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魔法使い、猫くん  作者: なぎさん
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第5話 「猫くんと、猛者パワー!」

転移モノ、ローファンタジーです。

人目を忍び猫の姿で異界を彷徨っていた魔術師と、彼を猫と勘違いし拾った女子大生の物語。


怖がりな芽唯流の為に猫くんがなんか作ります…。

第5話 短編です

第5話 「猫くんと、猛者パワー!」



 黒光りする鉄の塊を、うちの猫がくわえて持ってきた。


ゴト。


「ひっ!」


拳銃だった。



 オマエ何テーブルに置いてんだオマエ~!?


叫び出すのを必死にこらえる。小声小声…!


(ど、どっから拾ってきたのソレ!)


「いや、貰った。」


(貰うなそんなモノ!)


「ちょっと脅したらくれたんだよ。」


(何があったのよ!)


「いや…人の姿で歩いていたら絡まれて、面白そうなのでそいつの車に―――――人気のない――に―――なもんだから――――で―――を使って―――やったら―――」


(もういいです、スミマセン言わないで下さい忘れさせて下さい頼むからどっか二度と人の手に渡らぬところに証拠隠滅して下さい猫様)



「お前が怖がりだから戦う力を分けてやろうと言うのに…」


(ソレは普通の人が持っちゃいけないんですぅ!)


「じゃぁ、弾丸の代わりに魔法を込め…」


(同じですぅ!)


「贅沢な奴だなお前。」



 ―――翌日。


緑色で半透明なプラスチックの拳銃を、うちの猫がくわえて持ってきた。


…ひと目でわかる水鉄砲だった。



テーブル濡れるから置くなオマエ~!


(今度は何なのよ!)


「これなら持っていても自然だろう。」


(水鉄砲を常時持ち歩く女子大生がどこに居る!?)


…黒猫はわたしを指さした。


(てめこの、喉しゅりしゅり~!)


*注:虐待ではない。猫くんにはこの喉くすぐりが効くのだ。


「にゃにゃにゃ、やめろ…これに爆裂火球を込め、水と思ったらなんと火炎という意外性…」


(うるさい!絶対ふざけてるだろ!)



コンコン。「菱川さん、静かにしてくださいよ!」


「すいませ~ん!ドラマの展開が気に入らなくてぇ~!」


……。


……。


(喉しゅりしゅりしゅり…)  **注:虐待ではない。



 ―――翌日。


うちの猫がねだってきた。


「アンティークショップに買い物に行くので2万程くれ。」


ちなみに、自分で言うのも何だけど、わたし菱川芽唯流の家は比較的裕福…だと思う。


両親から振り込まれる生活費は学費、寮費除き月10万程。だから無理じゃないけど…。



 ―――翌日。


うちの猫が調子に乗ってねだってきた。


「フラスコとランプとコショウとコウモリの羽とカナヘビの尾と蛇の抜け殻が欲しいので金を2万程くれ。」


(最初の3つは売ってるけど後の3つは買えません!)


「仕方ない調達してくるか…」


(ヤメロ。絶対ヤメロ。キモイ。)



 ―――翌日。


うちの猫がすでにヒモ化してねだってきた。


「滝○の博物館で恐竜の化石を売っているので2万程金をくれ。」


(買うなそんなモン!)


「お前、今、全国の恐竜ファンを敵に回したぞ」


(恐竜は素晴らしいけどそういう問題ではない!)


「じゃぁ、いいじゃないか。」


(何に使うか、言え!もう4万円使ってるじゃん!猫くんの踊り収入もあるけど言え!)


「芽唯流を守るため。」


「う…どうせ、そう言いつつ、ふざけるんでしょ?」


「いや、今度は役立つ。しかも逮捕されない。不自然でもない。」


「拳銃不法所持で逮捕って知ってたな!?」


「うむ。」


(喉攻撃ぃ…!)   ***注;虐待ではない。



 ―――翌日。


面白そうだったので博物館には一緒に出掛けた。猫くんは背中のリュックに入ってもらった。


「人の姿でいいじゃないか!」


(ダメ。猫くんは猫くんのままがいいの!)



 …おお、アンモナイトでかーい。しかも沢山あるう。


へー、これがこの辺にいた恐竜かぁ。あ、恐竜じゃなくで水生爬虫類?わかんないや。


モササウルス、全身復元模型…おおお…ちょい怖い。



「芽唯流、あの化石コーナーでモササウルスの歯を買ってくれ。出来るだけ大きいのがいい。」


…テレパシー来た。あぁ、何か本当に買っていいのか悩む…。



 ―――翌日。


 うちの猫が何かを鍋でかき混ぜながら、ニャ、ニャ、ニャ、と笑っている。怖い。


黒いフード…に見立てた布を被っているのは演出らしい。



 ―――翌日。


 綺麗な細い銀の鎖の先に、無骨に大きい骨の牙が付いたネックレスを、うちの猫が自慢げにくわえて持ってきた。


「ほら、芽唯流、これは真面目なプレゼントだ。必ず戦う力になるだろう…なんだ?その複雑な表情は?」


「…あー…うん、ありがとう猫くん。今度は真面目に…役立つものを作ってくれたんだね。嬉しいよ。うん。」


「…正直、お前を美しく飾るものではないのは判っているのだが、性能上こうするしかないのだ。綺麗なアクセサリーなら、そのうちプレゼントしてやる。」


ぎゅ。


なんだ、分かってるんだ。ズルいぞ、猫くん。


「本当はドラゴンの牙が欲しかったんだが…」


「いや、無理しょ」


「…こいつにはモササウルスのパワーを込めた。簡単なコマンドで10分、お前は恐竜の様に強大な力を発揮できる!」


「きょ、恐竜のようなパワー!?」



わたしは、一気にムキムキになり、服がビリビリに裂ける世紀末な自分を想像した。


「…外見は変わらない。だが、大の男を片手で投げ飛ばせるだろう。」


ホッ。良かった。


「う、うん、なら、隠して持ち歩けば役立ちそうね!で、なんてコマンドするの?」


「こちらの国では、強大な力の勇者を<猛者>と言うようだな。まさにモササウルスの力に相応しい。」



…最早、嫌な予感しかしない。


うちの猫が、自信満々に言い放った、


「<猛者パワー!>と大きく叫べ!!」

「言えるかバカ猫ぉ!!」


「何故だ!良い言葉なのだろう!?」


「お前は!(喉しゅり!)少しこちらの乙女の生態を!(喉しゅり!)理解する努力をしろお!」



コンコン!


「菱川さん!何を1人で騒いでるんですか!?」


「すみません~!乙女ゲーのガチャが気に入らなくてぇ~!!」


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