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魔法使い、猫くん  作者: なぎさん
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第41話 「猫神様の苦手」

ライト回です。ほぼ、日常の1コマ。短め。


ローファンタジーです。TRPG、RPG、リプレイ等お好きな方ぜひ。

 ええ、ワタシ、パミルと言います。カメです。あなた方の言う、異界から来ました。


喋るのはデフォルトです。カメとは元来喋るものです。あなた方の世界のカメは喋らないようですが。



 ワタシは現在、凶悪な魔術師のご自宅…いや、城ですね、に住み込みバイト中です。


奥様とご令嬢の(0歳)お守り兼、ボディーガードです。


カメなもんで、防御魔法には自信が在るんですよ。



 ですが、今日は奥様在宅なんで、レーテさんに連れられて、城の横にある砦、<緑猫の旅団>本部に来ています。


ま、要塞ですよね。住居と訓練場があります。飲み食いも遊びもできるらしいです。


この魔術師の旦那様は、異界の人々には英雄視されていますがね、一応。


―――――――――――


 此処は、緑猫の旅団、酒場。


今日は誰も居ない。いや、魂の入った喋るフランス人形ゴーレムがいるのですけど。寝ているみたいです。基本、夜行性らしいんですよね。



 「ベルランド、パミル、新しい魔法体系について意見を聞きたい。」


「はい、マスター。」(ベルランドさん


「はぁ。」(ワタシ


ワタシとベルランドさんは、緑色の猫さんの前に座らされています。レーテさんは、家の中以外はほぼ、この姿です。猫かぶりも良い所です。(うまいこと言ったつもり)


このベルランドさんは、レーテさんの元々居た異界での部下であり、実力派の魔法使い。


問題は、この時、非番で酔っていた事なのですよ。



 「ネットだ。電子の世界に魔法を及ぼす方法だ。」


「ほお、それはすごいですな、マスター。」(ベルランド


「何のために?」(ワタシ


「…魔法の発動とは、世界を構築する“マナ”を介して、イメージを具現化するものだ。時を意識すれば止めることも出来る。空間を意識すれば、テレポートも容易い。」


いや、意識したって出来ないんですよ普通はね…。(ベルランド:小声


この人の理屈は根本的に間違っているんですよね。絶対、先生になっちゃいけない人だと、パミルは思います。(ワタシ:小声


「私は、既にネットやサイバー空間について理解した。だが、難しい。見ろ。」


マスターは、モニターを準備した。


「“映像反映”」


モニターにマスターの顔が映る。


「この様に、直接、モニターに映す魔法は容易く創れた。」


「容易いんですか!」


人の苦労と言うモノを、もう少し理解すべきなんですよ、この人は。(ワタシ


「が、しかしだ。データの中に入り込んで書き換えるような、ハッカーのような事が出来ん。」


そうでしょうよ。我々の科学知識はこちらの世界で言う中世ですよ。(べ


何企んでるんですかね。(ワタシ



 「無数にある記号のどれを魔法で変えてしまえばいいのか!」


「いや、マスター、ハッカーが魔法を使わない現実で出来ることを魔法で再現する意味は無いのではないでしょうか…?」(べ


「…それではダメなのだ。」


「そう言えば、マスター。先日某国のミサイルを無効にしたと言いましたよね?データを書き換えたのではないのですか?それと関係が?」


「データ書き換えなど。そのような事を私が出来る訳なかろう。」


マスターの出来る出来ないは境が判らん…。(小声


すがすがしいですよね…。(小声


「何十発かは、“疑似生命”を与えて“永久化”したのだ。残りは、ミサイルの中をいくつか“素材変換”してやった。」


「なるほど。今後はデータを魔法で書き換えて、世界平和に貢献するわけですか!さすがはマスター!」


「…え?…ああ。そうだ。私の力で無用な兵器は消してやる。」


絶対違うと思います。この人はそんな、正義に燃えるひとではないです。



 「そこでだ、キミらに見てほしいのはこれだ。」


マスターは、VRのヘッドセットと、P●6を手元に呼び出した。


「買ったんだが。」


「ハイ、私も欲しいですねマスター。我らが団に常備することを要望します。」


けっこうこの魔術師さんも調子良いなぁ。


「…そうか?じゃぁ買っておこう。」


「ぜひ!」


無駄な所で気前いいです。コノ人。



 「…で、ヘッドセットを被ると、リアルな世界に没入感たっぷりで遊べるよな…まさに我らが操る幻影の魔法の如く!」


「ハイ、マスター。」


「この中のキャラに、意識を移せないモノか!?」


「そ、それは凄いですマスター!」


「そうだろう?」


「R18ゲームとかに意識を移したら大変なことになりませんか!!」


ワタシ、世の中の魔法使いが全員バカに見えてきましたよ、ハイ。


「…考えていなかったが…そのような悪用も出来るだろうな…」


「是非、感覚も感じられるようにするべきです!マスター!」


「ベルランド…まぁいい。ちなみに、本当に出来た場合。ゲーム内で死ぬことは現実で死ぬことになりかねん。感覚まで持つのは危険と言える。」


「むう、そうですな。無念…。」


この人、酔うとアホ寄りのひとみたいです。



 「さらに、次だが。ゲーム内のアイテムやモンスターを実体化できたら面白いと思わないか!?」


なんかすごいこと言ってますよハイ。


「なるほど!映画から飛び出すとか、マンガからキャラが出て来るとかありますもんね!」


マスターは、この時ちょっとだけ、真剣で寂しい目をした。と思います。


「…神なら、出来かねない所業だが。現実に、ゲームの本数だけ魔王が世の中に現れると色々と終わるだろう。まぁ、勇者も聖女も公爵夫人も幾らでもいるが。」


「待って下さい!R18ギャルゲーキャラを召喚することも出来るわけですよね!?」


ワタシ、先程の意見撤回ですよ。世の中の魔術師がアホなのではなく、このヒトがアホなんですよ。



 「あー、ベルランド、女から少々離れろ…。現実的には、ゴーレム召喚に近い。疑似生命を作り、能力を与え、外見を与えるのは術者になる。元々のデータの中に、“魂”がない。実在しないものは召喚出来ない。」


召喚と言われると私ちょっと思うところアリですよ。召喚ねえ。



 「見ろ。“ムラマサブレード!”」


マスターの手元に、カッコイイ日本刀が出現しました。


「とまぁ。これは勿論形だけのレプリカだが、レプリカを生み出すことは出来る。」


「他にも…絵画の中に疑似空間を作り、逃げ込むなど…シェルター系の魔法が在るだろう?」


「はい、ありますが中々難しい。」


「同様に、スマホ映像の中に疑似空間を作り出すことも出来た。メールで送れば、そこで実体化できる。」


「ほう。それは役立ちそうですな。」



 やっと、まともなのが来て、パミル安心しました。


「居場所は判らなくても、アドレスだけ知っている敵の懐で実体化できるわけですな?」


「…ほう。ベルランド。面白い。やるじゃないか。」


「お褒めにあずかり光栄。マスター。」


よかったですねえ。ベルランドさん。タダの女好きじゃ無かったんですね。



 こうしてワタシは、再び、おうちのほうに帰ってきました。


――――――――――


 家事手伝いをして。


イリーゼちゃんのオムツを変えて、背中に乗せて遊んで。


夕方。ワタシはお暇する時間です。


イリーゼちゃんも遊び疲れてぐっすりです。



 「猫くん、イリーゼ寝たよ。」


「そうか。じゃぁ…。」


なんか、カメはまずい雰囲気を察して去りますよ。


…2人はソファに座りました。


あ、ヘッドセット付けてる。


おや、格闘ゲームですねー。



 「今日こそ、私が勝つ。」


「甘い甘い甘い!紅蓮旋風百華拳!」


「ぐっ!なぜ!なぜ勝てないのだ!なぜ芽唯流の技が先に入るー!」


「ふふふふのふ…ゲームだけは勝つのだー!わたし!」



 ワタシ、思い出しましたよ。


<この中のキャラに、意識を移せないモノか!?>


ええ、ええ、そうでしょうとも。


アナタが世界平和に貢献なんて考えてる訳ないです。


芽唯流さんに、ゲームで勝ちたかっただけ、なんですよねー!?



まぁ、この人がこんなこと考えてるうちは、平和なんでしょう。



続くー。


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