神の世界侵略① アルヴ再訪①
※時系列 第一章 → 旅の物語 → 宮廷魔導士編 → 神の世界侵略
俺たちは旧王都で、エルフの老人――宮廷魔導士と戦い、そして勝利した。
あの宮廷魔導士は俺の手によって葬られた。
そして、瘴気に包まれていた旧王都はその戦闘の副次的効果として、二〇〇年振りに解放されたのだった。
旧王都全体を焼き尽くした俺の魔法『ファイアウォール』に、その場にいた俺とエルも巻き込まれる形となった。
と言っても、エルに対しては俺の不完全な魔法程度ではダメージは与えられない。
結果として、エルは自身の『魔法障壁』だけでいともたやすく防ぎ切り、全くの無傷だった。
しかし、俺の方はそうも行かない。
自分で放った『不死殺し』を込めた『ファイアボール』で負った自傷ダメージが、まだ完全に癒え切っていない。
出来れば、このまま家でゆっくりとしていたいのだが、生憎そういう訳にもいかないのが現実だ。
何故なら、ゆっくり休む為の家が無い。
壊された森の家は、まだ全く再建の目途が立っていないのだ。
「これから、どうしましょうか」
「そうだなあ……」
俺たちは森の中の、家だった瓦礫の山の中で、途方に暮れていた。
旧王都での一件から数日。
どうにか二人で再建出来ないかと瓦礫の山と格闘していた。
しかし、俺たちは魔法が使えても建築技能なんて物は無い。
そして、この『迷い』の森の中に他の人間を招いて、再建を手伝ってもらう訳にも行かない。
なので、今は唯一無事と言える状態の、地下の書庫を仮拠点として生活していた。
しかし、やはり壊れた家を毎日見るのも気が滅入る物だ。
瓦礫の山の中で過ごすのも、あまりいい気分ではない。
今も瓦礫を端へ追いやって、突貫で修理した足の折れた机と椅子を森の中の地べたに広げて、二人で現実逃避的にお茶をしている状態だ。
しかし、現実逃避をしていても何も始まらない。
こんな風にずっと、瓦礫に囲まれて屋根の無い家と地下室での暮らしを続ける訳にも行かない。
「……引っ越すか」
「どこへ、です?」
元々、頭の端で考えていた事が有る。
「――アルヴに」
旅の中で一度訪れた、あの“本と創作の国アルヴ”だ。
エルフ族の住む、魔法の発展した、本と創作の国。
あそこなら、エルも住みやすいのではないだろうか。
この王都から近い森の中なんかよりも、ずっと生きやすい場所なのではないか。
と、そう思っていた。
「ああ、いいですね! わたしもあの国は大好きです」
「ね。――それに、エレナさんの事も気になるしね」
俺はそう言って、左目を指す。
エルもそのジェスチャーで、俺の言いたい事を理解した様だ。
「ああ。――そうですね。その件も気になりますし、彼女にもまた会いたいです」
結局、あの時は真実の左目の在処は分からないまま、俺たちはアルヴを後にした。
それが数年前の事だ。
その後、エレナも独自に調査を続けていた事だろう。
もしかすると、真実の目や『勇者アルの冒険』の何かしらについて、新たな手掛かりを掴んでいるかもしれない。
「よし。じゃあ、行くか!」
「はいっ!」
そんな適当な感じで、気軽に遠出をしてしまえるのも俺たちならではだろう。
『永遠』の時間を過ごし、卓越した魔法を使いこなす。
半ば人間を超越してしまった、俺たちならではの感覚、価値観だ。
俺たちは荷物をまとめて、必要な物をエルのローブの『空間』へ仕舞い、簡単な旅支度を整える。
そして、再びアルヴを目指して、魔女の森を発った。
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