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【完結】少し遅れた異世界転移 ~死者蘇生された俺は災厄の魔女と共に生きていく~  作者: 赤木さなぎ
第二章 旅の物語

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本と創作の国⑨

 結局、真実の左目の在処は分からなかった。

 エレナの中に有り未覚醒なのか、それとも別の誰かが継承しているのか。

 はたまた、既にこの世から失われたのか――。


「エル、残念だったね」


「何がです?」


「目、欲しかったんでしょ」


 『勇者アルの冒険』の史実の証明の為の作戦会議は頭打ちだ。

 しかし、実際に龍に出会えたエレナは“お爺様の汚名を晴らす”という目的を果たす為に、大きな前進をした訳で、表情は晴れやかだった。


 その貴重な体験で創作意欲を刺激されたらしく、エレナは執筆作業に戻るという事で書斎に籠ってしまった。


 そんな訳で、手持ち無沙汰に俺たちは今アルヴの街を観光している。


「あはは……。そういう風に見えました?」


「いや、全然。何となくそうかなって思っただけ」

 

 エルは頬を膨らませて、不服の意を示している。

 いちいちそんな可愛らしい反応をするから、ついからかいたくなるのだが。


「ごめんごめん。でも、いつか左目も見つかるといいね」


「きっと、見つかりますよ。――永い人生なんですから」


 永い人生――文字通り、俺たち二人の『永遠』の人生だ。

 いつの日か、もう片割れの左目も、俺たちの前にひょっこり顔を出すだろう。


 両方の真実の目を揃えた時に、エルがどんな真実を求めるのか、それは俺にも分からない。

 しかし、それはまた別の話だ。


 ここは本と創作の国。

 左を見ても右を見ても、様々なジャンルの本屋が展開されている。

 エルの好きな紙の本がここには沢山ある、しばらくは飽きずに本屋巡りに付き合う事になりそうだ。


 そして、ここは魔法の発展した国でもある。

 少しでもこの魔女様の――エルの隣に立つに相応しい男になる為に、俺もここで魔法の鍛錬をするのも良いだろう。


 でも今は、このアルヴでの、エルとのデートを楽しもうじゃないか。


 エルはフードを取り、アルヴに吹く風にその長い黒髪をなびかせている。

 白い肌、細くすらっと伸びた手足、尖ったエルフ耳。


 ――そして、両の目は紫紺色。

 今はまだ、真紅に輝く真実の目は鳴りを潜めていた。

ここまで旅のお話です。

時系列としては、ここから『宮廷魔導士① 森の家』へと繋がります。


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