3.取引は人気のない路地裏で。
都合のいい話には気を付けようね、ってお話(*'▽')
ランキング頑張ってます。
あとがき、ご一読いただけますと幸いです!
「あの、カイスさん。……ルゥさんへの条件って、何なんですか?」
「そのことなんだけど、アリスも少しだけ手伝ってくれるか」
「え、手伝う……?」
ルゥと約束してから、俺は彼に渡す罠の準備に取り掛かった。
その際に少女が不思議そうに声をかけてきたので、今回は少しだけ手伝ってもらうことにしようと考える。そんな突然の申し出ではあったが、アリスは小首を傾げるだけだった。
拒否はされなかったので、ひとまず話は聞いてもらえるらしい。
そんなわけで、俺は用意した罠の説明を始めるのだった。
◆
「えっと、ボクに付き合わせてすみません。……アリスさん」
「え、ううん! 全然大丈夫だよ!」
そして後日、アリスとルゥの姿は街の中にある薄暗い路地裏にあった。
少年曰く、取引相手がこの場所を指定したらしい。それ自体がすでに不自然極まりないが、万が一という可能性もあった。ルゥの思いのためにも、ここは引き下がれない。
アリスはそう考えつつ、ふとカイスから与えられた罠について考えた。
「これで大丈夫、ですよね……?」
青年が彼女に手渡したのは、小さな一つの箱。
何やらスイッチのようなものがあり、相手が現れたら起動するように言われていた。いったい何なのかは教えられなかったため、アリスは首を傾げるしかない。
だが、カイスの作った罠に全幅の信頼を寄せる少女は信じることに決めた。
これがあれば、きっと大丈夫に違いない、と。
「お、約束通りに来たじゃねぇか」
そう考えていた時だ。
二人の前に、人相の悪い小物風の男が現れたのは。
ひょろっとした体型の取引相手は、ルゥの手にある金貨入り麻袋を見て舌なめずりをした。そして白々しい態度で、二人に向けてこう言うのだ。
「さぁ、代金をいただこうか。……そうすれば、ギルド長に口を利いてやるよ」
「あ、あの……!」
それに反応したのは、ルゥではなくアリスの方。
彼女は罠のスイッチを切り替えながら、男に向かってこう訊ねた。
「貴方は本当に、そんなことができるんですか!?」
「あ……? なんだ、嬢ちゃん」
「答えてください!」
すると相手は、あからさまに不機嫌になる。
しかし取引中という手前、舌を打ちながらこう言うのだった。
「……あぁ、勿論さ。オレ様はこう見えて、顔が広いんだぜ?」
「……………………」
「さぁ、分かったら金を寄越しな」
「え……あ、はい!」
そして、やや乱暴にルゥから麻袋を受け取る。
中身を確認してから、男はニヤリと口角を歪めた。その上で、
「たしかに。……でもこれで、お前は用済みだ」
「……え?」
「馬鹿じゃねぇの? お前みたいな屑が、冒険者になれるわけねぇだろ」
「そ、そんな……!」
そう、告げるのだ。
それは男が自身の目的を達成し、本性を見せた瞬間。
ルゥは息を呑んで、男にすがり付くが――。
「ばーか、汚い手で触れるんじゃねぇよ!」
「うわ……っ!?」
「ルゥさん!」
呆気なく、突き飛ばされてしまった。
アリスはそんな少年を助け起こし、相手の男を睨みつける。
「あ? 今度は、嬢ちゃんが相手か」
「…………!」
「あっはははは! こりゃ傑作だ、できるもんならやってみろよ!!」
「う、くぅ……!?」
しかし、大人と子供では力の差は歴然。
二人を嘲笑う男の姿に、アリスはただただ唇を噛むしかなかった。
そんな時だった。
「相手なら俺がしようか」
「…………あん?」
路地裏のさらに奥からそんな声が聞こえたのは。
男が振り返る。
すると、そこにあったのは――。
「悪いけど、その子たちは俺の大切な顧客でね」
黒髪に黒い瞳の特徴少ない青年、カイスの姿だった。
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