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【完結】少し遅れた異世界転移 ~死者蘇生された俺は災厄の魔女と共に生きていく~  作者: 赤木さなぎ
第五章 東の大陸の旅

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帝都、エレナとの再会① 猫耳

 帝都。

 西の大陸の王都に並ぶ、東の大陸で最も大きな国だ。

 西とは違い、この東の大陸では王ではなく皇帝が収めている。

 

 帝都は瓦屋根の建物に、赤やオレンジの暖色を基調とした街並み。

 すれ違う人々は俺たちと似たような黒や茶色の暗い髪色で、その中に何人か獣人が混じっている。

 フロウ村で出会ったジェイドの様に狼の獣人だけでなく、豚や猫の姿をした獣人なんかも居る。

 

 俺たちはその辺の店を冷かしつつ、帝都の街を散策していた。

 

「お、みてみて」

 

 そんな中で、俺はふらりと立ち寄った土産物屋に売られていた、ある物が気になった。

 そこには獣人成りきりキットの猫耳のカチューシャが売られていた。

 亜人族の多く暮らす東の大陸らしい商品だ。

 

 では西の大陸では何が土産になるのだろう、と思い返してみるが、地元の名産を意外と知らないのと同じ様に、ぱっと思い浮かばなかった。

 今だと西ではエレナの書いた『新訳・勇者アルの冒険』がブームだろうし、その小説か、もしかすると関連グッズなんて物が売られているかもしれない。

 作品のモデルとなった俺たちにもグッズの印税なんて入らないか、今度エレナに聞いてみよう。


「アルさん、遊びに来たんじゃないんですよ?」


 今日俺たちがこの帝都へ訪れた目的。

 それはあの黒い泥の事件にまつわる情報を集める為だ。

 

 あの黒い男からお礼として貰った首飾り、人魚擬きの吸血鬼が溜め込んでいた財宝の内の一つ、そして廃屋で見つけたカバンの中にも有った、紋章の刻まれた真紅の石についてだ。

 おそらく、あれは黒い泥について関連が有るはずだ。

 そして、この東の大陸でもっとも大きな国であるこの帝都ならば、それについて知っている者が居るかもしれない。


 勿論、謎のメッセージについても気にはなるのだが、この世界の人にスマートフォンを見せて聞いたところで不審者扱いされるのが関の山だ。

 それに、あのメッセージの差出人は“会えるのを楽しみにしている”と言っていた、つまりは先の未来で会う予定が有る、もしくは俺たちの道の先で待っているのだろう。

 それなら、焦る必要は無い。


「分かってるってば。まあまあ、そう言わずに着けてみてよ」


 色んな色のカチューシャが有ったが、俺はその中からエルの髪色とも合った黒い物を手に取って、勝手にエルの頭に着けてみる。


「むぅ……」

 

 僅かな抵抗を見せるエルだったが、渋々とそれを受け入れた。


「……どうですか?」


 頬を朱に染めながら、こちらを見上げる猫耳を付けたエル。

 

「うん、かわいい!」


 思っていた以上の破壊力が有った。

 ジト目でこちらを睨むエルを他所に、俺は即決。気に入ったのでそのまま購入した。

 

 勿論、本題も忘れてはいない。

 ついでに、店員さんに例の真紅の石が付いた首飾りを見せて、それについて何か知らないか尋ねてみた。


「これと同じ物を、見た事はないですか?」

 

「似たようなのを付けていた客を何度か見た事は有るが、それが何かまでは知らんよ」


 早速目撃者発見だ。

 やはり、帝都に来て正解だった。


「そのお客さんって、どんな人だったとか分かります?」


「そこまで覚えちゃいないよ、なんせ最後に見たのはもうずっと前の事だ」

 

「そうですか……。団体行動していたとか、独りだったとか」


「独り……だったかな、多分。もういいかい?」


 あまり質問責めにしていると、店員の人の顔色が怪しくなってきた。

 

「はい、お忙しい所すみません。ありがとうございました」


 俺は礼を言って、情報料のチップとして銀貨を一枚渡してから、店を出た。


 

 その後も、猫耳を付けたままのエルと一緒に、帝都で情報収集を続けてみた。

 途中でエルが気に入っていたフロウ村で貰ったナッツとドライフルーツのおやつと同じ物が売っているのをみつけたので、それを買って歩き食いしたりしながら、何だかんだで帝都観光も楽しんでいた。

 

 しかし、聞き込みをしても、やはり殆どの人は真紅の石なんて見た事が無いと言う。

 それでも僅かに聞けた、見た事が有るという人からの話の内容も、土産物屋で聞いた話と変わらなかった。

 

 やはり同じような物を身に着けている人を見た事は有るが、それが何なのかは知らないという。

 そして、数年前からそれを見る事は減って行き、今ではもうその真紅の石を見る事が無くなったという。

 

 時系列としては、大体あの神の世界侵略以降にその数を減らしている様だ。

 その時期が何ともきな臭い。


 神の世界侵略の一件より以前に、この東の大陸で流行った装飾品であり、その所有者は今のところ皆黒い泥に関わっていると思われる。

 やはり、この石を追って行けば答えに辿り着けるだろう。


 

 そうやって帝都の街並みを歩いていると、目の前に人集りが有った。

 そして、その中に見覚えの有る後ろ姿を見つけた。


「あれ? あれは……」


 隣のエルも、俺の視線の先に目を向ける。

 

 色素の薄い金のショートヘア。

 海の様な瑠璃色の瞳、しかし片目はやや濁りがかっている。

 そして長く尖った特徴的な形をした耳。

 

 東の大陸では珍しい、金髪のエルフ族の姿。

 


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