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ヘンダーソンスケール 2.0 Ver1.5

 「……あれ? これどっちのだ?」


 夫婦の趣味が似ている場合、往々にして私物が混ざる事態が頻発する。


 自らの領地に建つ居館、その執務室にて常の如く怠惰な妻の代わりに――死んでまで働くとは、我ながら律儀だとは本人の便――領内業務を片付けていたスタール伯こと元ケーニヒスシュトゥールのエーリヒは、用箋挟みの間から零れ落ちた栞を手にして首を傾げた。


 収集家にして書痴にとって紙媒体以外に書籍が存在しない時代において、本そのものと同じくらいに欠かせない道具と言えば栞であろう。


 製紙技術と製本技術が発展しているライン三重帝国においては、近年の本は巨大であっても専ら手に持てる大きさであるし、古い時代の書籍でも大抵は巻物から本に最装丁されているため、栞は貴族の優雅な道具の一つとして珍重されていた。


 たかが何処まで読んだか忘れないようにする道具と侮る勿れ。貴族はいつ普段の生活を覗き見られるか分からないため、そこら辺の紙を一枚挟んでおいたり、況してや本自体が高価極まるため頁の端っこを折っておく無精もできないのだ。


 それだけでお家が傾くとまではいかないが、ただでさえ口性のない連中に夜会で自分を馬鹿にする素材を提供したいはずもなし。


 故にスタール夫妻は社交界の礼儀に則って栞一枚にしても大枚を叩き、意匠と工夫を凝らしていた。


 「雪芍薬の透かし彫り。金地の薄金……もらい物の類いじゃないな」


 何処かから紛れ込んだ栞は、事実として非常に贅沢な品であった。薄氷よりも薄い延べ金を刳り抜いて、冬に咲く可憐な芍薬が彫り込まれているそれは、素材が金無垢であることを抜きにしても大変な値が付くものだ。


 何せ高度な魔導が施されているのだから。


 「術式の匂い。曇り止め、失せ物探しの標、盗人避け……」


 洒落た黄金の栞には術式符と勘違いしそうになるほど濃密な魔法がかけられている。指の脂でくすまぬようにする基本的な手入れの魔法から、作り主が求めたら何処にあるかを知ることができる(ピン)まで、恐ろしく精緻でいっそ執念深いとさえ言える機能が付与されていた。


 「ああ、この癖はアレか」


 微かに向こう側の景色が透けて見える死霊の指が掲げるように見定めていた栞も、よくよく観察すれば何のことはない。


 スタール伯爵夫人こと――この称号を耳にする度、エーリヒは据わりの悪さを未だに感じる――アグリッピナの物だ。


 夫婦は洒脱を好むが華美すぎる物を厭う感性を共通して持っているため、見た目だけであれば長生きしていることもあり「何か作った気がする」ということが多い。


 栞に拘わらず、この現象は様々な物で起こる。特に筆入れや筆記具、煙草入れなど夫婦どちらも使う物で頻発しているため珍しくもない。


 基本的に彼等は自分達の個人的な空間に余人を入れたがらないので、管理が甘い物がポロポロ零れていく事態が間々あるのだ。


 まぁ、それがたまーに子供達の目に止まり、小遣いとして売り払われて一悶着起こったりすることもあるのだがご愛敬。


 「んー……まぁ、いいか」


 何だとばかりに栞を机上に放ったエーリヒなれど、ややあって死して尚も抜けなかった首と肩を解す動きをやって、一つ届けてやるかと立ち上がる。


 別段、すぐ見つからなくて困る品ではなかろうが、仕事に区切りが付いた時だったので息抜きには丁度良い。


 さて、あの傲岸にして物臭な自称〝謙虚な良き妻〟が何処にいるかエーリヒは〈声送り〉の術式を飛ばそうとしてみるが、形作った術式は解けて形を結ばずに霧散した。


 どういう訳か送り先が魔導的に身を隠しているようだった。


 「はて、ここ暫くは夜会の誘いもないし、家の子達も問題を起こしていないから逃げ隠れする必要はないはずなんだが」


 妙だなと小首を傾げれど、別にいいかとエーリヒは小さな鈴を手に取った。普段は隣の部屋に控えている家宰を呼びつける物だ。


 良く弁えたスタール家に仕える八代目の家宰は――初代より愛顧された、夫妻のもう一つの腕と呼べる能吏だ――しかし、主の期待通りの答えを寄越してくれなかった。


 彼も長命種の行方を知らぬと言う。急な呼び出しであれば、余程でない限りまず彼を通して夫妻に伝わるため、外からの誘いという線はこれで潰れる。


 かといって、家宰に聞いて雲隠れした女主人の場所が分かるでもなし。


 何せ広い屋敷だ。それにアグリッピナは気分屋なところがあるため自室に引き籠もるだけではなく、庭や茶室、たまに何を思ったか地下の倉庫で本を読んでいることもあるため居所を常に把握するのは困難であった。


 「旦那様、人をやって探しを……」


 「ああ、いや、良い。どうせ気晴らしがしたかった。歩いて探すさ」


 畏まる配下を下がらせて、特に気負いなくエーリヒは執務室を出た。


 アレが今更どうこうされるなんて心配するのも阿呆らしい。むしろ、一度死んで甦った彼ですら、さてどうやって殺そうかと頭を一ひねりも二ひねりもせねばならぬ存在の無事を案ずることが何と不毛なことであろう。


 「ま、どうせライゼニッツ卿からの手紙が来たら鬱陶しいとかだろうさ」


 彼にとっては何とも嘆かわしいことだが、アグリッピナと連絡を取りたい人物にとって、最も手堅く安定した窓口がエーリヒである。伝書術式の宛先で第一にアグリッピナを指名し、捕まらなかったら第二受取人にしてしまうのは知られたことだ。


 なので誰かに呼びつけられるのを嫌い、魔導を遮断する部屋か結界でも張ってフラフラしているのだろうと当たりを付けてスタール伯爵の優雅な昼下がりの散歩が始まる。


 「母様? 見てないなぁー」


 最初に行き当たったのは南側の庭に面した温室だ。硝子張りの部屋は魔導院の個人工房と似ており、冬の寒さが近づいた中でも暖かく昼寝に最適な空気が満ちている。


 ここはアグリッピナお気に入りの読書場所の一つなのでいるかと思ったのだが、代わりに座っているのは夫妻の良い所だけを抽出したような姿をした長女であった。


 夢見がちな御姫様願望を持つくせして〝最強の戦闘魔導師〟などと剣呑な誉れ名を囁かれる矛盾した存在は、何かの骨片を組み立てている最中だった。


 数日前、庭に腐敗を加速させる術式をかけて埋めていた外国産の鳥の骨である。神代の絶滅した生物を探求する考古学に耽溺する長女は、時折こうやって遠い末裔で骨格標本を作って研究の参考にしているのだ。


 「今日は会ってすらいないよぉ」


 ホンワカとした空気を纏う緩く波打つ金髪も麗しい、如何にも母性的な女性の掌に白骨化した鳥類の頭骨と接着剤が握られてるのは違和感が凄まじいが、娘に合成甘味料(アドバンテーム)より甘い父親は何事もなかったかのように受け流す。


 それにまぁ、煮えたぎる重水素が結合と崩壊を繰り返して赤熱する魔法の剣を持っているよりかは、御姫様っぽさに毀損をもたらすまい。


 「そうかい、研究の邪魔をして悪かったね。それ、次の学会で使うのかい?」


 「うん。今年の夏にねぇー、大塩湖の辺りで見つかった化石がねぇ、獣脚型の竜なのに羽根が生えてたの!! だから、近傍の鳥と骨格を比べて、被毛を持つ竜の寓話が真実かを追究しようと……」


 嬉々として研究成果を誇る娘の語りに父は優しい表情で頷くばかり。政治暗闘に忙しく、その辺りに知識を深めていない彼には娘が言っていることの半分も理解できなかったが、ちゃんと学者先生らしいことを喋っているだけで成長を実感できて嬉しいのだろう。


 四半刻ばかり、楽しそうに考古学の講釈をする長女を微笑ましく見守って、エーリヒは温室を出た。ついでとばかりに、来年も研究旅行に行きたいと宣う娘に五〇〇〇ドラクマもの予算を小切手で切る親馬鹿を発揮して。


 では次はどうだろうと一度館に戻り、温室と並ぶ定位置の煙草部屋に向かえば、エーリヒは扉を透過して潜り抜けたことを一瞬後悔した。


 「……父様。なにか?」


 「あ、ああ……すまない、休憩中だったかい?」


 貴族が態々煙草の管理と喫煙を楽しむためだけに設える贅沢な部屋を一人で占有しているのは、影が二つ足で立っているかのような陰鬱とした美女であった。


 魔導院極夜派において小さな閥を形成している〝墨染め姫〟との異名を受ける次女君。彼女は何らかの大規模術法を伴う実験を行っていたのか、酷い魔力欠乏で顔色を悪くしながら、右手の窪みに嗅ぎ煙草の粉末を乗せている最中だったのだ。


 この物憂げで陰のある美貌によって貴族の二才衆をしこたま誑し込んでいる魔導師は、結界構築時に煙が術式に干渉することを嫌って嗅ぎ煙草を愛飲していた。


 しかし、本意では未だ拭いきれぬ確執から――突端は次女が密かに書き溜めていた詩を勝手にエーリヒが装丁したということだが――父が生涯愛した煙管を使わないようにしているなどといった、子供じみた理由が大半を占めることを知らないエーリヒはオタオタと視線を左右に彷徨わせるばかり。


 彼にとっても次女との別れは悔いが残る物であり、自分が一番悪いと理解しているからこそ、冥府より仕事のために叩き起こされても上手く接することができないのだ。


 思い返せば「家の子は天才だ!!」とのぼせ上がったスタール伯が、今も付き合いがある樹人の複製師(ファイゲ卿)に頼み込んで帝王学の大論もかくやの立派な装丁を施した詩集は、ヒト種でいえば丁度一四かそこらの年頃に編まれたものである。


 冷静になればバカ親、もとい親馬鹿の金髪も塩対応されても文句を言えぬと分かっている。どれだけ修辞学的に秀逸であったにしても、死とか孤独について熟々詠った、しかも中二くらいの精神年齢で綴った詩を物理的に保存されるのが如何に恥ずかしいか。


 仮に自分がされていたら、精神的羞恥のあまり切腹していてもおかしくない。


 この軽挙の一点において、エーリヒは次女に殺されても絶対に異議を唱えないことを決めている程度には反省しているのだった。


 「えーと、その、アグリッピナを探してるんだが……」


 「それ、スタール伯爵閣下が態々歩いて探すようなことですか?」


 臨終の席にすら訪れぬ対応に納得している死者と、どうしてあの時に素直になれず死後二〇年も経って漸く墓碑の前で泣いたのかと後悔を抱えている次女の関係は、下手にエーリヒが生前の魂のまま甦ってしまったこともあって凄まじい拗れ方をしていた。


 なまじっか両者とも寿命がない上、片方は生理的に物を忘れる機能を持たない種族であるがばっかりに、時という目の細かい鑢が溝を埋めてくれないのがもどかしい。


 「あー、栞が紛れていてね。何故か用箋挟みに」


 それを返そうと思って息抜きがてらブラブラとと宣う父の言に、次女は思い当たる節があったのか眉尻を小さく上げ、虚空を見つめた後にややあって巨大な溜息を吐いた。


 色を持っていれば濛々と広がって、絨毯全てを覆いそうな溜息は死霊になっても物を忘れることがある元定命への呆れ。


 若い砌に〝見たくもない物〟を見てしまったことがある次女は、応えることも馬鹿らしくなって、見た通りここにはいないと父を素気なく追い出した。


 子にとって両親の見たくない姿は幾つかあるが、最も嫌な物はなにか。


 「いい歳こいて何をしているんだか……」


 誰かから面と向かって痛罵されている場面より、一つだけ存在する。


 ともあれ、忘れたくても忘れられない生態に悩まされながら、次女は本来一嗅ぎでやめておいた方が良い、強力な鎮静作用と魔力賦活効果を持つ煙草をもう一つまみ吸引した。


 自棄酒ならぬ、自棄煙草でもしなければ椅子を蹴倒したくなったから……。


 また仲直りできなかったなとショモショモした表情で、死霊は次の思い当たる場所へ向かった。


 スタール伯爵夫人が有り余る財貨で作り上げた、お気に入りの本だけを集めた図書室だ。全ての本を愛する者が許されるなら実現したいであろう空間にアグリッピナが滞在している時間は長く、ともすれば自室よりも此方の方にいる期間の方が多いくらいだ。


 「おや、父上」


 「父様、何かお探しですか」


 が、またも空振りで、書庫にいたのは三女と長男の二人。二人は図書室なのに本も読まず、兵演棋の盤を挟んで相対していた。


 エーリヒが生涯で唯一親友と呼ぶシュポンハイム卿ことミカの熱烈な信奉者にして、父に負けぬくらい彼を愛するばかりに多くの縁談を〝物理的に破談にしてきた〟特大の問題児。魔導院では母に喧嘩を売るが如く対立派閥の黎明派に属し、造成魔導師として働いている〝凍った黄金〟などと揶揄される三女の手には、数枚の紙が握られていた。


 詰め兵演棋の棋譜だ。大方、何処かの茶会で話題になり、必要に応じて覚えようとしているといったところだろう。


 「アグリッピナをね。それより、詰め兵演棋かい?」


 「顧客が嫌に好きなのよ。これが解ければ新しく建てる公共劇場の設計を全部私の好きにしていいとか言い出したから、叩き潰してやろうとしてるとこ」


 「……一九八手の煙詰? また嫌らしい物を」


 「残り二枚も一五〇手越えの超大作ばかりだしね」


 造成魔導師は帝国インフラの担い手であると同時に建築家でもあるため、常に新しく目を惹く建物を寄贈し、そこに自分の名前を冠して悦に入る趣味を持つ貴族に引っ張り蛸の仕事だ。


 ただ、三女が今回捕まえてきた顧客は捻くれ者の兵演棋好きで、やたらめったら建築案の再提出を要求してくるため、遂にブチ切れた彼女は勝負の形で自分の初期構想を押し通そうとしたようである。


 その条件が三つの煙詰。予め盤上に全ての駒を配して行う最も遠大な詰め兵演棋を解けと要求するあたり、三女が選んだ顧客らしいと金の髪は呆れる。


 持ち駒を交互に配置していく通常の遊び方と違って、既に配置されている駒を使って詰みを模索する詰み兵演棋の中でも煙詰は恐ろしく手が込んでおり、最短でも七〇手以上と時間が掛かる上に難易度がえげつない。


 しかも、この問いにはキッチリ一九八手でしか詰みがないと予め提示されているのが難解さを増している。


 こんな物を三つも解こうとすれば、思考を並列化して演算できる長命種でも苦労する。少なくともエーリヒならば、一門当たり余暇の時間を全て使っても半年はかかる難問である。


 「〆切りは?」


 「来週の打ち合わせを兼ねた兵演棋会」


 「で、それのお手伝いに狩り出されたのかい」


 「古来より弟は姉に逆らえぬ物ですから……」


 未成年なれど魔導院研究員の位を預かる、今最もライゼニッツ卿の寵愛篤き直弟子の末弟は、やれやれと言いたげに駒をつまみ上げた。


 姉達が〝色々とアレ〟なせいで、早くもスタール伯の後継に目されている長男が姉から徴発されてしまったのは、至極簡単な理由。


 電算機(パソコン)と同じだ。処理中枢が一つ(ワンコアCPU)で挙動が重いなら、もう一個積んで二つ(デュアルコアCPU)でやれば早くなるという単純な構図である。


 「私もライゼニッツ卿からの課題で忙しいんですけどね……」


 誰に似たのか強引な姉の誘いを断り切れず、付き合い程度に嗜んでいるに過ぎない兵演棋の最高峰に挑まされている末息子の姿は、エーリヒの存在しない胃を捻り上げるに十分過ぎた。


 まるで昔日の自分だ。アグリッピナに引っ張り出され、夫ということにされた時期の自分とあまりに似ている。


 この子の人生はこれからまだまだ長いのに、それはもう苦労するだろうなぁと他人事のように心配しつつ、邪魔をしては悪いかとエーリヒは早々に書庫から退散した。


 さて、ここまで来ると心当たりは残り少ない。


 かといって館を虱潰しにしていては息抜きの時間を越える。今日中に決済してしまいたい領内から届いた上申書が残り一五件、返信しておかねばならぬ手紙も四〇通以上あるのだ。


 なら、急ぎではないのだし、諦めるかとスタール伯は近くにある自分の部屋に足を向けた。執務室に栞を置いて、また書類の山に紛れてしまっては困るので私室の机に保管しようと思ったのだ。


 「遅い」


 「え……? アグリッピナ?」


 だが、探し人は思わぬところにいた。


 どういう訳かエーリヒの私室――夫婦の部屋は別にある――その寝台の上にアグリッピナ・ドゥ・スタールにしてフォン・スタール伯爵夫人は優雅に寝そべっていた。


 昼間なのに薄絹の夜着で煙管を燻らせているのは今更なのでいいとして、遅いと詰られる理由がエーリヒには分からなかった。


 これではまるで、夫が妻を捜し回っていたことを探されている当人が知っているかのようではないか。


 不思議がっているエーリヒにアグリッピナは露骨に呆れてみせた。


 「もう、いいから、ちょっとこっち座りなさい」


 「アッ、ハイ」


 定命はかくも忘れやすい生き物かと。死霊になっても根がヒト種であるなら、物を忘れることができるのは羨むべきか、いい加減意識を切り替えろと言うべきか悩みつつ、伯爵夫人は臥所を叩いて座るよう促した。


 さて、栞は用箋挟み、つまるところエーリヒの下に届く書類に紛れていた。彼が気紛れに取った本や、アグリッピナが面白かったとお薦めする本ではなくだ。


 普通、栞はそんなところに紛れない。幾らアグリッピナが雑とはいえ、手ずから魔法を込めた栞が斯様なところに入り込む理由はたった一つ。


 たまたま混ざったのではなく、アグリッピナが意図して仕込んだのだ。


 そして、その意味はエーリヒが生きていた頃、死霊になる前に遡る。


 これは呼び出しなのだ。余人に分からぬよう、目立たぬよう〝ちょっとした息抜き〟のため夫を呼びつける符号。


 エーリヒがもう少し冷静であれば、寝台脇の机に置かれている書籍の表題に意識が及んだであろう。


 それは、近頃議会でちょっとした話題になった本だ。〝内容の過激さ〟から発禁焚書に指定するべきではないかと話題に上った挿絵付きの小説の内容は推して知るべし。


 忘れっぽい夫をどうしてやるべきか、愉しみを込めながら悩みつつ、とりあえず煙草でも一服しろと伯爵夫人は艶然と微笑んだ…………。




【Tips】ライン三重帝国は長く存在している国だけあって、風紀が緩い時代ときつめの時代が入り交じり、著しく過激であると指定した本を発禁処分にする基準にかなりのブレがある。


 尚、今は歴史に類を見ない緩い時代であることを補足しておく。  

良い夫婦の日なので(1年振り5回目)


現在、9巻下の作業に入っており、Web版の執筆にリソースをあまり割けなくて更新が遅くなり申し訳ありません。もうしばし気長にお待ち頂ければ幸甚にございます。

誰だ、全部書き下ろしにしようなんて考え始めた馬鹿は!!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] はたして本編の方でも子作りする未来は訪れるのか? というかあれだけ種蒔きしながら、いまだに出来てないのは何故なのか? 避妊系の特性とかあったとしても、金髪の事だからうっかり命中させてそ…
[良い点] こういうのでいいんだよ、こういうので… [気になる点] 死霊にも性欲ってあるのかしら? [一言] 毎度ありがとうございます。 11月22日はあらゆる記念日の中でトップクラスに楽しみな日にな…
[一言] 傍から見てると、一番幸せなルートに見えます。
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