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少ないですが、きりがいいので投稿させていただきました。
2人で写真を撮っている間に冬花のスマホには、Twitterからの通知が届いていた。撮影中は、集中し過ぎで気づいていなかったが、そこにはいくつかのハートとコメントがあったことを知らせる通知があった。
「やっぱり、結構来てるねー」
「うん?やっぱりって?だって私にいいねしてくれる人なんているはずないじゃん」
「うーん、まあそう思ってても無理ないか」
真奈美の言っている意味がわからず、首を傾げていると「コメント見なよ。見れば多分わかるから」と言われた。真奈美が見ればわかるというのだから、見るしかないだろう。
『ほんとに初心者さんなんですか?とても上手くて可愛いです!』
『凄い子見つけちゃった』
『フォロー失礼します!ファンになっちゃいました。これからの投稿も楽しみにしてます!」
など、
10近い数のコメントが来ていた。しかも全て冬花への称賛だ。フォロワーも、真奈美だけだったはずが、20人近い人々にフォローされていた。
「どー?どー?結構来てるんじゃない?おぉ、やっぱりね〜」
冬花の肩越しにスマホを覗き込んだ真奈美が、大きな声でこういった。冬花は、未だに状況が飲み込めず、固まってしまっている。
「え?待って、何で???」
「何でってそこに書かれてる通りじゃない」
そんなことを言われても困る。そんなことを話している間にもいいねが5つぐらい届いていた。
「だって、だって、私なんかが可愛いはずないもん」
「これ見てもまだそんなこと言ってるの?だから、いつも私が言ってるじゃない、冬花は可愛いって」
「………………………………………。」
純粋に嬉しいという気持ちと信じられないという気持ちで黙りこくっていると真奈美が呆れたように笑った。
「とりあえず返信したら?」
「え、でも、なんて返せばいいかわからない…」
「もう、しょうがないから私がやってあげる」
すっと冬花の手からスマホを取り上げると、迷うことなく1人1人に感謝の言葉を並べた文章を打ち込んでいく。
「そんなこと言ったらナルシストみたいじゃない?なんか言われたりしない?」
「そんなことないって、皆んな冬花から返信してもらえたと思って喜んでると思うよ。ちょうど、ほら」
差し出されたスマホの画面を覗くと、冬花(正しくは真奈美)が返したコメントと、コメントが返ってきた喜びが絵文字で表された文章が目に飛び込んできた。
「何だかよく分からないけど、嬉しい?」
「なら、良かった」
まだ、今起こったすべての出来事を完全に理解できていない冬花は、気がつけばそんなことを口にしていた。
冬花は、Twitterに慣れるには、まだまだ時間が掛かりそうだなと思った。