第14話 「猫くんの居ない女子会」
転移モノ、ローファンタジーです。
人目を忍び猫の姿で異界を彷徨っていた魔術師と、彼を猫と勘違いし拾った女子大生の物語。
(今回は、事件は起こらないです)猫くんが色々頑張っている間、芽唯流の家では女子3人。
第14話です。お気楽回。TRPG、RPG好きな方、お時間のある方、お暇つぶしに。
第14話 「猫くんの居ない女子会」
今日は、瑠香が遊びに来ることになっている。
多少の情報交換も含め、色々相談も、瑠香にしか言えないこともあるしね。
そう、今日は猫くん留守。
わたしのために野暮用で奮闘中、のはず。サボってなければ。
―――ぴんぽーん。あぁ、来たな?
「はい、702号室です。」
防犯上、最初に名乗ってはいけない。らしい。
「あのさぁ、リュカ、って名前のしゃべる猫、知ってる? 一緒に入れろって言ってんだけどさぁ」
「あ~~~、うーん、いいよ。」
前に、猫くんにキスした猫娘。
うん、この際、伝えておこう。うん。
わたしは開錠キーを押す。うん、覚悟がいるなぁ…。
「いらっしゃーい」
「あがるよ~。はい、リュカちゃん、降りて。名前があたしに似てて言いにくいなぁ。リュカちゃん。あたし、瑠香ってんだよ。」
「いいじゃにゃいか、仲間仲間」
茶トラはそう言ったかと思うと、人の姿になった。…人じゃないけど。
相変わらずのセクシー美女ぶり。なんか悔しい。
でもこんな、にゃあにゃあ言葉だったっけ。アニメ的な?
しかも今、瑠香の言葉に返したよね。言葉通じてるよね!
ま~冷静に考えれば、話せるように”できる”ひとは一人だけだ。
「え、え?なにこの人も魔術師!?猫耳で尻尾つきで露出度強で!?」
瑠香は別な方で驚いてるけど、まぁ無理はない。
「まぁとりあえず座ってよ、パーティー準備するからさ。クリスマスも近いことだし。」
わたしは家じゅうのお菓子をサイドテーブルに積んで、甘い紅茶を注ぐ。
リュカさんにはわたしのこと知っておいてほしいし…ぶっちゃけ諦めちゃってほしいし、だからと言って大喧嘩にもなりたくないし。どうせなら、3人仲良く出来たらな。
リュカさんを挟んで3人で横並び。まだ余裕。大型に変えたソファで良かった。
さて、まずはお菓子でくつろぐ雰囲気を醸し出して、それから猫くんのこと話そうかな。
…と思ってたら、
「この部屋、と言うかお前から、あのオトコの匂いがプンプンするみゃ?」
「え、あ?う?」
「ちぇーっ、遅かったか~。てかあの頃からお前のオトコだったんだろうけど。」
じろ。っとわたしを見る。「取っちゃうかにゃー」
「だめです。」
「冗談だよう。」
…少し、ホっ…
「…別れたら貰うかにゃ…」
「……………絶対別れないからあきらめて。」
瑠香が割って入る。
「はい、ストーップ!そこまで!紅茶がまずくなる!」
「怒るな怒るな。美人が台無しだみゃ~。」
リュカさんが紅茶をすする。
「熱つ!あっっつ!!」
わたし達には普通なんだけどやはり猫舌らしい。
「口直しにこっちの貰うわ~お、甘!甘!いいにゃ~」
リュカさんは結構喋る子なんだなぁ。瑠香はかなり様子見してるけど。
「でもアンタ、良くあのオトコ選んだな~。あんな危険な奴を。魅力はあるよ。超格好いい、ってほどでもにゃいけど。危険な魅力ってヤツ?」
「え、メイフィールドさんって超イケメンじゃない?なんならアイドルの域だと思うけど?」
いいね瑠香。もっと言って。
「あー、ちょっとわかった。アタシらの世界ではさぁ、やっぱ背が高く筋骨隆々で尚且つ顔が甘いのが理想形にゃんよ。ちょっとアンタらとは違うんだにゃきっと」
「はあ、なるほど。猫くんは美少年系だから、そっちのモテパターンには外れるんだ…。」
「でも、女の魅力は似たようなもんにゃ。多分。アタシもモテるし。アンタら2人もモテるだろ。な?」
少々返事に困って瑠香と顔を見合わせる。
「メイフィールドは美人さんを選んだかぁ。この間見た奥さんとは別タイプだにゃ、かなり。」
「え?」
「え?」
「え?奥さん…?え?そんなはず…だってわたし、猫くんと結婚の約束…え…」
ぼろぼろ涙がこぼれてきた。嘘だ…嘘…嘘
わー!!
何も考えられなくなって、わたしは泣き出してしまった。
「ま、待て、違う!間違ってないけど違う!お前が思ってんのとは違うにゃ!!メイフィールドの、昔の奥さんだにゃ!とっくに亡くなってる!!200年以上前に亡くなってるにゃ!!」
「に、200年前の奥さん…?」
「…焦った…あたし修羅場見る為に芽唯流ん家来たんじゃないのにって思ったよ今。」
「いや、もう、ホラ涙吹くにゃ。泣き顔すっげえ色っぽいにゃオマエ。」
今褒められても嬉しくないけど。リュカさんは結構気をつかう子みたいだ。
「落ち着くニャ。オマエを裏切ってるわけじゃにゃいだろ~。」
しかし、毒食らわば皿まで。
わたしはもう少しだけ、その奥さんについて聞いてみようと勇気を出す。
「ねぇ、その奥さんってどんな人?大体、どうしてリュカさんが知ってるの?」
「アンタらは知らないだろうけど、暫く前に、人の心を読んで変身する、おっかねえ魔物を退治したにゃ。スライム系の。その時に、スライムはメイフィールドの奥さんに化けて近づいてきたわけ。」
「あの、まるで周囲に一切心を許さないようなオトコが不用意に近づいて行ってまぁ、危うく食われるとこを、救ったのがアタシにゃ~。」
「…どんな人?」
「う~ん。あ、言っとくけどアンタな方がず~っとキレイにゃ。でも可憐って言いうなら、あっちかにゃ~。永遠の少女、って感じの」
「フーン、ソーナンダァ?」
「…修羅場確定、か…。」
その後、話はここ数か月のリュカ(さん、は取ることになった)の話に移り、彼女の非常に女性としての危険に満ちたスリリング日々にわたし達は大いに驚いた。
というか、止めなきゃという義憤とも親心とも言えるような。
彼女の外見で当然の展開として、次々にオトコに声を掛けられ。
ひょいひょいとついて行った彼女。辞めろっての。
「だって飯奢ってくれる奴ばかりで…旨いのにゃ~。こっちの飯!」
そうじゃない。そこじゃない。
そのあと例外なく連れ込まれそうになり、または連れ込まれ。
「アタシを素手でどうこうできる男なんてこの世界に居ないみゃ。魔法でも使えりゃ別として。」
リュカは、両手からあの鋭い鉤爪を出す。
「わ、すご!ナニそれ!?」
あ、瑠香は初めて見たんだっけ。
「あ、言っとくけど殺してないよ?普通に腕力でアタシの方が強いにゃ。一回だけ、酒飲まされすぎて、まずい時あって、その時だけは猫になってトイレの窓から逃げたにゃ。」
「もー!気を付けなさいよ!!」
「こっちの世界の方が、命の危険は少ないけどオトコの危険は多いにゃあ?」
…そうなのか。
「ねぇ、芽唯流、リュカ。提案。」
「リュカ、猫の姿が基本で、の条件だけど。あたしの家に住まない?しばらく。」
「え、マジ?いいのかにゃ!?」
「…あんた、この世界のこと知らな過ぎて見てらんない。あたしが教える。あ。もう一つの条件としてボディーガードね。」
わたし達は笑って、二つの世界のことを交流しながらお菓子を食べまくった。夕飯入らないや。
「…で、獣人のオトコはさぁ、尻尾で嘘つけないから浮気もすぐバレるわけにゃよ!」
「それかえっていいじゃんねえ」
「でも大概、奥さんにはバレてるって聞くよ?バレてないって思ってるみたいだけど!」
私たちは、新たな友情の証に3人で写真を撮って、猫くんに送信した。
あは、楽しい!
…猫くんには帰ってから聞きたいことが山ほどあるけどね!!
お茶を入れなおして、TVを付ける。
「ねぇ、リュカはどんな番組好き?」
「あんま知らにゃいからな~」
チャンネルを変えている時、一際、「わたし達には」目を引く映像があった。
<こちらの映像が今、話題になっています。***国の発表によりますと、国境警備隊近くの村を襲った謎の集団により、数十人の死傷者が出た模様です。近隣の警備隊がすぐさま出動、該当の集団を全員射殺しました。ただでさえ怖ろしく痛ましい事件なのですが。問題はこの、謎の集団の姿です。映像では。まるでモンスターの着ぐるみを着ている様に見えます。一部のネットではゲーム等でよく登場するゴブリンというモンスターに似ていることから、ゴブリン襲撃事件と言われているようです。何故、この様な姿をして襲ったのか。または本当に人間外のUMAの事件なのか。当局は詳細を明らかにしておりません>
「…あれがどうニセモノに見えるんにゃ?」
「本物なんだね…?」
「ゴブリンよりでかい。ゴブリニオにゃ~。よく、普通の人間が勝てたにゃ?」
「強いの?」
「1対1なら。アタシが瞬殺。でもあいつら数で来るんだにゃ。武器の無い人間じゃまず無理。皮が硬いのなんの。ワニみてえな皮膚にゃ。」
「でも、銃なら通用するんだ…」冷静に瑠香が言う。
そうか、猫くんの言う通り、怖ろしい存在が牙を研いでいるかもしれない今だけど、わたし達には。向こうの世界には無い「科学」がある。
そうだ、そのことも今夜、猫くんに伝えよう。
猫くん、この世界は、魔法がない代わりに違う「力」が進歩しているんだよ。
ただ…なぜ外国にも異世界の生物が現れたのだろう?
専門家に聞いてみるしかないけど…。いや、後回しだけどね!
「ただいま、芽唯流。やっと、仮の<国籍>の手続きが始まった。面倒だが、これで…」
「猫くん……」
ワタシ、キイテナカッタンダケド…
昔ノ、オクサンの、ハナシ…
=== 皆様は、こちらの美しいお花畑の映像をご覧ください ===




