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2.明と暗。

ここまで導入(*'▽')

可能なら、あとがきもお読みください。







 ――一方その頃。




「くそ、どうして俺たちがこんな魔物に……!?」

「あり得ない、どうして!?」




 カイスがかつて所属していたパーティーは、危機に陥っていた。

 それもそのはず。今まで彼らがSランクの地位に立っていた理由の大半は、カイスの仕掛けていた罠によるところが大きいからだった。

 だが、周囲をマトモに見ようとしない彼らは知る由もない。



 そして何故、自分たちの力が通用しないのかを理解しないまま。

 ただただ無様に、敗走するしかないのだった……。




 





「あの、カイスさん!!」

「アリス? ……あぁ、どうだったかな。俺の作った罠は」



 営業初日を終えて、俺は店仕舞いを始めていた。

 アリスが大きく肩で息をしながら駆けてきたのは、そんな頃合い。いったいどうしたのかと思ったが、それよりも自身の作製した罠の効果が知りたかった。

 だから、そのように訊ねたのだが――。



「今日は本当にありがとうございましたっ!!」

「え?」



 何やら勢いよく頭を下げられて、思い切り困惑してしまった。

 そして、同時に差し出されたものに視線を落とすと、そこにあったのは……。



「な、なにこれ……?」

「ドラゴン討伐の魔素結晶で貰った報酬です!」

「……ドラゴン?」



 とても大きな麻袋に入った大量の金貨。

 具体的な枚数は不明だが、冒険者時代に得られる稼ぎを大幅に超えるものだった。――というか、アリスはいま『ドラゴン討伐』と口走らなかったか。

 もしそれが本当なら、少なくともAランク以上……いいや、単独討伐だとすればそれ以上の偉業に違いなかった。



「ア、アタシの力じゃないんです! カイスさんの罠が、とにかく凄くて!!」

「いやいや、それはないだろ……?」

「本当ですって!?」



 あまりのことに俺自身が信じられず否定すると、さらに重ねて否定される。

 そしてグイっと詰め寄られ、金貨の入った麻袋を押し付けられた。



「これは感謝の気持ちなので、受け取ってください!」

「いや、それはできないって!?」

「どうしてですか!!」



 アリスは何故か、少し怒ったように言う。

 どうやら新人冒険者らしさが出ているようだった。なので俺は、曲がりなりにも元先輩冒険者として簡単に解説する。



「えっと、な。ギルドからの報酬の使途には取り決めがあって、曖昧な受け渡しはできないんだよ。これは隷属防止制度って言うんだけど……」

「じゃあ、どうしろって言うんですか!!」

「なんでキレてるんだよ!?」



 しかし少女はプンプンと怒りながら、抗議を続けてきた。

 思わずツッコみを入れつつ、仕方なしに俺は考える。



「あー……そうだ。それなら、罠を買って行ってくれよ」

「え、お買い物ですか?」

「そうそう」



 そして提示した落としどころは、こんな感じ。



「俺の店の罠を使って、他の冒険者に宣伝してくれ。それだったら互いに得のある話だし、違反にはならないと思うんだ」――と。



 それというのも、要するに俺の作った罠の『広告塔』になる、ということ。

 彼女の言葉が本当なら、信じ難いが俺のそれはドラゴンを倒したらしい。だとすれば店としても、今後の営業を考えれば良い謳い文句になった。

 そんなわけで、俺が提案するとアリスは満面の笑みを浮かべる。

 そして、こう言うのだった。



「それくらいなら、お安い御用です!!」




 彼女の気持ちの良い返事に、俺は頷く。

 そうとなれば、問題は綺麗に解決されたはず。



 そうして、俺とアリスは簡単な契約を結ぶのだった。



 


面白かった

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