表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/11

エースと決意

 ブルペンの整備をしてくれた1年にお礼を言った後、俺はその一年に付き合ってもらい、トスバッティングをしていた。足腰に疲労がたまっている時こそ、最適なバッティングフォームが身につくと先輩から教わっていたからだ。最適なバッティングフォームかどうかはさておき、体力がつくような練習なのは間違いなかった。その証拠に、練習が終わったあと、1年に「先輩の今の顔やばいっす」と爆笑された。体育会系の上下関係など、俺にはないようである。

自主練からのロードワーク、シートバッティングにトスバッティング。今日の練習はどちらかというと、ちょっとハードだったな。ほんのちょっと。後輩に練習後のバテ顔を爆笑される程度に。

 トスバッティングの片付けを後輩と一緒にしたあと、おれは休憩を兼ねて、先輩を探すことにした。来年に向けて、インタビューの時にどう答えるか、考えておこう。

 確か、監督室に呼ばれてるとのことだったが、そこを訪ねてみても、監督が記者さんと話しているだけで、先輩の姿は見当たらなかった。監督に、練習はどうした? と聞かれたが、キャプテンが先輩を探してました! と咄嗟に嘘をついて事なきを得た。ちなみに、監督にはシートバッティング時の球数を過剰に申請して、本日の投球練習は全て終了となった。先輩が取材から帰ってきたら、口裏を合わせておかないと。

 そのあとは、グラウンドを見渡しても、先輩らしき人影は見当たらなかった。ブルペンに行ったのかと思ったが、バッテリーを組む村田先輩はバッティング練習をしていて、結局、相模先輩は見つからなかった。これはまずいなぁ、と思っていたところに、ブルペンの脇に立つ先輩を見つけた。

「あ、先輩おかえりなさい。インタビューはどうでした?」

「……」

「先輩?」

 先輩、無視すか……

「……ああ、今坂。いや、いつも通り……だったよ」

「?」

 先輩、なんかおかしくないか。ブルペンに来てる割には、グローブはもってないし、村田先輩はさっきバッティング練習してたから、ブルペンで投球練習というわけでもないだろう。というよりも、なんとなく上の空っぽい。

「先輩、グローブはどうしたんすか? 練習しに来たんじゃないんですか?」

「今坂。悪いけど、軽めにロードワーク行ってくるわ」

「ああ、はい……いってらっしゃい……」

 あれ? ロードワークなら俺とさっき行ったじゃん? やっぱり変だ。

 記者さんに、ほかの高校にすごい一年が入ったとか言われたんだろうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ