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エッセイ3

1年ぶりの痔エッセイ

作者: 七宝

 大変長らくお待たせいたしました。痔エッセイ、開演でございます。


 さかな


 さかのぼること1年。その頃、私は初めて痔を経験した。初めはただの違和感だったものがどんどん大きくなり、痛くなり、いい大人が泣きながら生活するという状況まで行ってしまった。


 当時の私のお尻の様子はこんな感じだった。


  挿絵(By みてみん)


 肛門周囲膿瘍という痔で、その名の通り肛門周りの肉に膿が溜まるというものだ。他の人のケースは知らないのだが、私の場合は括約筋そのものがこの状態になったので、絶望の日々を送っていた。


 それからしばらく破裂と膨張の日々を繰り返し、12月に病院で手術を受けたことで一旦は幕となった。





 10ヶ月後。

 私は悶えていた。


 ケツが痛い。


 ケツが、ものすごく痛い。再発したのだ。


 前作『少し真面目な話をします』(N3502IO)を読んでくれた方は分かっていると思うが、信じられないぐらい痛いのだ。


 どれだけ痛かったのかを的確に伝えたいもののそれを表現するほどの語彙が私にはないので、当時私がどんな状態になっていたかをお話しようと思う。


 2023年12月。激痛のピークを迎えた私は、ショッピングモールで四つん這いになっていた。人の目を気にする余裕すらなくなっていたのだ。


 括約筋にできた膿は、もう片方の尻肉に触れるだけで激痛を引き起こす。末期ともなればただ歩いているだけで燃え盛るハバネロを突き刺されたような痛みに襲われる。真冬だというのに消防車のように汗が吹き出ていた。


 ゆえに、尻の肉を開かせることの出来る唯一の体勢である四つん這い以外に、助かる方法がなかったのだ。


 波のある痛みだったので、しばらくすると歩けるようにはなったが、相変わらず激痛は続いた。その翌日も家で1日泣き、そのまた翌日にようやく病院へ行った。金がなかったのでなかなか行く気になれなかったのだ。


 というのが!!!!


 再発したのよ。


 先日投稿したエイのエッセイにて、私は「人生最大の痛みを味わい中」と言っているが、これは嘘でも誇張でもない。


 なぜなら、ただの肛門周囲膿瘍ではなく、肛門周囲膿瘍・W(ダブル)だったからだ。


 簡単な図を描いたので見ていただきたい。


  挿絵(By みてみん)


 お尻だ。

 私のお尻はツルツルすべすべで天使のような肌触りなので、この絵のままだと思っていただいて問題ない。


  挿絵(By みてみん)


 そしてこれが去年の私のお尻。最終的にのど飴サイズまで括約筋が腫れた。


 *←これの周りというより、これ自体が腫れているという状態だ。


  挿絵(By みてみん)


 で、今回。


 →*←


 こことここが腫れている。


 正確に描くとこうなる↓


  挿絵(By みてみん)


 患部は外側だけでなく内側にもあり、外から見える膿は南半球でしかなかったのだ。


 つまり、爆弾同士が押し合っているという状況だ。


 しかも、人間はうんちをする。


  挿絵(By みてみん)


 当然だが、うんちはここを通る。

 密着して押し合っている爆弾の間をメリメリとこじ開け、無理やり通っていくのだ。


 この痛みは想像を絶するもので、叫びながらでなければ排便できないほどだった。


 当時私は断食をした。この苦しみを味わうくらいなら、常に空腹状態でいる方がマシだと思ったのだ。


 実際に1日何も食べずにいると、便意が来なくなった。しかし、2日目の夜あたりで限界が来て、うどんを食べた。


 食べてしまったものは仕方がない。

 だが、出来ることはある。うんちが作られる前に手を打つのだ。


 私は全裸でアイスを食べた。お腹を冷やして下痢にする作戦だ。うんちが硬ければ硬いほど2つの爆弾は痛むので、液体として通って欲しかったのだ。


 下痢作戦が奏功し、腹痛に歓喜しながらトイレへ向かう。


 下半身を丸出しにして、便座に腰を下ろす。


 ブピッ⋯⋯








ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!








 下痢でも痛いんかい!


 泣き叫びながら下痢を出し切り、トイレットペーパーに手を伸ばす。


 下痢なので多めにペーパーを取り、折りたたみ、深呼吸をする。


 ふぅ⋯⋯


 2つの爆弾に紙をあて、その上から肛門に指をグリグリとねじ込む。うんちよりは細いものの力としては指の方が強いので、さっきよりもさらに阿鼻叫喚しながら尻を拭く。


 息を切らしながらトイレを出る。


「なぜ自分がこんな目に」


 そんな言葉を何度も呪詛のように発しながら部屋へ向かう。


 無論、座ることなど出来ない。ドーナツ型のクッションはあるが、ここまで来るとあんなものは気休めにもならなかった。


 寝転がってスマホで痔のネットサーフィン(この頃は本当に検索履歴が痔ばっかだった。去年も)をしていると、尻が痒くなった(長時間うんちをしていたので、おそらく下痢が乾いて付着したままの部分があったのだろう)。


 私はなぜか何の気なしに肛門を掻き、直後叫んだ。

 これは18時という字を見て頭の中で「おっけー、8時(20時)ね」と誤認識する時の感覚に近い気がする。伝わるのかなこれ。


 痒いままにしておくと痛みで死んでしまうと思い、シャワーを浴びた。優しく洗い、優しく体を拭く。しかし、痛い。なんならアリが歩いただけで痛むんじゃないかと思うほど痛い。


 屁が出た。もちろんスカした。つもりだった⋯⋯


 屁は尻の肉を拡げていれば音は鳴らないが、この時の私は腫れに腫れた肛門を開かない限り音が出る状態になっていたのだ。


 信じられないぐらい痛い。


 風が吹くだけで痛むのが痛風なら、私は今「痛(ぷう)」だろうか。


 この時、私はある覚悟を決め、全裸で部屋に向かった。


 テレビの横にある棚の引き出しを開け、裁縫セットを取り出す。中から最も細い針を探し出し、アルコールのシートで念入りに拭き、さらに念を押してライターで炙った。


 準備は整った。

 また私は深呼吸をして、尻に針を突き立てた。


 痛い。


 が、どこがどう痛んでいるのかいまいち分からない。


 鏡を使っていろんな体勢で肛門を見ようとするも、体の硬い私にそれは叶わなかった。


 仕方がないのでそのまま見ずにやることにして、まずは指で患部を探した。やはり肛門そのものが腫れている。


 右手の指で患部を触り、その指に合わせて針を突き立てる。


 怖い。


 しかし、中の膿さえ出てしまえば残るのは針による傷の痛みだけで、今の何万分の1の苦しみになる。これまでの経験からそれだけは確実に分かっていた。


 しかし、手が動かない。


 息を止めて目をギュッと瞑り、ゆっくり針を押し込むも、刺さらない。


 ふーっ、とひと息ついて、もう1回。


 刺さらない。


 刺さったのではないかと思うほど痛むまで押しても、まだ刺さっていない。


 そんな⋯⋯


 じゃあもう、どうすれば⋯⋯


 諦めて針をしまったり、「やっぱり今やらないと」と思ってまた取り出してアルコールで拭いたり、また戻したり、取り出したり、というのを何度も繰り返した結果、「無理っぽい⋯⋯」という結論に至った。


 もう、写真撮ってみんなに見せてあげたいくらいとんでもない状態だった。多分みんな泣くと思う。かわいそう(´;ω;`)って。こんな状態で生きてるのかわいそう(´;ω;`)いっそ殺してあげた方が⋯⋯ってなるはず。


 おしっこを絞る時も括約筋をキュってするから、相当な覚悟がいるんだ。なんでおしっこするだけでこんな心臓まで痛くなるの?


 次の日にはまたうんちがしたくなる。


 下痢でも痛いと分かったので、わざわざ自分をいじめて腹まで痛くする必要はないと思って普通のうんちにした(選べるのかよ)。


 触れたら激痛ののど飴2つで完全に塞がれた小さな穴から、大きな龍を召喚する⋯⋯


 どれだけ痛むかは自分のさじ加減。でもうんちを出さずにずっと我慢してるとお腹が痛くなる。でも出すとお尻が痛くなる。でもお腹が。お尻が。


 踏ん張るとお尻が!!!(´;ω;`)


 ギャアオォ!!!!!


 何回この(くだり)やるんだよって思われてるかもしれないけど、1回1回が全部裏ボス級のヤバさだったんだよ!


 うんちを出し切ったら、少し休憩。息切れをしながら、肛門を開いて休ませる。


 でも、肛門って自在にコントロール出来ない。他の人の肛門を知らないからなんとも言えないんだけど、数秒なら自分の意思で開くことは出来るんだ。でも、ある一定の時間が過ぎると勝手に「ヒュッ!」って戻るんだ。その「ヒュッ!」でのど飴爆弾がまた密着して、ぎゃあー!ってなるんだけど、また括約筋開いて、勝手に閉じて、開いて、閉じてっていうのを何回かやってお尻を落ち着かせて、指でグリグリやれるなって思える状態になったら(なるわけない)トイレットペーパーに手を伸ばす。


 我慢してても声が出ちゃう。人によるんだろうか。声を出しても痛みが和らぐわけでもないのに、なんで声でちゃうんだろ。


 いつしか両尻全体が痛くなってきて、運命の日がやってきた。10月12日だ。

 午前10時5分、私はトイレにいた。うんぽこぴーをしていたのだ。


 おそらくこの時がピークで、気を失いながらうんちをしていた。記憶が断片的にしかないのだ。こんなことは人生で初めてのことだった。


 うんちを終えた私は「そろそろ爆発してもいい頃合いだろう」と思い、久しぶりにパンツを履き(私ノーパン派なんです)、中に大量のティッシュを詰めて、お尻に挟んでその日を過ごした。


 しかし、一向に爆発しなかった。夜にまたうんちがしたくなるまでずっとティッシュもりもりお尻だったのに、トイレに行く前に取り除いたティッシュはただただ純白だった。


 なんならティッシュが擦れてずっと痛かった。ずっと痛い思いして備えていたのに、1ミリの膿も出てこないとは!


 昼間、去年の再放送みたいな状況になった。またショッピングモールで四つん這いになったのだ。去年と全く同じで、本当にどうすることも出来なかった。


 そんな中、通りかかったおば様に「やらしいなぁ!」と怒られ、また別のおば様にはストレートに「変態」と言われた。こっちはこんな辛い思いをしているのに、ひどいよ⋯⋯と泣きそうになった。


 なんとか波を見てショッピングモールから抜け出し、家に帰った。


 その夜、私はまた便意を催した。ってさっき言ったなこれ。


 気絶覚悟でトイレに座った、その時だった。


 化け物みたいな激痛が尻を襲ったと思ったら、なにやら尻の肉に液体がついた感覚が⋯⋯


 急いでトイレットペーパーで拭いてみると、真っ赤な液体が大量についていた!!!!


 チャンスは今しかない!! そう思い、私は息を止めて2つの爆弾をペーパーでギャジョギャジョにした。


 破れた左側の爆弾からは順調に膿が排出され、ギャジョギャジョによって破裂した右の膿溜まりからもモリモリと出てきた。


 そのまま叫びながら全ての膿をしごき出したあと、普通にうんちをして、普通にお尻を拭いた。


 穴の空いた皮膚を紙でギャジョギャジョやっているのでかなり痛いはずなのだが、この時私は普通に尻を拭いた。なぜかは分からないが、おそらく痛みのレベルが大幅に下がったためだろう。株で1億円失ったあとパチンコで4万円負けても本来よりダメージが少ないのと同じだ。知らんけど。


 という感じで今年の痔騒ぎは終息した。


 と思いきや、11月に入った頃から膿が出まくるという奇病に発展し、穴が塞がらない「痔ろう」というヤバい上位互換になった⋯⋯? と絶望していたら、治った。良かった。マジで良かった。


「治ってないよ! 病院行けよ!」って言われるかもですが、お金がなくて行けません! だから言わないで! 私困るから!


 ほんじゃーな!!!!!!!


 ほんじゃーなとボンジュールってなんか似てるね。逆っぽいのに。


 まぁ、入場と退場も似てる気がするし、なんなら右と左なんて同じような存在だからね。

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― 新着の感想 ―
本当に痛そうですね…。 なのに、やらしいとか変態とか罵られて、本当に七宝さんかわいそう…。 病院に行ったらまた手術なのですかね…。 傷からばいきんが入らないといいのですが。。
肛壊裂きに勃たず  さっさと病院行きなさいな。 
いやもうまじで括約筋さんが心配よ… イ㌔のいいねだわ…
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