龍の峡谷⑦
そんなこんなで、日も落ち切り、先程までの朱は退いて行き、代わりに辺りは夜の月と星々の明かりで照らされていた。
俺たちはその岩山の上をキャンプ地として、休息を取った。
俺は『炎』の魔法で焚火を起こし、エルはローブの間の『空間』から、仕舞っていた鍋や皿、寝袋なんかの荷物を取り出した。
エルはそのまま慣れた手つきで軽めの夕食を作ってくれた。
「はい、どうぞ」
しばらくすると、なんだか見覚えの有る、というか食べ慣れた、毎度お馴染みのポトフが完成だ。
エルが皿によそってくれたそれを俺は「ん」と受け取り、その温かいスープを啜る。
不死の肉体を得た俺たちは、究極的には食事を必要としない。
食事と言う行為は最早身体というよりは、心の栄養補給なのだ。
という訳で、何だかんだ旅の道中、屋外で設備が揃っていなくても簡単に作れて、満足感を得られるという理由で相変わらずお馴染みの夕食メニューだ。
食事を終え片付けを終えると、二人はそれぞれ寝袋に包まった。
明日再びこの峡谷で龍探をする為に、明るくなるまでの間の休息だ。
「明日は、会えると良いね」
「そうですね……。ふわぁ……おやすみ、なさい……」
そのまま夜空に吸い込まれる様に。
俺たちはすぐに、微睡に身を任せた。
そして――、
「――真実の目を求める者よ。貴様の問いに、一つだけ答えよう」




