「リア充死ねっっ」て言っているめっちゃタイプな女子
多分6作目
隣を歩く神無木さんが可愛い顔を歪めるように睨んでる。
どうやら道の反対側に大学生ぐらいのカップルが楽しそうに歩いているのを見かけたようだ。
「なんなのあのカップル。いちいち見せつけるようにイチャつかないでほしいわ。あの二人に一生タンスの角に小指をぶつける呪いをかけようかしら」
そうやって吐き捨てるように呟く神無木さんは今日も可愛い。くりくりとした目に、すごくもっちりしている頬、滑らかな唇はとてもセクシーだ。身長が小さく、肌が色白でビスクドールのよう。
僕が見つめているのを気づいたのか、神無木さんが振り向く。
「何か私の顔についてる?」
「すごく可愛いよ」
おっと心の声が漏れた。失敬失敬。
「……突然どうしたのよ」
頬を赤らめながら聞いてくる。すごく可愛い。身長差があるから多少の上目遣いがいとおかし。
「いや、暴発」
「暴発?」
そうそう暴発。たまたま心に思っていた事が口に出ただけだから。
「まぁいいわ。どうせ、あのカップルに触発されて感情が昂っているだけでしょう。良い?あのリア充どもは自分たちの甘〜い行動を持って他の人に「わたしたちもイチャつきましょう」と誤認させるタチの悪い奴らなの。リア充が1組いたら100組いると覚悟しといて」
「そんなゴキブリみたいに言わなくても」
「そういう奴らなの」
「偏見だなぁ」
まぁ僕は神無木さんが変な思考に染まろうと好きだけど。うん。
「だけど僕は、いつも神無木さんと一緒にいて可愛いと思っているよ」
「………」
唖然とした顔でこちらを向いてくる。
「神無木さんの言っている、リア充が周りにいたらイチャつきたくなる気分は分かるけど、僕は日常的に神無木さんが可愛いと思っているよ」
「……突然どうしたのよ、いつもはそんなセリフ言わないでしょう」
「神無木さんが可愛いから」
りんごのように顔が真っ赤だ。ちょっと言いすぎたかな?なんでだろう、いつもは心の中に留めておくような事なのに今日は口から出てしまった。
これが神無木さんの言っていた事か!
「早く帰るわよ!」
神無木さんの歩く速度が上がる。僕と神無木さんの家は目と鼻の先にあるので、いつも一緒に帰っているけど、この調子じゃ一緒に帰ろうにも話が続かなそう。
「待って〜」
僕は顔がタコのように真っ赤な神無木さんを追ってく。
今日は、なんか変な調子だったから口からたくさん出てきたけど。もう少し自重せねばならぬ。いつか、告白する日まで自分の心の中に留めておこう。
続くかも知れません