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魔法使い、猫くん  作者: なぎさん
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第13話 「猫神様の降臨」前編

転移モノ、ローファンタジーです。

人目を忍び猫の姿で異界を彷徨っていた魔術師と、彼を猫と勘違いし拾った女子大生の物語。


道の駅。多くの人が集うその上空、浮かび上がる魔方陣。猫くん不在の中、芽唯流と瑠香が走る。


第13話前編です。TRPG、RPG好きな方、お時間のある方、お暇つぶしに。

第13話 「猫神様の降臨」前編 



 ――「おい、この若者の言葉判るやつ連れてこい」


「**re**ki***ak***ui***en***ieo…nas***de


私は懸命に図解し、伝える努力をした。



「オイ、何語なんだこの人!?」


「この絵なんだ?頭から色々ゴミが飛んでるような絵だが?」


「頭が痛いのかな…?」


失礼な奴らだ。記憶が無いのだという意味の絵なのが判らないのか!



「あ、事故で記憶ないんじゃない!?」


1人だけようやく気が付いた、自分の画力というものに急速に自信がなくなるな!



名前だけは「レテネージ・メイフィールドって名乗ってるみたいだが…英語っぽい?」


ここだけは伝わったらしい。



「カウンセラーの先生に診てもらってからだなあ」


カウンセラー?ふむ、心理学の医師か? さて、だませるかどうか。



――カウンセラー、の相談室。


 どうやら、英語というもので私に話しかけているようだが。


私が本で知る限り、こっちの言語では<ルーン語>というものに私たちの言葉は近いように思っている。



ジェスチャー1、記憶がありません。

「うーん、頭が痒いのかな・・・」


違うだろう!


ジェスチャー2、この国に住みたい

「うーん、今日はここに泊まりたいみたいだな」


殴りたくなってきた。お前らの言葉は理解できるというのに。


ジェスチャー3、国籍が欲しい。

「おい、何か食い物持ってきてやってくれ」


お前本当にプロか!?


最後の手段だ。彼が後ろを向いた瞬間に、私は魔法をかけた。

テレパシーのさらに下、初級魔法のシンパシーというものだ。


「あぁ、そうか。どうやらこの方は記憶を失い、この国の国籍を求めているらしいぞ。」


…判ってくれて嬉しいよ。


「国際救助センターへ連れて行こう。そこで、指紋と写真をとって、あとは仮認定が出るかどうかだな。」


この世界は随分と面倒なシステムなのだな。権威あるものが責任を持ち、認めるだけで良かろうに。


あぁ、面倒だ!!


…判っていただけるだろうか。私は今、芽唯流の為にこの国の一員になるべく奮闘している。この大魔法使い様が、だ!


しかも!芽唯流にはこれが上手くいったら

「猫くん、免許もとってね!わたしを車に乗せてドライブ!」

とか、言っている。目に見えてアイツは図に乗っている! が、逆らえない!



これが惚れた弱みと言うものだ。若者よ。十分に気をつけろ。



―――大学にて。


 すっかりわたしと瑠香は仲良くなった。

わたし達はお揃いの猫ブローチを付け、共通の秘密を抱えている。

瑠香のブローチはフィルちゃん。わたしのブローチは、サミーちゃん。


猫くんは新たな使い魔を、わたしにも護衛に付けてくれた。


使い魔のブローチ、指輪に込められた5つの魔法。常時効果のある3つの魔法。使い魔が護衛に着いたことで、バフの魔法も変えたんだそうで。多分わたしは、相当厳重な警護体制の下にあるんだろうなぁ。



 今日、猫くんは朝から「公共機関」にお出かけしているので、お昼は瑠香と学食で食べる。


「…あ、久しぶりに来たら微妙に値上がりしてない?瑠香?」


「それより気が付いているかねキミ。視線と言うものを。」


わたしは自分のスカートを見てブラウスを見てカーディガンを見て、


「顔になんかついてる?」と瑠香に聞く。


「アンタの観察力は自分には発揮されないんだねえ…。鋭い方だと思ってたけど。」


「何だよう…」



「アンタのお相手がウワサになってる」


「いいよ、そんなの。」


「お…や、強気だねえ」


「だって…ふふっ」


「キモっ!」


「…聞きたい?ねぇ瑠香、聞きたい?」


「嫌だね!」


 …わたしの学業に変化はない。でも、決意はした。

わたしのやりたいことは、大きく変わってしまった。


あの人の力になるんだ。私も魔法を覚えるんだ。


以前、猫くんはこちらの言葉では<ルーン語>が一番近いって言ってた。

私は、それを学ぶ。2年生になったら、専科変更試験を受けて、英語教育学から西洋古文学に変更するんだ。それで少しでも、わたしは10年を縮めたい。


…浮かれたわたしは、未来しか見えてない。いいでしょ?恋してるもんの特権さ!



「ねえ、芽唯流。」

何。人の妄想の邪魔して何?


「あの雲さ、魔方陣ぽく見えない?」


瑠香が指さした冬空の先には、確かにいびつだけど、先日見た嫌でも忘れられない模様が。

いや、<そう、見えなくもない>黒雲が輪を描いていた。


――――――――――


 ―――わたし達は、比較的近くまで移動することに決めた、肉眼ではっきりわかる場所までは。タクシーで、2人で異動。


「あの変な雲を撮影したいんですよ~♪」


「ね~w」


運転手には酔狂な若者にしか見えなかったと思う。


「いやぁ、若者のユ〇チューバ〇とかいうのは、おじさんにはまるで分らんけど、頑張って!」


タクシーは、アイスクリームで有名な近隣の道の駅で止まった。冬なのに結構お客さんが来ている。中のお店が個性的で人気があるのを私も知っている。ここのパン大好き。


沢山の車。沢山の客。上に向けてスマホを撮影しているひとも沢山!


「すげ~、魔方陣っしょ!」


「撮って~あの魔方陣雲バックに!この召喚ポーズよくない?」


あの雲がただの杞憂に終わるならこの人たちもそれで良いんだけど。

わたしの胸のブローチ、サミーちゃんからテレパシーが伝わる。


「邪悪なもの…本物の魔方陣です。芽唯流さま。」


瑠香…。本物だって、あの雲!


「逃げましょう、芽唯流さま。今なら、お二人はテレポートで脱出できます。」


「芽唯流…逃げる?」


瑠香は震える声で言う。無理もない、あの怖さ、わたしも覚えている。


「でも!こんな沢山の人がいる中で、大人も、子どもも!放っておけないよ!」


「じゃぁ、け、警察呼ぼうよ!」


「何て呼べば…まだ何も出てきてないし!」


「猫ちゃんたち!ねぇ、あなた達でやっつけられる!?邪悪な何か!」


「そ、そうだね、メイフィールドさん軍隊より猫ちゃん強いって!言ってた!」


2匹の猫はそれぞれ問いに答える。


「出て来るまではわかりません。」


「単体なら恐らく。でも私達はあなた方を守ることを最優先に命じられています。」


猫くん…、助けて!


あ、猫くんに私の<スマホ2>渡してる!映像を!


…私は、猫くんのスマホに禍々しい黒雲の動画を送った。



――続く。


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