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【完結】少し遅れた異世界転移 ~死者蘇生された俺は災厄の魔女と共に生きていく~  作者: 赤木さなぎ
第二章 旅の物語

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本と創作の国⑥

 エルは知っていた。

 龍が目の継承者を求めていた事を。


 エルは隠していた。

 あの峡谷で自分も龍に出会った事を。

 そして、自分が“真実の目”を龍から継承した事を。


 これはまだアルにすらも話していない、エルの秘密だ。


 龍に出会った事を隠していたのは、自分がアルの記憶を操作していた負い目と、峡谷で自分に権能の使用権が無かった事の言い知れぬ不安感からだ。


 自分は過去に龍に出会い、真実の目の権能を行使した事が有ったのか。

 それとも、災厄の魔女である自分には、元々その資格が無かったのか。

 理由は今でも分からない。


 しかし、エルが自分が真実の目の継承者となった事に気付いたのは、龍の峡谷を去った少し後の事だ。


 ある時突然右目が熱を帯び、頭の中に見た事のない記憶のビジョンが流れ込んで来た。

 そして悟った、これが真実の目の権能の力なのだと。


 自分はあの時――夢の世界で龍に出会った時に、真実を得られなかった。

 しかし、その代わりに真実の目そのものを継承していたのだ。


 龍にも寿命は有る。

 死んでしまえば、その真実の目の権能も共に失われてしまう。

 おそらく、あの龍は自分の寿命が尽きる前に、その権能を世界に残すために、継承者を探していたのだ。


 そして、エルはその真実の右目を継承した。

 しかし、龍では無いエルにはその真実の目の権能を自由に行使する事は出来ない。

 ビジョンを見る事が出来たのも、あの最初の一回切りだ。


 だが、どうすればこの権能を自由に行使出来るのか、何故かそれだけは感覚で理解していた。

 もしかすると、それはこの右目の“元に戻ろうとする意志”なのかもしれない。


 ――左と右、両方の真実の目を揃える事で、その権能は本来の力を取り戻す。

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