表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『世界征服はちゅ〜るのあとで。〜転生に失敗した魔王(黒猫)はちゅ〜るに屈する〜』  作者: 今日も今日とて黒猫さん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/27

第10話:『魔界の最終通知、押し入れの門を閉じよ!』

1. 宣告

「……ヴァルザー様。リリス様。そしてベルゼ王子。あまりにも、見苦しゅうございます」


さくらが塾に出かけ、家の中に静寂が訪れたその時。二階の押し入れの隙間から、ドロリとした紫色の煙が溢れ出した。


中から現れたのは、燕尾服に身を包んだ、影のような姿の男。

魔界の執事長セバスである。


「セバス……。貴様、よくも我の神聖な昼寝を邪魔してくれたな」


「神聖? ……ヴァルザー様、貴方は先ほどまで『腹を見せて、惰眠を貪っていた』ではありませんか。もはや魔界への帰還意思なしと判断し、これより強制連行の儀を執り行います」


セバスが指を鳴らすと、押し入れが巨大な「魔界の門」へと変貌し始めた。



2. 快適さへの執着

「帰還だと? 冗談ではないわ」


リリスが優雅に立ち上がり、爪を鋭く光らせた。

「魔界のあの荒れ果てた大地に、シルクのリボンも、高級ささみステーキもあるというの?」


「父上! 母上! 私は帰りませんぞ! 私はまだ、猫カフェの売上目標を達成していない!」

ベルゼも鼻を膨らませて叫ぶ。


「無駄です。魔界のことわりからは逃れられません。さあ、その毛玉の姿を捨て、冷酷な魔族に戻るのです」


セバスが放つ「強制送還」の波動がリビングを包む。体が宙に浮き、魔界へと吸い寄せられそうになったその時――。


「待てぇーーいッ!!」


窓ガラスを突き破り(※網戸を外して)、真っ白な弾丸――ゼノンと、その後を追う勇者アレクが飛び込んできた。


「ヴァルザー! 独りで美味いものを独占させぬと言ったはずだ! この地の平和とドッグランは、我らも守る!」



3. 百万の「いいね」の力

「くっ、これだけの重鎮が揃って……だが、個人の魔力など、魔界の摂理の前では無力!」


セバスの力が強まり、門が大きく開く。その時、クロは床に落ちていたさくらのタブレットに飛びついた。


「……甘いぞセバス! 我には今、数千年前にはなかった『力』があるのだ!」


クロはあらかじめセットしておいた投稿を、肉球でタップした。

『緊急事態だ! 全人類よ、我らに力を貸せ! 今すぐこの投稿をシェアしろ!』


瞬く間に、世界中のスマホが震えた。


『クロちゃんが助けを求めてる!』

『女王様を守れ!』

『ぶちゃいく王子にエールを!』


一秒間に数万件、数十万件と増えていく「いいね」と「リポスト」。


それは人々の「この猫たちにいてほしい」という強烈な思念となり、黄金色のオーラとなってクロたちを包み込んだ。


「な、なんだこの輝きは……!? 憎悪でも、恐怖でもない……『可愛い』という名の、純粋なプラスのエネルギーだと!?」


「セバスよ……。魔界にはこれがない。……この、胸がポカポカして、腹が減るような感覚がな!」


クロ、リリス、ベルゼ、ゼノン、そしてアレク。

五匹の叫びが共鳴し、押し入れの門を力いっぱい押し返した。


門は閉じた。

セバスは「……ちゅ〜る、一度食べてみたかった……」

という未練を残して消え去っていった。



4. 幸せな日常

「ただいまー! あら、みんなで押し入れの前で何してるの?」


さくらが玄関を開けた時。

そこには、何の変哲もない押し入れの前で、積み重なるようにして爆睡している黒猫、白猫、鼻ペチャ猫、白いポメ、そしてなぜか上がり込んでいる隣のゴールデンレトリバーの姿があった。


「あはは! 仲良しだねぇ。あ、クロちゃん、タブレット出しっぱなしだよ? ……ん? 何この通知の数!? 一、十、百、千……ひゃ、百万いいね!?」


さくらが驚愕の声を上げる中、クロは片目を少しだけ開けて、彼女の姿を確認した。


クロは満足げに、さくらの足元に体をすり寄せた。

魔界の王の地位など、もういらない。


世界征服は、この優しい「侍女」の膝の上を独占することから始めればいい。


「ふにゃ〜ん(腹減った。ちゅ〜るを出せ)」


闇の王の鳴き声は、今日もうららかなリビングに響き渡るのだった。

ふん、最後まで読み進めた貴様を、我が軍の『読者フォロワー』に任命してやろう。

貴様の端末の下にある【★評価】と【ブックマーク】のボタンを押すが良い。

それは点数ではない。我が今夜、侍女さくらから「ちゅ〜る」を献上させるための『信仰心ポイント』だ!

★を五つ捧げ、我が覇道に貢献せよ。

決して、おやつが欲しいから媚びているわけではないぞ! クカカカ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ