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青年期 二一歳の冬 十七

 帝国には、誰彼構わず再会を喜んで抱き合うような文化はない。


 肉体的な接触は、本当に親しい間柄以外では軽々に行うべきではないという貞操観――時代でかなり左右されるが――があるからだ。


 しかし、彼とはそうしても良い仲だった。


 なんといっても、数少ない同じ辛苦(ブラック労働)を分かち合える身同士なのだから。


 「ブルーノ殿!!」


 「ああ、久しいなエーリヒ殿」


 客間に通された先触れも出さない無礼な貴族とやらと会ってみると、真逆の再会だった。


 彼の名はブルーノ・フォン・エアフトシュタット。元雇用主の家宰であり、引き継ぎ期間に私が〝錬成〟を担当したした間柄である。


 あの時は本当に大変だった。ウビオルム伯になったというのにアグリッピナ氏は、何やかんや言って私が残るかもと楽観していた節があり、帝国指折りの貴族という自覚をどっかにほっぽらかし側仕えやら護衛やらの調達を酷く面倒くさがったのだ。


 人を十徳ナイフみたいな気軽さで使われるのも迷惑極まりないので、貴族らしくちゃんと専用の人員を全部揃えて貰うのに、なんであった方が便利だけど専用の品には劣るって立場の私が苦労させられたのか未だに腑に落ちない。


 ただ、彼女は元々外様。長年衛星諸国を挟んで殺し合いをしている西の大国、セーヌ王国の生まれなので縁故も魔導院以外にはないとくれば、探すだけでも一苦労なので無精したがる気持ちはちょっと分かる。


 結局、渋々とお眼鏡に適う力量の人間を領内から見出しはしたが、引き継ぎと教育は私に丸投げというクソの極みみたいなことをしでかしてくれた。


 そこで家宰、家の中でも重要な仕事を束ねさせるに足る人間として抜擢されたのが、色々あった一年間の中でアグリッピナ氏の領内統治に貢献し、ご褒美で男爵から子爵に昇爵した忠臣エアフトシュタット家の御次男であるブルーノ殿だった。


 背は高いが武人のような風格はなく、官僚の見本として博物館に飾っておきたいような明晰さを感じさせる佇まいは変わっていないが、昔に比べると苦労したのかかなり痩せていた。


 灰色の髪を硬く後ろへ撫で付けた、角張った彫りの深い顔付きは捻りのない脚本家が悪役に据えそうな雰囲気がある。冷たい青色の目は冷酷そうな光を宿しているが、それは彼がきちんと計算を行えるがために宿ったもので、決して酷薄な人間でないことは保証しよう。


 何と言ったって、あのアグリッピナ氏の家宰、つまり元私の立場――他にも多々やらされていたが――を辛抱強くやれる人物だ。使えるなら限界の際まで見極めて使ってもいいと考えている腐れ外道の側仕えをやれているなら、そりゃあもう人間ができていないと無理さ。


 何だか自画自賛しているような気もしてきたが、引き継ぎ資料を見せた時に「大変ご苦労をなさっていたようで」と同情されたことから、彼とはとても仲が良かった。地下の出身である私を差別せぬどころか、君と私で通してくれる、外見と違って気の良い人なのだ。


 「如何なされた! 君程の人が供も連れず、先触れもなしになんて!」


 「ウビオルム伯から放り出されてね。礼のアレで」


 指をぱちんと鳴らす術式発動鍵の身振りを真似る彼を見て、全てを察した。


 あの女、あろうことか忙しいからって自分の家宰を空間遷移で蛮地(マルスハイム)に放り出すか!?


 「あっ、あのお方は一体何を考えて……」


 「まぁ、仕方ないさ。私も慣れてきたよ、六年もお仕えしてやっとだが。君が関わる案件ならば、臨機応変に動ける駒を使いたかったのだろう」


 普通の貴族なら、舐めてんのかと即日辞表を叩き付けられてもおかしくない扱いをされているにも関わらず、特に気にした様子がないのでブルーノ殿としては間々あることなのだろう。


 分かるけどさ、裁量権のある人間を現場に飛ばした方が楽なんてことは。今も家宰として変わらず仕えている様子なので――家紋入りの外套を纏える身分なら確実だ――一々細かな説明をせずとも多くの情報を握ってるから、説明も少なくて済むし。


 だからといって家宰という立場は軽くないんだよ。会社だったら社長秘書じゃなくて常務とかだぞ! 軽々しくお遣いに出すんじゃねぇ!!


 あの人は私相手にそれを数えるのが馬鹿らしくなるくらいやって来たし、血の貴賤なんぞ関係なく「できるならやれ」と命じるお人だけど……本当にやるかね、天領だったぬるま湯で腐った領内を立て直す柱の一本となったエアフトシュタット家の次男相手に。


 「大変でしたでしょう、帝都かウビオルムからエンデエルデくんだりまで遷移など」


 「いや、実はね、ここだけの話なのだが……」


 彼は懐に手をやって何かをカチリと鳴らした。アグリッピナ氏が配下のために作った防諜用魔導具の一つだろう。大きな術式発動は感じなかったので、思念伝達というよりは、〈声送り〉を使った目標にだけ声が届くようにする道具だと思われる。


 「ウビオルム伯は、ここ半年ほど辺境にいらっしゃるのだ」


 「……誠で?」


 何だかキナ臭くなってきた。大体は魔導院の工房に引き籠もって、そこから領地経営をしている不精者が辺境に滞在しているなんて、あまり良い話ではないな。


 彼女はウビオルム伯であると同時に魔導宮中伯なのだ。皇帝の側に侍って直々に補弼し、時に魔導に関わることで手足として動く人間が出張るとなれば、相応以上の問題だけ。


 反乱の前は配下のポカを収拾するのが主だったが、落ち着いてきて国境線辺りで魔導炉の試験を終わらせたとも言っていたから、もっと厄介な別件に違いない。


 「既に伯から君に報せる許可を得ているから言うのだけど、実は州都からかなり遠くに航空艦の秘匿船渠があるのだ」


 「えぇ? 船渠は三つだけだった筈では?」


 帝国の今後を占う航空艦の製造拠点は社交界丸々一期を使うような慎重さで吟味され――裏では相応の血も流れた――ウビオルム伯爵領、ドナースマルク侯爵領、そしてグラウフロック公爵の縁者の領地と決まっていた。


 一隻作るだけで、かなりの予算と人を使うだけあって工廠となる地が得られる利益は莫大。どこの領地も是非家にと必死こいてやったから、私でさえ知っているような話だ。


 それが反乱が終わったばかりの、あまつさえ後始末真っ最中の辺境にある? ナンデ?


 「公にはしない、整備や点検、実験用の船渠を幾つか秘密裏に用意してあるのだ。まぁ、私も陛下から直答を赦された訳ではないので詳細までは知らないが、無理をさせた辺境伯への詫びの一つだろう」


 「ああ、先の一件、発起人は無血帝その方であられましたね」


 今や無血の称号もマルスハイムの市壁で山ほど晒されている塩漬けの首の列によって説得力が薄れてしまったが、今上陛下は内政向けの政治家だ。帝国内を上手く収めるため、様々な布石を打っている。


 秘密実験場なんてのは、実にそれっぽいじゃないか。


 「では、ウビオルム伯は船渠の視察で?」


 「いや、実はもう稼働している。船も来ている。クリームヒルトⅡと改修を予定されているアレキサンドリーネ(実験艦)の二隻がどちらもだ」


 「アレキサンドリーネまでですか? あれは実用性が薄いとかで、アグリッピナ氏は解体しがたっていましたけど……」


 「畏れ多くも先帝の后の名を冠した船だぞ、君。使い勝手が悪いから、だけでは流石にウビオルム伯も解体には踏み出せんよ。新型の魔導炉に換装して、新機軸装備の実験で使い倒す予定だ」


 「……妙ですね。それだけ人や物が動き、航空艦なんて巨大な物が動けば私の情報網に噂の一つも入って来そうな物ですが」


 「情報秘匿の結界を貼ってあるからな。門外漢故に詳しい原理は分からないが、外からだと何もないように見える不思議な魔法が使われているんだ」


 通るのに割符が何枚も必要で、懐がじゃらついて適わんよとブルーノは嘆息を漏らした。


 ああ、そうか、屍戯卿(シュマイツァー元教授)が奪って我々が散々な目に遭わされた魔導炉は、炉さえ動いていれば魔導師が張り付いていなくても高度な術式を維持するための物でもあったか。炉が完成して配備さえできれば、大量に魔力を食う極夜派謹製の結界でさえ贅沢に恒常化できるという寸法だな。


 「そこで航空艦の実働実験中だ。正式量産前の試験運用でね」


 「そして、君もそれに付き合わされて辺境にと……」


 「文や書類のやりとりは〈空間遷移〉でできるから、とね。もう何ヶ月も家の寝床で寝ていない。妻からの手紙が日に日に刺々しくなっていってね……」


 「……心中お察しいたします」


 「察してあまりあるのは此方だよ。随分と厄介事に絡まれているな」


 アグリッピナ氏に渡った情報は、現役時代の私と変わらずブルーノ殿も当然のように共有しておいでだ。然もなくば、こんな所まで出張させられていまいが。


 そこで彼は手紙を読んだアグリッピナ氏から幾つか提案を預かってきたという。どうやら今、航空艦の運用実験が忙しくて人が常に側に張り付いているせいで表に出られないから、代わりに彼を寄越したということだ。


 手紙の内容を執務室で読み直して馬鹿笑いしていらした、なんて聞きたくもない小話はさておくとして、アグリッピナ氏も最終的に外国へ逃がすのが楽なんじゃないかと仰ったそうだ。


 それか、ちょっと頑張れば選帝侯家に収まりの良い男児がいるので――この場合、僧会でも文句を言い出しづらいような――お方と秘密婚約していたという嘘をでっち上げ、婚姻の正当性を縺れさせることも可能だと。


 他にも政治的に片付けられる札は何枚かあるにはあるが、その場合は“貸し一つ”と切りたくない大きな空手形を代価として要求してくる。


 「このどれかなら直ぐにでも、だそうだが、どうするね」


 彼が預かってきた提案は、たしかにどれもフランツィスカ様なら難しそうな案件だ。可愛い姪っ子を外国で隠遁生活などさせたくはなかろうし、幾ら選帝侯家相手といえど僧会が引き下がるような……いや、そもそも偽装結婚なんて発想すらしたくないだろう。


 ある意味他人事、笑って見ていられる立場なればこそ出てくる合理的で無情な解決法。


 しかし、あの人、選帝侯家にこんな横車を押せる〝貸し〟を作ってるとか、知らない間に何やってんだ。


 「もう私の裁可だけで終わる案件ならば、今日にでも取りかかるよ。無難なのは海外逃亡だ。近々、航空艦の長期遠征試験を予定しているので、そのドサクサに紛れさせるのは容易い。南内海あたりの適当な別荘地で楽隠居していただくのがよいのではないか?」


 「……いや、ちょっと思いついたことがあるんですが」


 さて、ここで一つ良いことを聞いた。


 アグリッピナ氏が近くにいる。つまり、会おうと思えば会える。


 更に彼女は航空艦を実験という名目で自由に使える立場であり……過去に失われた物語への興味と造詣が深い。


 ってこたぁ、ワンチャンあるな。


 「ブルーノ殿、解答を持ち帰るにあたりウビオルム伯と面会する時間を作れますか?」


 「直接にか? 可能と言えば可能だが……」


 露骨に訝る顔は、何も彼自身の裁量権では不満なのかと怒っているのではない。元々そういう顔付きなので誤解されやすい人なのだが、伝書鳩代わりにされても当人が必要性を認めれば怒りはしない合理性も持ち合わせている。


 むしろ彼としては、取りづらい球を自分の頭を飛び越えて送球してくれるなら願ったり叶ったりといったところだろうし。


 何を企んでいる? という元同僚からの視線に私は悪い笑顔を作って言った。


 「海外逃亡に使わせてくれるより、もっといい方法で航空艦をお借りできないかなぁ、と」


 「なんだって?」


 これも巡り合わせというのだろうか。


 航空艦の足は速い。最大で数百人と彼等が飲み食いするに足る物資を載せても馬を超える速度で、しかも休みなしで障害物のない上空をかっ飛ばせる代物だ。


 つまり、時間という最大の障壁をひょいっと飛び越えてくれる。


 最大の懸念事項であったトリーノへの距離、戦力の輸送、何よりウビオルム伯の傘を借りられるなら一気に解決することばかり。航空艦には夜陰神の祭壇もあるというなら、神器を積み込んで壊れるということもなかろう。


 態々大事な家宰に裁量権を託してこっちに寄越したのならば、アグリッピナ氏はアグリッピナ氏で何らかの自分が得をする事情を抱えているに違いない。


 然もなくば、助けを願ったところで「今忙しいから」とバッサリ断られていただろうから。あの人は得にならないことはすぱっと断ってくるからな。情とかが全くないとは言わないが、邪魔になるなら簡単に切り捨てられる人間だからこそ、私は内心であっても彼女を外道と呼んで憚らぬのだ。


 「なるほど、三つの神器……たしかに、足が確保できれば現実味がある」


 偽らずに内情を打ち明け、新たに得た情報を教えれば、なくしたと思っていた組絵の欠片を見つけたかの如く、図案が一気に仕上がってきた。


 縁ができたなら、後は中を埋めるだけ。いいぞ、運が向いてきた。


 「無論、最初から全部一人でやるつもりはありませんでしたけどね。ですが、かなりの強行軍となる上、皆這々の体で本番に挑むことになったでしょう」


 額冠を持っている土豪は国境間際の再辺境な上、土豪達最後の拠り所の一つなので無傷で辿り着くのは困難だ。ヨルゴス達のような信頼できる、実力も十分な配下の一隊を当てても辿り着く頃には余力も相当に削れていよう。


 距離もあるが、土豪が冒険者を警戒して警戒部隊を配置しているのだ。辺境の治安が麻のように乱れはじめたことで、元気を出し始めた野盗にかち合うこともあろう。


 何よりモンゴル式に空馬を大量に引き連れて強引に日程を押し通さねばならない位置にあるトリーノでさえ、空を飛んで直線距離で行ける航空艦なら小旅行程度の距離だ。前世なら飛行機よりも長距離バスの方が安上がりかもしれない道のりを飛べるなら、壊れ物だって安心して運ぶことができる。


 何なら休暇として、派遣した者達に一日二日は観光させてやれる余裕さえあろう。


 そして最後……まぁ、アグリッピナ氏が出張ることは流石になかろうが、人員に余裕が出て基幹要因を総動員できるのならば、弄月の杖を呑み込んだ迷宮への挑戦に本腰を入れることができる。


 最悪、額冠や鏡台回収担当のどちらかをジークフリートに指揮して貰わねばならなかったからな。完全に揃った面子で魔宮に潜れるとあれば安心感が違う。


 「承知した。では、急ぎウビオルム伯に話を通そう」


 「助かりますブルーノ殿。いやぁ、最悪金子を用立てて貰って大量の馬を借りようとしていたのに馬より良い物があるとは」


 「あの方も魔導師だ。弄月の魔宮などというお伽噺に迫れる上、神器を見る機会が得られるなら船の一隻二隻は私用で動かすくらい訳もないだろう」


 公的な物でも自由に使える。君主制万歳! 鎌と槌なんて要らんかったんや!! さよならレーニン!


 「それに……英雄詩の一つも謡われれば航空艦の宣伝に丁度よいな。本格的に外交で使う前に、強力さを見せ付ける何か良い案はないかと技研で案を練っていたのだよ。上手い話に乗れなかった連中がケチを付けようと本当に使えるのかなんて騒ぎ始めたが、運用実績の一つも叩き付けてやれば大人しくなるだろうさ」


 おいおいなんだよGMちょっと優しすぎないか? お題目がてんこ盛りだよ。


 積み上げてきた物の多さが強さに繋がるのがTRPGにしても、ちょっと全部が上手く回り過ぎて脳内麻薬が大量に出てきたぞ。


 などと自分に都合の良いことを考えて内心で諸手を挙げてみたが、問題が全部解決したとは言い難い。


 アグリッピナ氏が乗ってくれるかどうかも大事だが……金だ。


 今回の一件は私用としか言い様がないので演説の一つも打って、参加の是非は会員達に選ばせるつもりなのは以前から考えているとおりだけど、慈善事業じゃあるまいし参加して貰うならば当然ながら金が要る。


 とりあえず最低でも一人頭一ドラクマは渡したいとなると、元手をどうするかな。会員達からは寄付しか受け取っていないので、デケぇ建物を構えておいてなんだが私個人の金ってそんなにないんだよな。


 個人報酬と会社――この場合は剣友会という氏族だが――の報酬は別。当然だろ?


 これで剣友会の金を堂々と引っ張っていくのは、少し気が引ける。お前が作った組織なんだし好きにすりゃいいじゃんと囁く自分もいるが、セス嬢への助勢は本当に個人的な信条に基づくものだから判断が難しい。


 アグリッピナ氏が弾んでくれた報酬をチマチマ貯めていたのを吐き出す時期か? 何かあった時のために用意したヘソクリを叩く価値は、ツェツィーリア嬢と比べるべくもないが。


 「では、私は一先ず戻って伯に報告するとしよう」


 「お願いいたします」


 ところで帰りの足は? と聞いてみれば、彼は懐から二つに折れそうな金属板を取りだした。


 楕円の中心部分を線状に刳り抜いた旧ドイツ軍の識別表を思わせるそれは、嫌というほど見覚えがある魔力を迸らせた術式札。


 あ、ああ、なるほどね……あの人、しれっと半遺失技術である〈空間遷移〉の魔導具化に成功していやがる……仕えていた時は無理だと仰っていたが、魔導宮中伯の業務を熟しながらも空間と時間への認識を更に高めているとか、いよいよもって化物が極まってきたな。


 大丈夫? 私、本当にいつか、あの人をアーチエネミー(キャンペーンのボス)として討伐してこいって神託が下ったりしないよね? 流石に敷居を跨ぐのと同じ気軽さ(マイナー)空間を越えてくる(接敵不可)怪物が、極小(マイクロ)特異点(ブラックホール)を退き撃ちしてくるとかいうクソマンチ構成相手に普通の魔法剣士の私じゃ勝ち目ないんですが。


 ぞっとする、絶対にあって欲しくない将来を予見させつつ、我が古き同僚は術式札を折って姿を消した。


 多分アレ、使い捨てなのもあって燃費も費用(コスパ)も最悪だろうに、すげぇ気軽さで使うなぁ……。


 何年かかっても魔力の底が見えない元雇用主の魔力馬鹿具合に呆れつつ――人生で一度でいいから、魔力欠乏で鼻血を流すあの人を見てみたい――遠くから潮騒のように歓声が届くのを感じた。


 遮音性の高い客間にも届く声の連なり。暴力的な怒号の連なりではなく、盛り上がりによって相互的に況してゆく歓声。


 ああ、遅いじゃないか我が戦友よ。


 だが、実にいい時間だ。やっぱり〝持ってる〟よ君は…………。




【Tips】時に凱旋する冒険者の功績によっては、塒までちょっとした馬廻(パレード)りのような騒ぎになることもあるが、行政府はそれを黙認する懐の深さを持っている。 

中途半端な時間になりましたが、ヘンダーソン氏の福音を コミカライズ版5話の更新宣伝更新です!

今回もテモ先生がとてもよい感じに仕上げてくださったシーンモリモリなので、是非どうぞ!


宣伝リンクってたしか直張りできないので、作者Twitterの方から追いかけてくださると幸甚です。


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[気になる点] 例の、ですかね? 礼のアレは。
[一言] いいね、大冒険 やっぱこうじゃないと
[一言] GM「私は赦そう。だが、コイツ(試練神)が許すかな?」
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