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魔法使い、猫くん  作者: なぎさん
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第34話 「猫くんへの挑戦者」

<異界>の存在が明らかになり始めた世界で、変革が起き始める。その矢先、他国の<冒険者>から猫くんへの挑戦が。

ローファンタジーです。TRPG・RPG・リプレイ等お好きな方ぜひ。


第34話「猫くんへの挑戦者」



世界は変わり始めた。


大多数の政府が認めた<異界>案件のせいで、闇から支えてきた我々の活動は表にさらされた。


各国が、異界からの僅かな冒険者達を競ってかき集めている。

異界の生物たちを解剖し、研究し、恐らくクローンまで利用しようとしているだろう。愚かな連中だ。実に。すぐに国の利権に繋げるのだな。そのうち、破滅的なことを起こすだろう。


その愚かな行動の裏付けになっているのは、軍隊による魔物の討伐にかなり成功していること。

それはそうだろう、鉄の刃で切り倒せるゴブリンだのオークだのを銃で撃つのであれば狩りをするようなものだ。実際、私が直接介入する件は減った。


だが、奴らはレイスを倒せないし、ガーゴイルを倒せないし、ましてミスリルゴーレムには戦車でも勝てはしない。何故、我々冒険者たちが<魔法の武器>を持つのか。元々魔力に乏しいこの世界で、軍事力を過信するのは間違いだ。


 更に、人々の意識も変わり始めた。異界の魔物が存在するという事実は相当な恐怖を与えた事だろうが、軍の武器が通じることや、時には刀剣で対応も可能なこと、我々異界の「冒険者」が手を貸していること等の<救い>が、パニックまでは引き起こさなかった。


ついでに言えば、一度出現すれば手に負えない魔物も、歪が生まれること自体レアなのだから、多くの人々にとっては変わらぬ日常ともいえる。今、紛争を行っている国々、地域の方が遥かに被害者が多い…。何という矛盾だろう。皮肉だろう。


我々を見る目も様々だ。異界から来た我々は、この世界の人間たちにとっては超人。低レベルのモンクでも、この世界の格闘技で優勝できるだろう…。


そんな我々を、崇めるものも居れば、疎ましく思う者もいる。アンチってやつか。否定するつもりはない。絶えず凶器を携帯している者が隣に住み始めたようなもの。怖れて当然。中には極悪な冒険者も居るのだから。まぁ、極悪な人間が居るのはこっちも同じか。


 異界のゲートは相変わらずどこかで開き続けている…。

もう、私が引き起こした次元断裂は収まってきておかしくないはずだ。

黒煙の魔神が呼んでいるのならばわかる…。だが、オークやコボルドごときが運んでくるだろうか…。無いとまでは言えないが、「ズレ」を感じる。違和感がある。もし、違うのならば…。


それは…。


――――――――――


 最近、動画で一躍有名になっている集団がある。

某国を拠点に組んだ「冒険者」で「ブルー・ブルーザーズ」と名乗る一団。

ハーフエルフの大男(珍しい)を筆頭にした数名の冒険者に加え、ライフルや刀剣を持った「人間たち」が加わっている。尚、この国で銃は合法だ。


「俺たちは英雄だ。人を超えた存在だ。魔物は俺たちがいつでも八つ裂きにしてやる。支払い方法も選んでくれ。金、デジタルマネー、宝石、女、どれでもいい。力のあるやつなら部下も募集中だ。俺たちと共に英雄になるか?どうだ。俺たちは、ブルー・ブルーザー。オレと共に英雄になる奴を待っている。連絡先は*****―*****……」


これが毎回の<活躍動画>のキメ台詞だ。


はぁ。下らん。動画の配信も収益だからな。こうったゲスな輩が金を儲けるのは気に入らんが。我々の邪魔をしない限りは放置だ。こいつらじゃぁ、どっかの組織からの汚い依頼でも引き受けそうだが…。そこまでバカなら何時か、潰そう。


――――――――――


 で、暫く放置していた矢先。


「今回は、ちょっとしたイベントを思いついた。結構前から、生意気にも猫がマモノ退治をして偉そうにしている国があるそうじゃないか。猫だぜ、猫!ミャオ!」

メンバーの嘲りが聞こえる。中の数名が意外と仏頂面をしていたのが少し気になった。どうやら一枚岩でも無いようだな。


「猫、オレと勝負しようぜ、オレがこの世界で最も強いことを証明してやる。使い魔の猫だって?使い魔に頑張らせる国も大変だな。俺たちが国境を越えて請け負ってやってもいい。派遣代は付けてくれよ。」


再び起きる嘲り。


「魔法使いとか名乗ってるらしいな。だが、言っておく。このオレに魔法は通用、しなーい。オレは、魔法を受けず相手を切り刻むことのできる最強の剣士。怖かったら、最初からギブアップしてくれ。その方が動物愛護団体に責められずに済む。返信を待つぜ。ミャウ!」


 「…ちょっと、これ何!!猫くんをバカにして!!ゆ、許せない!何この映画に出てきそうなバカ!?猫くん、懲らしめちゃえば!?負けるわけないじゃない!!」


芽唯流が激怒している。最近は少しお腹が目立つようになってきた芽唯流が。


「気にするな。怒るとお腹の子が動揺するだろう…いつもみたいに可愛く笑ってくれ、芽唯流」

「…もう。ズルいんだから…。きっとうちのメンバーも怒ってると思うけどな…。」

「まぁ、返信は何らかの形でしておこう。冒険者同士が戦うとどうなるか、無駄に人々に期待させるわけには行かないからな。」

「うまくやってね。」

「私が失敗したことがあるか?」


芽唯流は、一瞬考え。

「うん、ある。」と言って、クスクス笑い出した。


―――――――――


 …某TV局、スタジオ。


私の動画はあくまでも猫ダンス…別人(別猫)を通している。芽唯流に情報が繋がっては困る。

情報開示がどうであれ、SNSを登録するのも危険だ。仲間の顔も出したくない。


まぁ、そういうわけで、スタジオ生出演、猫神登場だ。緊張? す、するわけ無いだろう。


午後6:00。面倒なことにならないよう、全キー局同時配信。公平が重要だ。


…視聴率凄いとか余計なことを言うな、アシスタントの美女よ。


「今日は、何と、国が認めた異界対策の専門家である、あの猫神様に来てもらっております!」


拍手が湧く。拍手に相応しい講演をするわけではない。すまんね。


私はゲスト用の椅子にちょこんと座っている。どのカメラに映っているのだろう。


「失礼ですが、あなたが、猫神様で間違いないですね?」


TVで見た事のある有名な女優が進行役をしている。それなりにご年配の方だが、TVのやり取りでは中々の人格者とお見受けする。後で芽唯流の為にサインを貰おう。


「そうだ。私が猫神だ。ただし、そう勝手に誰かが呼び始めただけだ。神ではない。」


ああ、本当に喋った。本物だ。本物だ!スタジオがざわつく。


「本日は国民の皆さんにお伝えされることが在るという事で、ここに来ていただいたわけです。私的な感想で申し訳ないですが、珍しいお美しい毛並み。可愛らしい方でいらっしゃいます。」


「それはどうも。貴方の様に聞き上手な方には申し訳ないが、用件だけいくつか皆さんにお伝えし、帰ることにさせて頂く。ご無礼お許しいただきたい。」


「いえ、ご心配なく。お話を横で聞かせて頂けるだけで、代えがたい経験ですよわたくし。」


ふむ、本当に上手だな、この女性は。私の分のサインも頂きたい。かな。


こほん。


「まず、最初から無礼を承知で皆さんにお伝えする。私は国の依頼を受けているが、部下ではない。我が主は一人。」


「次に、国家の争いには一切関わらない。ただし、私や家族の命を狙った場合は、その組織は亡ぼす。」


スタジオに動揺が走る。言葉の過激さに。


「私は、悪は嫌いだが、善人ではない。進んで暴力を振るわないが、身を守る為ならためらわない。だから、神などとつける必要はない。緑猫、とでも呼んでくれ。」


「…私と同じ、異界からの迷い人たちへ。道を誤るな。力をむやみに振るうな。この世界の人々と共存を願うなら、私の元へ来い。ただし、悪人はお断りする。」


「最後に、一部の冒険者へ。私に挑戦状を叩きつけるような無駄なことはするな。お前が悪でない限りは戦わない。逃げと呼ぶならそれでも良し。これは世界の方々に知ってほしいことだが、冒険者同士の戦いは、試合にはならない。殺し合いだ。ただの殺し合いだ。何故なら…」


私は隣の女性を見て、尋ねた。

「目の前のテーブル、壊してしまうが許してくれるだろうか。弁償はする。」

女性は周囲を見渡して、頷き。

「わ、わかりました、どうぞ。」


私はテーブルにひょいと飛びのり、呪文を唱える。

「 <di…g….on> 」分解の呪文。


テーブルは、砂になり、灰になり、足元に広がる。

司会の女性が小さく悲鳴を上げた。立派だ。叫ばない。

スタジオのもの達の方が反応が大げさだ。


「では、帰らせて頂く。失礼する。」

「あ、ちょっとお待ちください。1つだけ、わたくし聞いてもよろしいかしら。」

ふむ。この女性の言葉は断りにくい。


「緑猫さん、貴方は、ご自分の欲の為に、その、驚異的な力を振るおうと思ったことはありますか。貴方は、どんな悪い事でも出来るのでは…?」


「…そうだ、出来る。だが私は…。私は、幼き日に暴力によって家族を失った。だから、暴力で命を削る者を許さない。平穏を踏みにじるものが居るならば、その力は封じさせてもらう。そうだな、虫か石にでも変えてしまおうか。」


「…緑猫さん、ありがとう御座いました。貴方はわざと怖ろしい言葉を使っている様にお見受けしましたが…それでもわたくし、貴方が本当は心の優しい人だと感じますよ。」


彼女は深く頭を下げた。

私も頭を下げる。


「では。」

私はテレポートで消えた。


――――――――――


 その後の反響の大きさは言うまでもないし、件の連中の動画ではえらく罵っていたらしいが、見てないので気にもならん。


 …さて、本日、我々は出動中だ。


ファイアジャイアント。炎の巨人。体長7mほど、炎の呪文は効果なし。

巨人族の中でも気性が荒く、人を食う。半分魔法的に生まれた存在であると言われている。


市街地近くに生まれた巨大な歪から現れたという。その数、12体。

当初、機動部隊が銃器で対応。突破され。戦車が出動。3体倒したとのこと。

善戦もそこまで、踏みつぶされ、ひっくり返され、餌食になった。


 そこで緑猫の旅団出動となった。ちなみに、例のTV出演を機会に、我々は(私を除き)仮面を着けて戦う事にした。バイク用のヘルメットを参考に、私がドラゴンの皮から錬金したものだ。バイザーは視界を妨げず、紙のように軽く、火を防ぐ。ドラゴンの皮だからな。

多少無骨だが格好悪くは無かろう。近接戦闘組には同じ素材で皮鎧も作った。仲間にドワーフが居ないことが本当に残念だ。私の力だけでは、彼らドワーフの洗練された錬金技術にはとても及ばない。性能だけは保証するが。


今回、芽唯流と瑠香は私の目とパソコンを通じてレーダーのようにナビゲーター役に徹する。



 ビルの中を高速で移動しながらファボルが魔弓を撃ち、リュカとユーバルスは飛行呪で飛び回りながら巨人の頭部を狙う。ダリアは私と組み、空から回復の魔法を。私は、空から氷の魔法を撃つ。


「火を扱う」モンスターか。コイツらなら、黒煙の魔神の欠片を持てただろうな…。

まだ足取りのつかめない、誰にも言っていない忍び寄る脅威。時間はあるはずだが…。


ファボルの弓が一体の目をつぶす。その隙を逃さず、魔法の爪と剣が巨人の首を落とす。

私の魔法で3体が氷漬けになる。氷ごと切り裂き、4体。順調だ。


ビルの中を飛び回るファボルに目を付けた巨人が、腕を部屋に突っ込んだ。即座にリュカが腕を切りつける。巨人は炎を吐いてリュカを追った。一瞬焦ったが、鎧もバイザーも無事効果は発揮したらしい。リュカは私に向けOKのジェスチャーを送ってきた。


遠慮は無用だ。緑猫の旅団よ。炎が効かぬ以上、捕まらなければどうという事も無い。

5、6、7、8。あと1匹!



 ビルの曲がり角に居た最後の巨人が、突然の背後からの攻撃で倒れる。剣によるものだ。剣の衝撃波によるものだ。威力だけなら、ユーバルスより上だろう…。


「よう、緑猫の皆さん、ご機嫌だね、ミャオ!」

大型のジープに数名の男たちが乗っている。バイクも一台。


普通の人間と思われるベストを着た男は大型のカメラを抱えていた。

「生配信中だ。下手なこと言うと人気落ちるぜ?」


私のゴーグルから芽唯流の言葉が響く。

<猫くん、アイツら大型カメラと一緒に、もう一つ映してる。多分その大男の服に付いてるから気をつけて…>

<わかった。ありがとう。> 小声で返す。


「勝負、しようじゃねえかあ。大丈夫、死なない程度に手加減してやるぜ。賭けようぜ何か。どうだ、そっちが勝ったら10万ドルやるぜ。ほしいだろ?ん?オレが勝ったら、そうだな、そこの獣人のオンナ貰おうか。仮面してるが判るぜ、イイ女だろ。そいつを寄越せ。」


「断る。仲間を賭けることなどするか。女を寄越せなどと言う輩に…」

私ははるか昔に、そんなことを冗談でほざいた若造を思い出したが…。

「…輩を相手するほど暇ではない。」


「もう、遅えって。世界中期待してるぜ。勿論、一騎打ちだ。リーダーなんだろ?ミャウ。猫様に付き従う仲間が居るとは予想外だ。笑えるくらい驚きだ。」

男は我が団の仲間に向かい…


「よお、コイツが思ったより弱かったらウチに来ると良いぜ。特にそこの姉ちゃんは大歓迎だ。」


ハーフエルフの男が剣を抜いた。背中にはライフルのような物も背負っている。


ジープの中には、ローブを着た魔道士風の男。興味無さそうに、横を向く。そのローブには見覚えがある。多分、襟章があるはずだが…。


次は、ランスを持つ戦士。面白いことにバイクにセットしている。興味深い。馬ではなくバイクにランスか。だが、この男も面白くなさそうな顔をしている。


次はライフルのような銃を持つハーフナー。ファボルのように弓ではなく、銃。ほお。それも面白い。


もう一人の男。杖を持って居るが、恐らく精霊術使。あとはカメラを抱えた男。


ハーフエルフの男は、更に私に歩み寄って来た。

「映りはいいかい?ブラザー!?」

ジープからOK!の声が飛ぶ。


「よし、サシで勝負だ。行くぜ!逃げんなよ!来いや!」


<何よ!ほんとにもう!身勝手な男!猫くん絶対懲らしめちゃって!!>

<リュカに目を付けるたぁゆるせねぇ。頼むよメイフィールドさん!無理やり連れて行きかねないよアイツ!>


女性陣の頼もしい応援だ。あぁ、仕方ない。相手をするか。


「殺し合いになると警告したはずだが。」

「知らねえ、行くぜ!」


男の大剣が怪しく光った。まだ距離はあるが恐らく…。


「おらぁ!」大剣から空気を切り裂いて、光の衝撃が飛んでくる。思った通り衝撃の魔剣。

予想していた私は、背中の翼で飛び上がり、かわす。


「一発だと思うな!おら!」

男は連続で大剣を振り回す。5発の三日月のような光が向かってきた。

せっかくなので、<障壁>は使わず、避けてやった。威力はありそうだが、荒い。無駄に荒い。


「てめえ、ちょこまかと逃げるばっかりかぁ!?」


ハーフエルフは、背中の銃を左手に持った。

私に銃が効くとでも思うのだろうか…。ショットガンに見えるが…。

! いや、そうではない。

知らぬはずがない。普段から張っているパッシブのフィールドは、魔術師なら大抵使っているシロモノだ。だとすれば、その銃には!


「死ねや、猫!ミャウ!」


<レンジ・ウェポン・シーリング>


銃弾が、全て私の手前で力なく落ちる。ショットガン散弾の全てが。

遠距離武器をすべて無効にする呪文。新しくこれもパッシブにしておこうか。


私は、地上に降り、逆に近づいて行った。

「お前たちは現代の武器を中々面白く使いこなしている。その一点だけ褒めてやる。魔力を付呪した銃か。考えたことはあったが…面白い。」


「そうかい? 近づいてくれてありがとよ!」

ハーフエルフが走り寄って来た。直接切るつもりなのだろう。何が殺しはしねえ、だ。

<崩落、崩落、呪文跳躍・腐蝕、障壁>

最近は日本語の方が早く呪文を使える場合が多い。言葉が短いのが助かる。


ハーフエルフは、足元に突然開いた半径10mの穴に落ちて行った。半径10mだ。避けられるわけもない。2段階掘った。6m近く落ちるな。まぁ生きているだろう。


「アンチマジックがどうした。こうして、周囲を利用した戦い方など山ほどある。教えてやる。アンチマジックが張られようと、次元を超える呪文は通じる。呪文で恒久創造された物質も防げない!覚えておけ!私の<魔術の塔>配下なら全員知っている程度の話だ!」


私は障壁で「蓋をした」穴の上空から覗き込んだ。無様に穴底で藻掻いている。


「悪いが、オマエの持っていた金属は全て錆び落ちたはず。アンチマジックの指輪はもう無くなったかな? ゆっくり、仲間に引き上げてもらえ。じゃぁな。ブルーザー。正しく働いている間は見逃してやる。逆恨みは辞めてもらおう。次は石にするぞ。」



立ち去ろうとした私の後ろに、二人の男が走り寄って来た。敵意は感じられない。

ローブの魔術師がフードを取り、私に跪く。

ランスの戦士も同じく。


「魔術の塔…出身、緑のソーサラー、ベルランド。貴方様はもしや、アークマスター様ではありませぬか? その甚大な魔力、一度だけお会いしたことが在ります。」

「同じく、故郷を魔道国ツァルトに置くもの、騎士オックス・ベルナ。御貴族様とお見受けしました。同郷のよしみ、私も導いていただきたい。」


嘘ではないようだ。勿論、判る。

「穴の男にちゃんと別れを告げてこい。我が団に加わるならば、欲望の香りのするものは全て投げ捨ててから付いて来るがいい。」


二人は、障壁の消えた穴から精霊術使に助けられたハーフエルフに向かい。

「ブルティモ。俺たちはアンタの俗物的なやり方にはもうついて行けん。貰ったもんは全て返す。」

魔術師はハーフエルフの前で宝石を、札束を。戦士はランス、現金とバイクを男の前に置いた。


「少しの間、仲間で居たことにだけ礼を言う。さらばだ。お前達の元にはもう戻らん。」

「ち、行けよ腰抜けども!こっちから願い下げだ!後悔すんじゃねえぞ!」


ブルー・ブルーザーズの生配信は彼らにとっては最悪の結果で終わったかも知れないが、知ったことではない。


<猫くん、かっこい~!> <流石だね、メイフィールドさん!>

女性陣のねぎらいの言葉に少し気が楽になる。


「さぁ、帰ろう。」

私は魔方陣を引いた。

「歓迎会もだろ?」宴好きのファボル。

「それはいいな。話そうぜ。」酒好きのユーバルス。

「オイ、酒の席にはあたし等みたいなイイ女も必要だろうが。な?」リュカの肩を抱き寄せてダリアが笑う。相変わらずだ。


こうして、緑猫の旅団には新たに2名の冒険者が加わることになった。

配信で圧倒的な勝利を見せつけたので、否応なく我々の評価は上がった。


もうそろそろ、あの酒場では狭いだろう。勿論、準備はしてある。

新しい世界で、私は仲間が生きられる場所をつくる。共に作る。



だが、名が広まれば、別な敵も現れるかも知れないな。


人か。魔物か。異界の者か。または<権力>という化け物だろう。


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