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魔法使い、猫くん  作者: なぎさん
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第40話 「猫くんVS人類最強」

某国から送られてきた、魔人。ただ、破壊と蹂躙の為に送られてきた最強のサイキック。

魔法VS超能力。 ”唱える”呪文VS”思う”念動力。 神速VS思考。

猫くん、人類最強の敵に挑む。


ローファンタジーです。TRPG、RPG、リプレイ等お好きな方ぜひ。第40話。

第40話 「猫くんVS人類最強」



 刺客。そう言えば聞こえはいいが。


違う、コイツは只の破壊神だ。魔人だ。


此処は首都。私を呼び出したのは、街中で破壊の限りを突然繰り広げた若者。


流行りの2ブロックの金髪、上だけ金で下が黒だから染めているのだろうな…。

背の高い若者だ。それなりに鍛えているような筋肉だ。



この様な者が何処に隠れていたのだろう。

どうやって生活していたのだろう。


1つ言えることは、<その国>から送られてきたという事実。

この国とは敵対的な大国。


男は、笑っていた。

「出て来い、猫神とやら。最強、決めようぜ。」

軍を含め、人々を守るはずの全てを消し去った後、コイツはそう言った。

そちらの国の言葉だろうが、意味は判る。


―――この男は、サイキックだ。

しかも、映画のヒーローを超越するような、サイキックだ。


――――――――――


 空港に降り立ち、すぐに暴挙を始めた。


旅客機を次々破壊し。

宙に舞い、街を破壊。主に高層ビルを砕き、下に居る人々を潰して遊んでいた。


…動画を撮りながら。


余りの暴挙に、流石の警官隊も発砲を許可されたらしい。

らしい、だ。もうどこにも居ないから。



国軍の部隊が出動した。

戦車と、自走砲と、高射砲と、ヘリ。狙撃部隊。

何分持っただろうか? 2分かそこら? そして、もう居ない。



私はすぐに旅立った。

心配する芽唯流をなだめ、イリーゼを抱きしめてから。


政府からのコールが鳴りっぱなしだが、どうでもいい。

カメラに向かって、泣き叫ぶ子どもが居たから。

懇願する老人が居たから。


「猫神様、助けて」

そう叫ぶ声が聞こえたからだ。


ああ、そうだ。私はヒーローではないよ。

むしろ、前の世界では逆に近い。


でもな、これは人の所業ではない。

だから、同じく人ならざる私が始末をしよう。


――――――――――


「貴様、人間か?何故無力な者達の命をもてあそぶ!?」

テレポートして、私が最初に浴びせた言葉だ。


「おっやぁ?俺は何かしたかなぁ? 俺が超能力を使った証拠が何処にある?」

「この国に、いや、世界のどこにも、俺を裁ける国はないよなぁ。」

「だから、全部オレのモンだ。綺麗なオンナだけ残してやる。」

「金も、全部貰っちゃって良いよな。この国、好きにしていいって言われたんだ。」

「あひゃ、久しぶりに力使える!最高にハイだ!!」


そう言って、鉄塔を根こそぎ引き抜いて、避難する住民に叩きつける。

「“念動!”」

私は空中で鉄塔を止め、そいつに向け投げ返した。

男は何も言わない。

だが、鉄塔はその目の前でピタリと止まった。そして落下する…。


コイツの力が、空気を通じて伝わってくる。

天災のようだ。…天災そのものだ。


だが、この馬鹿な若造に、思い通りにならぬことがあると、教えてやろう。


眼下の街は、もう完膚なきまでに、壊滅されている。

それが、このたった一人の若者によってもたらされたのだ。

首都の中でも若者に人気のある街の1つだったが、まるで、戦争の跡の様に無残だった。



「猫。猫猫。聞いてはいたが、本当に猫なんだなぁ~。猫が最強の国って笑えるよなぁ。何より笑えて腹立つのはなぁ、今、お前、テレキネシス使っただろ?いいか?オレのテレキネシスが本物なんだよ。最強なんだよ。気に入らねえなぁ。」


「…私の中で、貴様を生かしておく理由は欠片も無くなった。貴様自身が言ったように、我らの力は裁かれない力。私が裁こう。」


「“追跡火球”」

ホーミングするファイアボール。死ね。

直径20m、超火力の火炎。


「おおお!すげえ!“曲がれ!”」

曲がれ、だと!?


巨大な火球は。不自然な力を受けて、急速に右に曲がり、高層ビルを打ち砕いた。

…もうすでに、人が居ないはずだが。


「あひゃ、次はオレだよね。よう、世界の奴ら、俺を撮ってるか? 最高のバトルだぜ、よく見ろよ!」


「あはははっは、猫ちゃん、潰れちまえ!」


高層ビルの上3階分くらいが、圧し折れて、宙に浮く。

ビルを圧し折った!? こんな、こんな化け物が!人間が!居るのか!!


「おらぁああああ!!」

投げつけ、ソイツは私にはこう言った。

「“猫は止まれ!”」

理解した。強力なサイキックが、私の動きを止めた。

「“鉄身”」「“念動”」


飛んで来る、余りに巨大な質量が私にぶち当たる。念動で勢いを殺したが、無駄だった。

「“衝撃波!増幅!”」

硬質化で、押しつぶされるギリギリを耐え、破壊の大呪文を唱える。目の前のビルは粉になった。

「おおお!やるじゃねえの!おもしれ、魔法もおもしれえなぁ!」


男は、次に足元の瓦礫という瓦礫を宙に浮かび上がらせた。

「数増えた場合は、どうすんの!?おらぁああ!!」


「“障壁!”」

飛来する瓦礫を次々に壁で防ぐ。


「曲がれ、瓦礫!」

障壁を、瓦礫の山が弧を描いて避けて来た。

「く!!“防護円!”」

鉄身と防護円。瓦礫を次々弾く。


恐ろしいことだ。ヤツは、呪文など使っていない。

思うだけ。思うだけで効果を発動している!

魔術とは違う、万物の構成要素に働きかける魔術とは根本的違う!

サイキックの源は思念だと言う。人ひとりの思念が此処まで力を持つのか!?


「お前のバリアー、邪魔だなぁ…」

男は、両手で、扉をこじ開けるようなジェスチャーをした。


私の魔力を破壊しようなど…。

だが、防護円にヒビが走る。

私の魔力を…!? 神の眷属より強かった私の魔力を割るだと…!?

この私の魔法を!神祖の魔法を!魔王の呪文を!!!


ガチャガチャのカプセルを踏みつぶすように、防護円が破壊された。


私は、一瞬で姿を変化させた。人間に。

顔だけ。猫のままだ。猫の獣人の様。だが、素顔だけは、出せない。


そうだ、屈辱の戦いだが、私はこれが最後の戦いとは思っていない。

コイツがいくら強かろうと、“黒炎”より強いはずは無い!黒炎は、神なのだから!!


体を人間にしたことで、神速の呪文を使いやすくする。


勝負だ、欠片の猶予もない、本気の戦いだ!


「“防護円”、“雷撃”、“雷撃”、“雷撃”、“風刃”、“風刃!”」

「こ、この野郎!!バリアー!」

雷も風の刃も、届かない。バリアを張れるのは奴も同じだ。


物質魔法が防がれるならば。

「“石化!”」

男の体が石になっていく。

「うぎゃあ、嫌だ、俺は石になんかならない!」

パキッと音がして、石化の呪文が割られた。


サイキックを使ってディスペルしたのか!?

何でもアリか!?超能力ってのは!!


流石に、男は肩で息をし始めている。

「ぜえ、ぜえ、ぜえ、へ、へへ、でもお前、万策尽きたろう。」


男は笑いながら、宙に浮かびながら近づいて来た。

「判る?サイキックは、お前と違って呪文を唱える必要なんてないんだ。思うだけなんだ。

思うだけで、思いのままなのさ。だから、呪文なんかより、早い。」

「ほう?」

「だから、何人も、呪文使い殺して来たよ?他国のさぁ。 オレが世界一強ければ国も安泰ってワケ。まぁ、オレには余り関係ないけど。」


「国ね。どうでもいい。だが、命は違う。お前は余りに命を軽く見過ぎだ。」

「化け猫が説教するなよ。どうせ同じ穴の狢だろ?」


「私は、この世界に来てから命を奪うとこを避けて来た。だが、今日だけはその禁を破ろう。お前の力は…いや、お前の<心>は、この世に存在すべきではない!」

「やってみろよお!オレの勝ちだよ!オレの力の方が上だった!!」


「見せてやる、神速の魔術士たる所以。お前の<思う>とどちらが早いか、勝負!」

「“石化”“念動”“拘束”“呪詛”“火球”“光弾”“雷撃”“凍結”“麻痺”“睡眠”“荷重”」

「おうあああああ!嫌だ!防げ!バリアだ!無効化しろ!オレの体から出ていけ!」

私は、ここがチャンスと仕掛ける。予想通り、サイキックは一点集中型だ。一芸に秀でるが万能ではない。コイツは、物質現象以外は受けやすいはず!


「“時間停止!”」

接触呪文で、分解してくれる…!!

凍った時間の中を、奴に近づく。


だが。ヤツの目はぎろりと動き、私を見た。

多分、止まった時間でも動きたい、そう<思った>のだろう。

ヤツは動き出した。最強接触呪文、“分解”の範囲から逃げて行く。


「…お、惜しかったな。認めるよ、魔法使い。おっそろしいな、オマエ。でも、俺の勝ちだ。もう、遊びは終わりだ。これでオレの勝ちだよ。」


男は、両手で写真のフレームを作るみたいに構え、恐らく私をその中に収めると…。

力強く握りしめた!!


「“防護円!最大!鉄身最大!!”」

「無駄だ!オレの力の勝ちだ!サイキックが魔法に勝つ瞬間だ!バズってるか?ああ!?」


…最大の力の防護円が、少しずつ、歪んでいく…。私の魔力が負ける…?

…“鉄身”で持つのか?逆に“霧”になるか?

迷うな!迷うな!瞬時に最高を選べ!それが魔術師の力!


認めろ、このマナの少ない世界では…ヤツの力が上だ!

パワー以外で勝て!考えろ、一瞬で!


悔しいが、力の元が違う…そう、ヤツの力と、私の呪文は効果が同じでも元素が違うのだ…。

はは、ずるいじゃないか。このマナの薄い世界では3割も出せてないと云うのに。


怒りで、怒りで私の口が動く。

「“ゲート”“ゲート”“ゲート”“ゲート”“ゲート”“ゲート”“ゲート”“ゲート“”ゲート”」

私の周りに、小さな空間の渦が幾つも幾つも現れる。


「何を血迷った?ああ、逃げる気か?なるほど、最後の手段はそれだよな。逃がさねえけどな!!」


私は、深く息を吸った。何度も、大きく吸った。


「ふ、はは、悪いな、賭けに勝ったようだ。」

「何だと?」

「ゲートの中に、異界の空気があった。マナの濃い世界の空気が。」

「は?」

「…私の本当の魔力…見せてくれる!!」


「“念動!”」

ヤツのサイキックを吹き飛ばした。

「“念動!”」怒りだ。同じサイキックの魔法で追い詰める!

10階建ての廃墟ビルを、下から根こそぎ持ち上げた。かつての戦車など…今なら紙屑のように吹き飛ばせる。


「くらえ!!」

「うおおおおお!止まれ!止まれえー!!!」

「潰せ!!」

「だ、だめだ!高速移動!」

「“転移!”」

砕けるビルの上に飛び、逃げる男。その真後ろに私は一瞬で転移した。

「“拘束”」

「ぐ!!動け!動け!壊せ!この見えない力を壊せ!!」

「無駄だ。」

私は、上空に、この敵を上空に高くに運んだ。被害が出ないようにだ…。

「念を入れようか? “混乱”」

「あああ、頭のなかああかに、ざ、ざつおうん、しゅ、しゅううちゅう…が」


「お前の<思念>。確かに凄まじい。だが、それを制御する<理性>は左程でもないな。この程度で集中を乱すとはな…。」


「知るがいい!魔術の源は世界の構成要素たる<マナ>だ!お前は思念で<力>を操るが、私は<マナ>で想像を具現化する!魔術こそ、世界創造の力!!」


「“融解火球!!”」

メルト・ファイア・ボール。火炎の中で最も融解温度の高い残虐なる呪文。

直径200m。青々と燃える、火球。

全て、溶かす!


「シュートだ!!」

「 あぁぁだ、ばりあ、あ、、ばり?溶け…とけ るう 」



崩壊した一つの街。その街の上空で、巨大な爆発が起きた。

人類最強の敵を消滅させた光だった。



ゲートが魔力のある空間に繋がらなければ、一時撤退しかなかったかも知れない。あるいは、負けていたかも知れない…。


“力”で敵わずとも、“変化”や“異変”をベースに戦えば、もっとやりようもあっただろうが、多分、私もまた、冷静では無かったのだろう。


はぁ。私もまだ、修行が足りんらしい。


――――――――――


 後日。政府発表では、あの男の出身国に「遺憾の意」を伝えたそうだが、相手国は、「見知らぬ若者が勝手にやったこと」と知らんぷりを決め込んだらしい。


だが、あの男一人でもう、国を破壊しに来たようなものだ。

実質宣戦布告したようなものだ。


つまり、もう、異界戦力の様子を見る時期は過ぎたのだろう。

…我々、異界の住人が、軍事力にカウントされ、本当に邪魔になって来たのだろう…。


ま、こちとらも猫なもので、法に捉われず好き勝手をしようか。


街の復興は国に任せる。その代わり、別なことを1つしておこう。



―――某国。


 政府の中枢に、一羽のカラスが現れたという。

そのカラスは、最高指導者や重鎮たちに、容赦なく呪いをかけた。

次に敵対行為をした時に、誰かに敵対指示を出した時に、その者たちは金魚になるらしい。

尚、その喋るカラスに銃を撃ったSP及び、ボディーガードの冒険者は全員、すでに金魚になっている。


ちなみに、その国には多数の怖ろしいミサイルがあるが、カラスによれば、もしミサイルを撃った場合、全弾、発射した場所へ落ちてくるようにしたらしい。


事実かハッタリかは、<その時>が来るまで判らないが…。



ヤレヤレ。ついに、国の争いに巻き込まれてしまったな…。

これじゃあ、いっそのこと自分の国でも再び建てようか?


…これでも、300年前は一国の王だったんだ。

<魔道国ツァルト>という、小さくとも豊かな国だった。




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