表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/6

2.少年の事情と、置かれた状況。

(*'▽')更新だぁ!

応援よろしくです!!









「……それで。ルゥは冒険者になりたいのに、どうしてここへ?」

「は、はい……」



 店仕舞いを済ませてから、俺はルゥと名乗った少年の話を聞くことにした。

 冒険者になりたいということだったが、それでどうして俺のもとを訪ねたのだろうか。普通であればギルドの受付に向かって、必要な書類に記入するだけのはず。どう考えても、彼の行動はチグハグになっていた。

 そんな感じに俺が首を傾げていると、ルゥはうつむいて話し始める。



「見ての通り、ボクは貧困街の出身なんです。それで――」

「うん」

「…………」


 俺は一つ頷いて、続きを促す。

 すると本当に、彼は心の底から困った様子で言うのだった。



「実はボクにはその、自分の籍というのがなくて……」――と。



 それは、想定外の事態だった。

 あまりのことに驚き、俺とアリスは互いに顔を見合わせる。



「籍が、ない……?」

「それってつまり、王都に住んでるのに証明ができない、ってことか」

「……はい、そうなんです」



 そして各々にそう訊くと、少年は申し訳なさそうに頷いた。

 俺はそこまで聞いてようやく、ルゥの抱えている問題を理解する。たしかに冒険者登録をするには最低限、王都に住んでいるという証明が必要だった。

 仮に貧困街出身であろうとも、さすがに籍がないということはあり得ないはず。

 だからもし、少年にそれがないのだとすれば――。



「えっと、ルゥさん。それって、どうして――」

「アリス。それは訊いたら駄目だ」

「――え?」

「………………」



 そこまで考えて、俺はアリスの問いかけを遮った。

 おそらく彼女は籍がない理由、その可能性に気付いていないらしい。俺もまさかと思っていたが、ルゥの反応を見る限り間違いはなかった。

 つまり、ルゥの両親は――。



「そう、か……」



 かつて罪人として裁かれた、ということ。

 このガリア王国では、大罪を犯した者の権利の多くが制限される。それにも程度があるのだが、子供の籍すら剥奪されているということは、かなりの重罪であったと思われた。


 馬鹿げた決まりだ、とも思う。

 だがしかし、不完全とはいえ制度は制度。

 ルゥに罪はなくとも、いまはそれに従うしかない。



「それなら改めて訊くけど、どうして俺の店に?」

「あ、はい……!」



 事情はあらかた理解できた。


 だが、本題はここから。

 俺が訊ねると、少年はうつむき加減の顔を上げて言った。



「実はまとまったお金があれば、冒険者登録できるって言われて……!」

「なんだ、それ……?」



 必死なルゥに対して、俺はひどく怪訝な声を発してしまう。

 だってそんな話、今まで一度も聞いたことがなかったのだから。金を払えば王国の制度を無視して、冒険者登録が可能になるなんてあり得るのか……?



「ちなみに、それは誰に言われたんだ?」

「え、えっとその……」

「言えない、か」



 あまりに不自然な話だったので訊ねると、ルゥは口ごもってしまった。

 どうやら、この話には何かしらの裏があるのだろう。

 俺はその可能性を考えて、正直悩んでいた。



「あ、あの! もう力になってくれそうなのは、ここだけなんです!」



 すると少年は、不安を隠せない声で叫ぶ。

 そして、こちらに深々と頭を下げて懇願するのだった。




「代金は必ず、頑張ってお支払いします! だから、お願いします!!」――と。




 俺は、そんな彼の姿を見て。

 しばしの間を置いてから、一つ覚悟を決めて答えた。



「分かった。だけど先に少し、俺の手伝いをしてほしいんだ」

「え、お手伝い……ですか?」




 それに対して、次に首を傾げたのはルゥとアリス。

 二人は顔を見合わせて、不思議そうな表情を浮かべるのだった。



 


面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!




もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより評価など。

創作の励みとなります!


応援よろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ