなくなるものと思われます。
あらかじめご了承ください。