第6話:「法律マニアの喫茶店主」
さちえさん頑張ります。
いや?
頑張るキャラでもないか。。。
本日もよろしくお願いいたします
新たなる試練、役所の包囲網!
「松本ォォォ!!またお前かぁぁぁ!!」
いつものように商店街で酒を飲んでいた松本太一の耳に、怒号が飛び込んできた。
「うわっ、また役所の木下さんや!」
「お前ぇぇ!!鳩問題が収まったと思ったら、今度は不法占拠の通報があったぞ!」
「なんやねん、不法占拠って!」
「お前らが勝手にアーケードの上に建築しとるせいで、完全に都市計画法違反になっとるんや!!」
松本はポリポリと頭を掻く。
「いやぁ、ワイらちゃんと法律守っとるつもりなんやけどなぁ?」
「何を言うとるんや!!そんなもん、どこが合法やねん!!」
「ワイらにはお奉行様がおるからなぁ!」
「また幽霊役人かぁぁぁ!!!」
木下はブチギレ寸前だった。
しかし、その時――。
「まぁまぁ、落ち着きなさいよ。」
カウンターに肘をつきながら、コーヒーを飲む一人の女性がいた。
「な、なんや、河合さちえ……!」
喫茶店「リーガル・カフェ」の店主、河合さちえ。
元弁護士であり、法律の抜け道を見つける天才である。
「ふふ……この件、ちょっと調べさせてもらったんだけど……」
彼女はコーヒーを一口すすり、不敵な笑みを浮かべた。
「松本たちの空中商店街は……限りなくブラックに近いグレーゾーンね!」
法律の抜け道を探せ!
「おいおい、ブラックに近いグレーってどういうことや!?」
松本が目を丸くする。
「そもそも都市計画法っていうのは、市街地の開発をコントロールするための法律なのよ。」
さちえは資料をペラリとめくる。
「でも、今回の空中商店街は『正式な土地ではなく、建物の上に作られたもの』よね?」
「せやな?」
「つまり、これを『建築物』とするかどうかが問題なのよ。」
「……え?どういうことや?」
「建築物っていうのはね、法律上、『土地に定着しているもの』って定義されてるの。でも、これ……」
さちえは商店街の上を見上げる。
「建物の上に“浮いてる”ような状態じゃない?」
「せやな?」
「ならば、これは厳密には『建築物じゃなく、仮設構造物』とも言えるのよ!」
「おおぉぉぉ!!それや!!」
松本はガッツポーズを取る。
「おいおい、そんなん屁理屈やろ!!」
木下が叫ぶ。
「屁理屈も法律のうちよ♪」
さちえは優雅にコーヒーをすすりながら言った。
グレーゾーンの攻防!
「とはいえ、これは完全にグレーゾーンだから、役所がどう判断するかは分からないわよ?」
「グレーならええやんけ!ブラックやなければセーフや!」
「いやいやいやいや!!そういう問題ちゃう!!」
木下は頭を抱えた。
「でもなぁ……グレーなもんをすぐに取り締まるのは、結構難しいのよねぇ。」
さちえはニヤリと笑う。
「もし『建築物』として違法とするなら、役所側はその証拠を示さないといけない。でも、これは“仮設”って主張すれば、すぐには違法と決められない。」
「な、なんやて!?」
「役所の判断には時間がかかるわよ。だから……その間に、こっちの計画をもっと進めちゃえばいいのよ♪」
「さすがや、さちえ!!」
松本は感激の表情で叫んだ。
「ま、私もこの商店街が潰れたら困るしね。」
さちえはコーヒーカップを置きながら、肩をすくめた。
役所VS商店街、戦線拡大!
「くそっ……こんな屁理屈が通るとは……!!」
木下は悔しそうに拳を握る。
「……だが、お前らが違法行為を続けるなら、こっちも手を打つぞ!!」
「なんや?まだ何かあるんか?」
「実はな……すでに市長がこの問題に目をつけているんや!」
「えぇぇぇ!?市長!?」
松本はギョッとする。
「お前らがこんな違法建築を続けるなら、市長が正式に『撤去命令』を出す可能性がある!」
「うっ……それはマズイ……」
「くっくっく……」
そこへ、お奉行様がニヤリと笑いながら登場した。
「その市長とやら、なかなかの権力者のようじゃのぉ……」
「お、お奉行様!」
「ならば拙者が、江戸時代の法に基づき……直接、市長に談判してくるとしよう。」
「いや、幽霊が市長に談判できるんか!?」
松本はツッコミを入れつつも、これからの展開にワクワクしていた。
こうして――。
「空中商店街VS市長」という、新たな戦いが幕を開けることとなった。
次回予告:第7話「幽霊裁判、開廷!」
市長が「空中商店街は違法」と判断する可能性が浮上!
しかし、ここでお奉行様が立ち上がる!?
「よいか!この件、江戸時代の法で裁くべし!」
次回、なんと幽霊裁判が開廷!?
「幽霊が裁判やるとか、聞いたことないで!!」
「空中商店街の奇跡」、次回もお楽しみに!!